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やっぱり空冷ポルシェは人気! 「993型911ターボ クーペ」が約3500万円で落札…プレスカーとして酷使されてもプレ値はつきます

21万8500ユーロ(邦貨換算約3500万円)で落札されたポルシェ「911ターボ クーペ」(C)Courtesy of RM Sotheby's

最後の空冷式911は今でも大人気!

2025年2月4日〜5日にRMサザビーズがフランス・パリで開催したオークションにおいて、ポルシェ「911ターボ クーペ」が出品されました。1995年1月31日に生産ラインから出荷された同車は、メディアの取材に対応するためのプレスカーとして使用された履歴が残る1台でした。

5年間生産された最後の空冷ポルシェ

1963年に初代モデルがデビューを飾り、現在に至るまでじつに60年以上もの長い歴史を刻み続けてきたポルシェ911シリーズ。その歴代モデルの中でも、今911ファンからの熱い視線を集めているのが、1993年から1998年にかけて生産されていた993型。911のジェネレーションとしては第4世代に相当するモデルたちだ。

993型911がコレクターズ・アイテムとして人気を集める背景には、それが最後の空冷式水平対向6気筒エンジンを搭載したモデルであるということに大きな理由がある。ポルシェは993型の市場を受け継いだ996型では、伝統の水平対向6気筒エンジンを水冷化。991の歴史はここで大きな転機を迎えたのである。

当然のことながら、最後の空冷式911たる993世代のモデルは、オークション・シーンでも常に注目される存在だ。今回RMサザビーズは、同社のパリ・オークションで1996年式の993型911のトップモデルともいえる「911ターボ クーペ」を出品。15万ユーロ〜20万ユーロ(邦貨換算約2400万円〜3200万円)の予想落札価格を掲げ、世界中のコレクターからの入札を待った。

ターボならではの独特な雰囲気が演出

鮮やかなスピードイエローのカラーに18インチ径のテクノホイール、パフォーマンスの高さを象徴しているかのようなレッドのブレーキ・キャリパーがアクセントとなる出品車のエクステリアは、じつに刺激的なフィニッシュでまとめられている。

リアフェンダーはノーマルボディと比較して、このターボでは60mmワイド化されているが、よりダイナミックで流麗な造形に変化したリアウイングなどとの相乗効果で、リアセクションでは特にターボならではの独特な雰囲気が演出されているのが誰の目にも分かる。

リアに搭載されるエンジンは、3600ccの空冷水平対向6気筒(M64型)の両バンクに、各々KKK製のK16型ターボを組み合わせたもので、その最高出力は408ps。さらに多くの911ファンを驚かせたのは、ポルシェがその駆動方式として、ビスカス・カップリングをセンターデフに使用した、フルタイム4WDを採用してきたこと。駆動力の5%は通常時でも前輪側に伝達される仕組みだ。

プレスカーとして活躍した個体

パリ・オークションに姿を現した、この1996年式911ターボ クーペは、1995年1月31日に生産ラインから出荷された後、ポルシェ自身によって所有され、メディアの取材に対応するための、いわゆるプレスカーとして使用された履歴が残る。

その役割を終えたのち、2000年代初頭にはイタリアに渡り、さらに2007年にはフランスへ。そして2017年12月に、ベルギーのオーハインにあるオーガスト・ポルシェSA社を通じて、今回のオークションにはほかのコレクションとともに出品し、キュレーテッド・コレクションに売却。この時にオドメーターに刻まれていた走行距離は6万9502kmだったという。

2022年7月、ベルギーのモン・サン・ギベールのクロノス・ポルシェによって大規模なサービスが行われ、オークション出品時点では7万789kmを走行していた、この911ターボ。その落札価格は21万8500ユーロ(邦貨換算約3500万円)と、人気を裏づける結果となった。ポルシェ911シリーズのオークションシーンにおける評価は、堅実に推移していることがこの例からも明らかになった。

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