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ジャズに影響を与えた「ラグタイム」の開祖スコット・ジョプリンの博物館へ…ハンニバルは『トム・ソーヤー』一色でした【ミシシッピ川ブルース旅_19】

ジャズに影響を与えた「ラグタイム」の開祖スコット・ジョプリンの博物館へ…ハンニバルは『トム・ソーヤー』一色でした【ミシシッピ川ブルース旅_19】

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TEXT: 牧野森太郎(MAKINO Shintaro)  PHOTO: 牧野森太郎(MAKINO Shintaro)

  • セントルイスからミシシッピ川左岸を北上、トム・ソーヤーの故郷、ミズーリ州ハンニバルを目指す
  • セントルイスで宿泊したAirbnb
  • 家の裏庭に“キムさん”ことキア スポーテージを駐車
  • スコット・ジョプリンはこの建物の一室に間借りしていた
  • スコット・ジョプリンが住んでいたアパート
  • バルコニーからは、当時はなかったゲートウェイ・アーチが見える
  • ジョプリンの足跡を示す展示
  • 自動ピアノに曲をセット
  • ミシシッピ川を見ながら走れるのは、この区間のみ。あいにくの曇り空だった
  • かわいいフェリーがミシシッピ川を渡る。橋がないエリアに住む人の重要な交通手段だ
  • トム・ソーヤー博物館の展示。マーク・トウェインの書斎にトムとハックが遊びにきている
  • のちにノーマン・ロックウェルが描いた挿絵が有名になる
  • トムの家。右側の白いフェンスが物語に登場する有名なフェンス
  • ハックルベリー・フィンの家
  • 今日はどこに冒険に行こうか?
  • 町が建造したトム・ソーヤー灯台
  • 灯台からミシシッピ川を見下ろす
  • スコット・ジョプリン博物館のリナさん。足踏みで空気を送ると自動ピアノが曲を演奏する。ピアノの上に並ぶ箱が「楽譜」

「ミシシッピ川沿いで最も美しいドライブコース」を行く

2024年の8月末から、アメリカをミシシッピ川沿いに南北縦断して音楽の歴史をたどる旅に出ることにした筆者。ブルースの故郷である「ミシシッピ・デルタ」を仲間と4人で巡った後は、ひとり旅。ニューオリンズのハーツレンタカーで借りたキア「スポーテージ」を“キムさん”と名づけて相棒とし、ミシシッピ川流域を北上。ルイジアナ州、ミシシッピ州、テネシー州、ケンタッキー州と巡り、ミズーリ州セントルイスへ来ました。

セントルイスでの宿はAirbnb

セントルイスの宿は住宅街の行き止まりのAirbnb、大きな2階建ての住宅だった。“キムさん”こと、愛車のキア「スポーテージ」を指定された裏の駐車スペースに停めて玄関に回ると、大柄な黒人の青年がポーチの椅子に座ってタバコを吸っていた。

「やあ、調子はどうだい。長く泊まるのかい?」

「いや、1泊だけだよ」

ぼくはちょっと自分の旅の話をした。彼は仕事の関係でセントルイスに来て、しばらく泊まっているとのことだった。

2階には、ぼくの泊まる部屋を含めて3室、1階にもゲスト用の部屋があって計4人が1軒の家に宿泊している。共有の冷蔵庫に自分のものを入れていると、2人目の同宿者に会った。彼もでかい黒人だった。その後、もうひとりとも挨拶をしたが、さらに大きい黒人だった。

彼ら同士も親しく話をしている様子はなく、静かな夜だったが、シャワーやトイレを使う気配はもちろんする。低い緊張感を感じる一夜となった。

ジャズの発展にも影響を与えたスコット・ジョプリン

翌朝、スコット・ジョプリン博物館を訪ねた。ジョプリンは音楽を志して、10代でテキサス州からミズーリ州セダリアへと移り住む。そこで生み出したのがラグタイムという音楽で、活動の拠点にしていたクラブの名前をつけた「メイプル・リーフ・ラグ」は、記念碑的作品として知られる。

特筆すべきは、この曲が書かれたのが1899年ということだ。まだ、ニューオリンズで初期のジャズが演奏されていた頃で、当然ながらジャズの発展にも影響を与えた。もうひとつ驚いたのは、家が立派なレンガ作りだったこと。しかし、これはすぐにぼくの勘違いだとわかった。貧しいジョプリンは、奥さんとともにこの家の一室を間借りしていただけだったのだ。

彼は「ラグタイムはクラシックなのだから、クラブではなくホールで演奏されるべきだ」と主張したが、最期まで日の目を見ることはなかった。突然、スコット・ジョプリンが脚光を浴びたのは、1973年の映画『スティング』の公開だった。テーマ曲に採用された「ジ・エンターテイナー」が、映画とともに世界的大ヒットとなったのだ。曲が書かれてから、70年以上も経っていた。

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