新型リーフ、ついにワールドプレミア! その役割とは?
2025年、深刻な赤字決算と大規模な構造改革のまっただなかの日産が、3代目となる新型「リーフ」を発表しました。航続距離、充電性能、そして欧州を狙ったその戦略とは? 日産の再建とリーフが担う役割について、全3回にわたってお伝えします。
エスピノーザ新社長が描く「Re:Nissan」計画の全貌
2025年6月17日(火)21時に日産新型「リーフ」がワールドプレミアされた。この発表に先立ち事前に新型リーフの詳細情報を得る機会があったので、お伝えしていこう。また、ご存知のように日産は社長交代があり、再建計画の最中であり、そうしたなかでの新型リーフはどのような役割を背負っているのかも覗いてみたい。
まず日産の経営状況だが、同年5月13日に2024年度の決算をイヴァン・エスピノーザ新社長から発表された。その中身として、まずグローバル販売は335万台で、売上高は前年度比525億円減の12兆6332億円で、そのうち営業利益は4989億円の698億円減、そして純利益は6709億円減の損失と発表した。
6709億円減のうち5000億円を減損損失という会計処理をしている。少しわかりにくいが、保有する固定資産など帳簿価額より低くなると想定し、その差額を損失として計上しているものだ。だから実際の損失ではなく、想定される損失であり、でもまぁ、実際にも同程度損失するものだが。
その価値の下がった資産とは、グローバルでの生産体制の価値低下であり、つまりは稼働率の悪い工場や余剰人員も含み、そのすべてを損失として今季の決算に盛り込んでいるのだ。
エスピノーザ社長はそうした減損損失を損失計上することで、2026年からV字回復する計画を進めている。これが「Re:Nissan」という再生計画で、グローバルで2万人の人員削減、17カ所の工場を10カ所に集約し稼働率を70%から100%にするという内容だ。そのため2027年の生産台数規模は250万台と想定しており、85万台ほど生産規模の縮小になるが、稼働率等の向上により利益率も向上するというわけ。
日産の利益率はわずか0.6%⋯ライバル各社との比較
2024年度の決算発表から利益率をみると日産は0.6%にしかならない。ちなみに日本のメーカーで利益率だけをみると、トップはスズキで11%。かつてはスバルがもっとも利益率が高く14%程度を維持していたものの、今季は8.6%に下がっている。そしてトヨタは10%、ホンダは5.6%、マツダ3.7%といったところだ。
さて、Re:Nissanの主要マーケットは北米、日本、欧州、中国、中東、メキシコとし、それぞれのマーケットに新型車を続々と投入する計画だ。先日も中国ではNEV規制に対応するEV(電気自動車)の「N7」(セダン)を東風日産から発表し、1カ月で1万7000台以上の受注をしており、好調な滑り出しをしている。
そして今回の新型リーフはメイン市場を欧州と北米、そして日本としているが、北米が現在トランプ関税により不確実な状況で不透明だ。そうしたRe:Nissanの計画の中でリーフは、欧州マーケットでの成功を目指してEVを投入するということになる。思惑としては欧州を6〜7割、日本は2〜3割とし、残りを北米で販売するとしたいところなのだが⋯⋯トランプめ!
このような状況から投入される、3代目となる新型リーフにはどのような商品価値と魅力があるのか? それをこれから探って行きたい。まず、EVのネガ要素として航続距離と充電時間があると思う。一方メリットとしてはドライバビリティの質の変化による良品化、インターネットを使ってのユーティリティ向上、V2Xに代表される情報の取りやすさや給電といった使い方などがあると思う。それらがどのように進化し、われわれユーザーに突き刺さるのか? 興味深い。具体的な車体考察は次の回で。
