スカイラインGT-Rは英国でも注目の1台
2025年5月1日〜5月8日に英国のアイコニックオークショネアーズ社が開催した「Online Auction」。そこに出品された日産「スカイラインGT-R(BCNR33)」をピックアップします。モデル解説と、注目のオークション結果をお伝えします。
広範囲に及ぶ改良が施されたR33型スカイラインGT-R
イギリスを始め、オーストラリアやニュージーランドなど、右ハンドル車を無改造で乗ることのできる国々では、メイド・イン・ジャパンの中古車が非常に大きな人気を博している。その中でも、今回紹介する日産スカイラインGT-R(あるいは後のGT-R)の人気は圧倒的だ。さらにそのベース車に対してチューニングを施したモンスターたちは、一目置かれる存在であることは確かである。
今回紹介するモデルは、アイコニックオークショネアが2025年5月8日まで開催していたオンラインオークションに出品されていた1台。それが1993年の東京モーターショーでプロトタイプが発表され、正式なプロダクションモデルは翌1994年1月の東京オートサロンでデビューを飾るという異例の形式が採用された、BCNR33型(R33型)スカイラインGT-Rだ。
出品車は正確には1995年式の日産スカイラインGT-R V-Spec。搭載されるエンジンは、先代のBNR32型スカイラインGT-Rに引き続き、RB26DETT型と呼ばれる2.6L直列6気筒ツインターボ。最高出力は280ps、最大トルクは368Nmを発揮した。
R33GT-Rは、先代のR32と比較してボディが大型化された。それに伴い、1530kgへと車重も増加していたため、エンジンの強化は絶対だったが、日産はECUの見直しやターボ過給圧の向上。バルブタイミングや吸排気系のデザイン変更など、広範囲にわたる改良を行い対応した。一方シャシーでもブレンボ製のブレーキシステムが装備され、V-SpecにはアクティブLSD、さらにはATTESA E-TS PROも採用された。
スモーキー永田が手掛けた1台
だがそれでもR33型スカイラインGT-Rのパフォーマンスには満足できないカスタマーは多かった。そこで登場するのがヨーロッパでも盛んなチューニングビジネスだ。ここで紹介するモデルは、日本の著名チューナーであり、スモーキーの愛称で親しまれている永田和彦氏が率いるトップシークレットが製作した1台。
1991年にトラストから独立し、千葉にトップシークレットを設立。1993年には東京オートサロンへの出品を開始した同社は、1994年からスモーキー永田氏とそのチームが、オンロードでの数々の高速走行でその名を馳せた。たとえばトヨタ「スープラ」をベースとするモデルでは、315km/hの最高速を記録するに至っている。
費用を惜しまずにチューニング
オークションに出品されたのは、そのトップシークレットが生み出したモンスターの1台。オリジナルのミッドナイトパープルのペイントを残し、ブロンズのRAYS製ホイールの存在を引き立てている。メカニカルな部分にも、もちろん費用を惜しんでいないのは大きな魅力だ。その代表的な改造メニューは以下のとおりである。
ニスモ製コンロッド、ニスモ製クランクシャフト、ニスモ製オイルポンプ、ニスモ製燃料ポンプ、HKS製272度カムシャフト、HKS製カムプーリー、HKS製FコンVプロECU、トップシークレット製メタルガスケット、トップシークレット製T1ターボ、トラスト製インタークーラー、トラスト製オイルクーラー、ブリッツ製ターボタイマー、ブリッツ製ツインインダクションキット、サムコスポーツ製ラジエーターホース&ブリーザー、660ccインジェクター、オーリンズ製サスペンションなどなど。これらのチューニングによって、その走りはまたひとつ次元の異なる世界へと導かれている。
4万5000ポンド~5万ポンド(邦貨換算約870万円~966万円)の予想落札価格を提示して始まったオンラインオークションは、締め切りの日時が近づくに連れて入札が増えたが、最終的にはそのレンジにやや届かない4万1340ポンド(邦貨換算約800万円)での落札となった。前でも触れたが、右ハンドル車に乗れるマーケットでは、これからますます日本車のコレクターズアイテムが、オークションに出品されていくことは間違いない。
