イタリア本国以外では世界初!マセラティ・クラシケが日本でもスタート
2025年4月11〜13日、千葉・幕張メッセで開催された「オートモビルカウンシル2025」は、もともとは「ヘリテージカー」のトレードショーとしてスタートしたものの、かねてから「Classic Meets Modern and Future(クラシック ミーツ モダン)」をスローガンに掲げ、クラシックカーのみならず現代のクルマにもスポットライトを当てる場としてきました。さらに、2023年版からは「Classic Meets Modern and Future(クラシック ミーツ モダン アンド フューチャー)」を標榜し、自動車の過去・現在にくわえ、未来までが一堂に会するという壮大なテーマが掲げられることになります。そして2025年は、国内外の自動車メーカーも積極的にブースを展開していたのですが、今回はそのうちのひとつ「マセラティ」のブースと新たなプロジェクトについてレポートします。
過去と現在のオープン・マセラティの傍らで、重要な記者発表が……!
「オートモビルカウンシル2025」のマセラティ・ブースに展示されたのは、最新の「グランカブリオ トロフェオ」。自社開発による最高出力550psの革新的な「ネットゥーノ」V6ツインターボエンジンを搭載し、最高速度は316km/hをマークするという、恐るべきオープンスーパースポーツである。
そして「オープン・マセラティ」というつながりにくわえ、2025年のオートモビルカウンシルのスペシャルゲストとして来日、トークショーも行った自動車デザイン界最高の巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ氏に敬意を表するべく、同氏が「カロッツェリア・ギア」に籍を置いていた時代に手掛けた、マセラティ史上最高傑作の呼び声も高い初代「ギブリ」のスパイダー版(製作数125台のみの希少車)との2トップ体制とされていた。
と、ここまでは海外のトレードショーにおいて近年のマセラティが見せてきた展示と大差はないのだが、今回の「オートモビルカウンシル2025」マセラティ・ブースにおける最大のトピックは、これまでイタリア本国だけで行われていたブランド公式のクラシックカー公式認定プログラム「マセラティ・クラシケ」を、イタリア以外では初めて、日本のオーナー向けに展開すると発表したことであった。
「マセラティ・クラシケ」はマセラティのクラシック車両を保存、修復、正統性を認証するためのヘリテージプログラムとして、2021年に本国イタリアで開始。歴史的なモデルの正統性を審査・検証し、認定証を発行することに加えて、スペアパーツの再生産や、車両レストアのサポートなどのサービスを展開している。
「マセラティ・クラシケ」によって、最初に認定証が発行されたのは1969年製「ドゥエポスティ(ミストラル)3700」。そののち2022年以降、日本を含めた世界各国から申請のあった80台以上の車両に対して厳正なる審査を行い、その正統性を証明する認定証を発行してきたとのことである。
日本国内での検査・認定が可能に!
今回、日本で開始するのは、「マセラティ・クラシケ」における認定証発行のプログラム。イタリアから認定担当者が来日することで日本国内での検査・認定が可能となり、これまで必須だったイタリアへの車両輸送は不要とされることで、日本のオーナーの負担が大幅に軽減されることになる。
認定対象となる車両は、原則として1980年までに生産されたモデル。つまりビトゥルボ系以前のモデルを中心としつつも、発売から20年以上経過したクラシックカーや特別生産モデルを含み、2025年内は最大8台を対象に審査を実施することを予定しているとのこと。 また、プログラムの一環として、マセラティの歴史的アーカイブに基づくオーナー向けの資料提供サービスも開始。生産証明書や技術データ資料を、オーナーの申請に基づいて提供するとのことである。
クラシケ審査を希望するオーナーは、2025年6月1日から6月30日の期間中に、マセラティ ジャパンの公式ウェブサイトにて申し込みを受け付けるという。
4月11日のオートモビルカウンシル2025プレスデイにて行われたプレスカンファレンスに登壇したマセラティ・ジャパン代表取締役の木村隆之氏は、以下のように語った。
「マセラティ・クラシケの日本での展開は、長年マセラティを愛し、大切に保有されてきた日本のオーナー様への敬意と感謝の表れです。クラシカルなマセラティ車両は単なる移動手段ではなく、タイムレスな芸術作品であり、時代を超える情熱の結晶です。このプログラムを通じて、これらの貴重な車両の正統性と価値を正式に認証し、未来の世代へと受け継いでいくことは、私たちの大きな喜びであり、責任でもあります。 今後も日本のマセラティオーナー様とより深い絆を築き、マセラティの豊かな歴史と文化を共有していくことを約束いたします」
クラシックカーの公式認定プログラムやレストアプログラムを有するのは、今やプレミアムカーやスーパーカーの世界では、ある意味必須条件となりつつある。そして「フェラーリ・クラシケ」や「ランボルギーニ・ポロストリコ」など、すでに輝かしい実績を重ねている先達に続くことはできるのか……?
イタリアのスーパーカーブランドのなかでも、ことブランドとしての歴史はもっとも長いマセラティの新たなチャレンジに、注目してゆきたいところである。
