軽量なアルミパネルが旧車のレストアを変える?
カスタマイズされたフェアレディZが数多く展示されているのなかに、ボディが無塗装で金属地肌が露出した日産S30型「フェアレディZ」を発見しました。レストア中の車両にしてはガラスも装着されており、完成間近といった印象です。スターロード代表の井上さんに詳しいお話を伺いました。
カーボン製品にはないアルミパネルの魅力
「じつはこれ、アルミ製のレストア用パネルなんですよ。よくできてるでしょ? 今のところボンネット、左右フェンダー、左右ドア、そしてワイパーカウルが完成していて、これだけで約30kgの軽量化につながっています」
2025年2月22日〜23日に横浜で行われたNostalgic 2days(ノスタルジック2デイズ)に出展していた、日産「フェアレディZ」のチューニングやカスタムで知られるスターロード。すでにスターロードのレースカーにはアルミパネルが装着されており、その軽量化による効果も実証済み。さらにプレス精度も非常に高く、展示されていたクルマも塗装してしまえば、非常にコンディションの良い個体という印象だ。
会場ではクルマに装着されているパネルのほか、来場者がその重量を体感できるようにフロントフェンダーを展示。実際に持ち上げてみると、その差は歴然。驚くほど軽いのだ。それでいてしっかりとパネル強度は確保されており、製品としての精度もかなり高そうだ。
ところで旧車のレストレーション用パネルというと、ここ最近カーボン製のパネルが徐々に普及しはじめている。とくにドライカーボン製のパネルはレストレーション用としても人気を集めている。そんな中で登場したアルミ製パネルには、どんなメリットがあるのだろうか?
「最近、カーボンのドアとか多いでしょ? でも私はこのドアの閉まる音が好きでね。やっぱりドアは金属がいい。とくに旧車はこの音がしないと!」
と井上さん。確かにドアの開閉音は純正のスチール製と何ら変わらない軽快な響きだ。これは旧車好きにとって確かに大きなメリットとなるだろう。
高い精度で製作されるメイド・イン・ジャパンの逸品
アルミニウムというと強度を心配するかもしれないが、このパネルはマグネシウムを添加した5000番台のアルミ合金を使用している。5000番台のアルミは強度に優れるだけでなく、溶接性も高いため、板金用のパネルとしても最適なんだとか。
これらのパネル製作は、トヨタ車の試作ボディなどを作る矢作産業という会社が担当している。スチールレベルの精密なアルミプレスには高い技術が必要とされるため、プレス作業から製品化まで一貫してメイド・イン・ジャパンであることも注目すべきポイントだ。
S30型フェアレディZのボディラインを忠実に再現しており、単純にボディパネルとしても非常に優秀だ。旧車のレストアパネルというと、最近はカーボン製などが数多くリリースされているが、金属製でかつ軽量なアルミパネルは、今後の旧車レストレーションに大きな影響を与えそうだ。
