渡米したスタンドアップ・コメディアンと出会う
その日の午後、お会いしたのが、スタンドアップ・コメディアンとしてシカゴを中心に活躍する“Saku”さんだ。プロ野球を夢見る野球少年が、ある日突然、パフォーマーを目指して渡米する話は面白くかつ勇気が出るストーリーだった。修行時代に『ブルース・ブラザース』にも出演したというコメディ劇場「セカンド・シティ」を案内していただき、翌日の公演でお会いする約束をして別れた。
夜、向かったのが超老舗ジャズ・クラブ「グリーン・ミルズ」だ。禁酒法の時代からシカゴの音楽好きに愛されてきたクラブで、アル・カポネがいつも座ったという「カポネ席」が残っている。店内の雰囲気も正真正銘のクラシックで、カウンターも居心地がいい。出演はギターとフィドルをフロントに置くカルテットだったが、演奏も素晴らしかった。シカゴ初日は大満足のうちに終了した。
本場の元祖「シカゴ・スタイル・ピザ」はガチすぎた!?
翌日、最初の目的地が「ピッツェリア・ウノ」だ。シカゴ・スタイル・ピザといえば厚い生地が特徴だが、ピッツェリア・ウノはその元祖として有名だ。アメリカ流にアレンジされた本場のピザがどんなものか、興味津々で出かけた。
2店舗あるうちのレイク・ビュー店に向かったが、なんとガソリンスタンドの一角。テイクアウト客がメインのようで、店内には小さなカウンター席しかなかった。お目当てのピザを注文すると、焼き上がるまで40分かかるという。目に止まったのが年季の入った鍋。何をするのか聞いてみると、これでピザを焼くのだという。ピザの常識とはまったく違う! ますます期待が高まった。
近所を散歩して戻り、さらにしばらく待つと、ようやくぼくのピザが焼き上がった。まず、受け取ってびっくり。これはピザの重さではない。カウンターで開けてみると、分厚いピザというか、何というか、すごい食べ物が現れた。野菜、ベーコン、チーズがぎっしり詰まっている。これがシカゴ・スタイルのピザなのか! かぶりつくと、うまい! でも、量が多い! なんとか2切れ食べて、残りは晩飯用に持ち帰ることにした。
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このミシシッピの旅で筆者が取材した内容を1冊にまとめた本が2025年3月13日に発売となった。アメリカンミュージックのレジェンドたちの逸話とともに各地を紹介しているフォトエッセイ、興味のある方はぜひチェックを。
>>>『アメリカ・ミシシッピリバー 音楽の源流を辿る旅』(産業編集センター)
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