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トヨタ歴代「スープラ」3台が揃い踏み! ヘリテージ活動である「TOYOTA CLASSIC」の意義とは?

トヨタ スープラ(A80):GRヘリテージパーツで甦らせた個体

TOYOTA CLASSICの今後の展開に注目

2025年で10回目の開催を迎えたオートモビルカウンシル。国産メーカーではトヨタとホンダ、三菱、マツダの4社が共通企画として「過去が見た未来」をテーマに掲げていました。その中から今回はトヨタブースを紹介します。

時代を見据えつつ次代を目指して開発されたクルマが展示

世界トップメーカーのトヨタは、1989年の東京モーターショーに出展したコンセプトカーのトヨタ4500GTを筆頭に、1973年に登場した初代セリカのリフトバック、1986年に登場したA70系の初代スープラ、1993年に登場したA80系の2代目スープラ、そして2025年登場したDB系、3代目GRスープラの“A90 Final Edition”と計5台のモデルを出展していた。ただし、4500GTとセリカLB~スープラ系の4台は立ち位置が大きく違っていたことがとても興味深く感じられた。

トヨタ 4500GT(正式名称はトヨタ 4500GTエクスペリメンタル)は、そのネーミングからも想像できる通り、1967年にデビューしていたトヨタ 2000GTの後継(を目指したコンセプト)モデル。ただしオリジナルの2000GTが登場した1967年と、4500GTが東京モーターショーでお披露目された1989年という“時代背景”を見過ごすわけにはいかない。

ともに時代を見据えつつ次代を目指して開発されたクルマだったが、2000GTがトヨタのフラッグシップとして僅かな生産台数ながら市販されたのに対して、4500GTはバブルの崩壊などもあって市販には至らなかったのは残念ではある。それでも(当時としては)最新・最先端の技術が盛り込まれ、やがてはその技術が市販車にも採用されていくのは共通していた。

一方、セリカLB~スープラ系4台は紛れもない量販車で、今なお人気の高いモデル。そしてトヨタが新たな“事業領域”として提唱するTOYOTA CLASSICのモデルケースとして注目の高まっているモデルでもある。

もっとも2025年登場したばかりで500台限定の3代目GRスープラの“A90 Final Edition”を他の3台と同列に並べるのは意見の分かれるところかもしれない。できることならベースとなるGRスープラを他の3台と並べて欲しかった。当然、GRスープラも将来的にTOYOTA CLASSICのモデルケースとなることは間違いないところだ。

2台のスープラはGRヘリテージパーツで甦らせた個体

TOYOTA CLASSICはトヨタが提唱するクルマヘリテージ活動の総称。世界のクルマファンに向けて、クルマ文化を知るためにトヨタ博物館や富士モータースポーツミュージアムを用意し、愛車仲間づくりのためにトヨタ博物館でのクラシックカーフェスティバルやオーナーズミーティングを開催。クラシックカーの魅力体験するためにVintage Club by KINTOを実施し、GRヘリテージパーツプロジェクトを進めていく。

そのためにもトヨタの社内的にもヘリテージカーの保存・継承であったりクルマ文化に触れる場づくりにも注力されているのだが、旧いクルマのファンにとっては最も大きなポイントとなるのがヘリテージパーツの開発・販売であったりレストアを通した人材育成であったりするのは言うまでもない。

今回のオートモビルカウンシルでもセリカLBは、未来のモノづくり技能育成のためにレストアされた個体だし、初代のA70系と2代目のA80系のスープラはGRヘリテージパーツで甦らせた個体だった。しかもA70系の初代スープラは、トヨタもバックアップしたが、レストアの作業そのものはGR Garage富山新庄のベテラン技術者が中心になって進められ、今回のオートモビルカウンシルに向けてレストアを完成させた個体。

つまりTOYOTA CLASSICは、1人のクルマファンが、旧いクルマの魅力に気づき、実際に旧いクルマを手に入れてからレストアを完成させるまでの全行程をサポートする大きなプロジェクト、というわけだ。そしてそのプロジェクトを国内トップメーカーのトヨタが行うことに大きな意味がある。そう、トヨタはトップメーカーとして、この大きなプロジェクトに、ある意味では全力を挙げて取り組んでいることを大きくアピールすることになったのだ。

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