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元祖「シカゴ・スタイル・ピザ」のボリュームに驚愕! 近郊のジョリエットは映画『ブルース・ブラザース』の舞台でした【ミシシッピ川ブルース旅_20】

これが元祖ディープディッシュ・ピザだ! ピザの常識を超えている

ハンニバルから大都会シカゴへ

2024年の8月末から、アメリカをミシシッピ川沿いに南北縦断して音楽の歴史をたどる旅に出ることにした筆者。ブルースの故郷である「ミシシッピ・デルタ」を仲間と4人で巡った後は、ひとり旅。ニューオリンズのハーツレンタカーで借りたキア「スポーテージ」を“キムさん”と名づけて相棒とし、ルイジアナ州、ミシシッピ州、テネシー州、ケンタッキー州、ミズーリ州と巡ってきました。今回は大都会、イリノイ州シカゴを訪問します。

ルート66の宿場町で小休止

ハンニバルからインターステート72で東に向かい、ニューオリンズから北上してきた55号でシカゴへと向かう。最初に出てくる町がスプリングフィールドだ。スプリングフィールドはルート66の宿場町で、今でもそのレガシーが残る。ちょうど昼どきだ。町に寄ってランチを取ることにする。

お目当ては「コージー・ドライブイン」。ソーセージがダンスを踊るサインが目印で、店内にはルート66関連のデコレーションが賑やかに施されている。お客さんも「66」を目当てにした人が多いようだ。名物のアメリカンドッグとコーヒーでひと息つく。

ドライブマップをチェックすると、シカゴまでは320kmほどある。大都市だけに街に入る際の渋滞も覚悟しなければいけない。今日はシカゴの手前で泊まろうか……。そのとき、目に入ったのがジョリエットだった。スコット・ジョプリンの音楽を採用した映画『スティング』の舞台だ。距離的にもちょうどいい。今日の宿泊地が決まった。

ジョリエットではフランク・ロイド博物館へ

ジョリエットのダウンタウンに着くと、ちょうどインフォメーションセンターが閉まりかけていた。駆け込んでみると、ビッグなサプライズが待っていた。なんと、ブルース・ブラザースのふたりが踊っているではないか! ジョリエットは映画『ブルース・ブラザース』の舞台でもあったのだ。話を聞くと、ジョン・べルーシが出所する冒頭シーンを撮影した刑務所が残っているという。翌朝、行ってみると石造りの歴史的建造物で、またびっくり!

翌日、ついにシカゴに入った。最初に向かったのは、フランク・ロイド・ライト博物館だ。フランク・ロイド・ライトはモダン建築を代表する巨匠のひとりで、シンプルで機能的なデザインが特徴だ。日本にある彼の作品としては帝国ホテルがよく知られている。

そのフランク・ロイド・ライトが事務所兼自宅として使った建物が博物館として保存されているのだ。オンラインで申し込んだガイド付きツアーには10人ほどが参加していた。日本の建築や浮世絵に造詣が深かったことが随所に確認できる、興味深いツアーだった。

渡米したスタンドアップ・コメディアンと出会う

その日の午後、お会いしたのが、スタンドアップ・コメディアンとしてシカゴを中心に活躍する“Saku”さんだ。プロ野球を夢見る野球少年が、ある日突然、パフォーマーを目指して渡米する話は面白くかつ勇気が出るストーリーだった。修行時代に『ブルース・ブラザース』にも出演したというコメディ劇場「セカンド・シティ」を案内していただき、翌日の公演でお会いする約束をして別れた。

夜、向かったのが超老舗ジャズ・クラブ「グリーン・ミルズ」だ。禁酒法の時代からシカゴの音楽好きに愛されてきたクラブで、アル・カポネがいつも座ったという「カポネ席」が残っている。店内の雰囲気も正真正銘のクラシックで、カウンターも居心地がいい。出演はギターとフィドルをフロントに置くカルテットだったが、演奏も素晴らしかった。シカゴ初日は大満足のうちに終了した。

本場の元祖「シカゴ・スタイル・ピザ」はガチすぎた!?

翌日、最初の目的地が「ピッツェリア・ウノ」だ。シカゴ・スタイル・ピザといえば厚い生地が特徴だが、ピッツェリア・ウノはその元祖として有名だ。アメリカ流にアレンジされた本場のピザがどんなものか、興味津々で出かけた。

2店舗あるうちのレイク・ビュー店に向かったが、なんとガソリンスタンドの一角。テイクアウト客がメインのようで、店内には小さなカウンター席しかなかった。お目当てのピザを注文すると、焼き上がるまで40分かかるという。目に止まったのが年季の入った鍋。何をするのか聞いてみると、これでピザを焼くのだという。ピザの常識とはまったく違う! ますます期待が高まった。

近所を散歩して戻り、さらにしばらく待つと、ようやくぼくのピザが焼き上がった。まず、受け取ってびっくり。これはピザの重さではない。カウンターで開けてみると、分厚いピザというか、何というか、すごい食べ物が現れた。野菜、ベーコン、チーズがぎっしり詰まっている。これがシカゴ・スタイルのピザなのか! かぶりつくと、うまい! でも、量が多い! なんとか2切れ食べて、残りは晩飯用に持ち帰ることにした。

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このミシシッピの旅で筆者が取材した内容を1冊にまとめた本が2025年3月13日に発売となった。アメリカンミュージックのレジェンドたちの逸話とともに各地を紹介しているフォトエッセイ、興味のある方はぜひチェックを。

>>>『アメリカ・ミシシッピリバー 音楽の源流を辿る旅』(産業編集センター)

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