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フェラーリの不人気車「400i」の予想落札価格は500万円前後…入札では驚きの1500万円弱で落札された個体は3速ATのクセ強めのグリーン仕様でした

9万2000ユーロ(邦貨換算約1470万円)で落札されたフェラーリ「400i オートマチック」(C)Bonhams

しっかりとメンテナンスされた1台

2025年2月6日、ボナムズがフランスで開催した「Les Grandes Marques du Monde à Paris」オークションにおいてフェラーリ「400i オートマチック」が出品されました。出品車は1980年9月にラインオフされ、ドイツでファーストオーナーに納車。最近では、イギリスの有名なスペシャリスト、ストラットン・モーター・カンパニーによるメンテナンスが行われ、そのコンディションは上々な1台でした。

365GT4 2+2の後継モデルとして登場

ピニンファリーナによる端正なボディスタイルを得て1971年、センセーショナルなデビューを飾った2+2GTの365GT4 2+2。それがフロントに搭載されるV型12気筒エンジンの排気量を4823ccに拡大した400/400オートマチックにマイナーチェンジされたのは1976年のことだった。

400シリーズの外観での特徴は、それまで片側に丸型6灯式を採用していたテールランプが4灯式となったことや、5穴タイプのホイールを採用したことなど、ごく限られていた。それは365GT4 2+2のスタイリングがフェラーリのカスタマーから強く支持されていたことを証明していた。GTカーとしては、豪華な内装とともに非常に高い商品性を誇るモデルだったのである。

今回パリで開催された、「ル・グラン・マークス・ドゥ・モンド・ア・パリ」に、老舗オークショネアのボナムズは2台のフェラーリ400iを出品しているが、ここで紹介するのは予想落札価格が3万~4万ユーロ(邦貨換算約480万円~640万円)という破格の数字が掲げられた、1981年式の「400iオートマチック」。

400iは年々その厳しさが強まる排出ガス規制に対応するために、それまでのキャブレターによる燃料供給を諦め、ボッシュ製のKジェトロニックを採用するとともに、希薄燃焼を実現したもの。当時のフェラーリのモデルでは、2シーターの308や512でも同様の手法で排出ガス規制のクリアが行われている。最高出力は触媒付きのモデルでは310ps。それまでのキャブレター仕様の400と比較すると30psの低下である。

フェラーリ初のATモデル

その一方で大きな魅力だったのは、400から選択可能になった3速ATの存在だ。フェラーリとしては初の採用となるこのATは、ゼネラルモータース社製のターボ・ハイドラマチック400で、400iではさらにV型12気筒エンジンとのマッチングは改善されたとされる。ちなみに日本市場に導入された400、400iはいずれもこの3速AT仕様のみ。400iで実現された240km/hの最高速度は、もちろん当時のGTとしては非常に魅力的な数字である。

シャシーのメカニズムや装備も、フェラーリの作品らしくじつに凝ったものとなっていた。セルフレベリング機構付きの独立リアサスペンション、パワーアシスト・ステアリング、パワーウインドウ、オプションではエアコンの装着も可能だった。内装に使用されるレザーはもちろん最高級のクオリティを持つもの。当然のことながらハンドメイドによる工程も多く、その生産は1年間で200台を超えることはなかった。

出品車は1980年9月にラインオフされ、ドイツでファーストオーナーに納車された400iオートマチックは、過去10年間は中東の現オーナーのもとにあった。さらに最近イギリスの有名なスペシャリスト、ストラットン・モーター・カンパニーによるメンテナンスが行われ、そのコンディションは上々といったところ。ボナムズが提示した予想落札価格はリーズナブルだ。

しかし、入札はそのレンジを超え、最終的に9万2000ユーロ(邦貨換算約1470万円)という価格で止まった。そのハンマープライスが高いのか、あるいは安いのかは、あくまでも個人の判断によるところだろう。

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