フルインナーフレーム構造の採用でボディ剛性が劇的変化
スバル新型「フォレスター」の公道試乗会が行われました。試乗車は2.5Lストロングハイブリッドを搭載するプレミアムS:HEVと1.8LターボのSPORT。パワーユニットの違いであらゆるシーンにおける走りの個性が異なっていました。
高速道路を中心に走るならターボが気持ち良い
いよいよ新型フォレスターの公道試乗ができることになった。いまやスバルの重要な屋台骨にしてスバルのDNAを余すことなく盛り込んだ、スバル渾身の本格SUVにしてアドベンチャーギアだ。
改めてフォレスターの概要をおさらいしておくと、2周目に入ったスバルグローバルプラットフォーム(SGP)とフルインナーフレーム構造を基本骨格にしたミドルクラスの本格SUV。最低地上高は220mmを確保し、本格クロカン4WD並みのクリアランスを実現している。いかにもオフロードパフォーマンスの高そうな体躯を持っている。
ハイブリッドでもプロペラシャフトで後輪に駆動力を伝達
搭載するパワーユニットは2.5L NAのボクサー(水平対向4気筒)エンジンをベースにしたストロングハイブリッド(S:HEV)と、同じくボクサーの1.8Lターボの2タイプ。駆動方式はプロペラシャフト付きのシンメトリカルレイアウトのフルタイムAWDのみとなる。
グレード体系は、ストロングハイブリッド(S:HEV)が最上級のプレミアムとラギッドな内外装を採用するX-BREAK、1.8LターボはSPORTという計3タイプ(それぞれに上位仕様のEXを設定)。
まずは1.8Lターボを搭載するSPORTグレードに試乗。大柄になって先代モデルより70kgほど車重が増しているが、走らせた印象にネガティブなことは感じなかった。低回転域から効くターボの効果で、低中回転域でもエンジンの力感は十分。スルスルと車速を上げていく。とくに3500rpmを超えた先からはターボパワーが充実してきて、伸びのいい加速を見せてくれる。後述するストロングハイブリッドと比べても高速域の伸びはターボに分がある。高速道路を積極的に走るようなロングドライブでは、ターボの良さが光る。
AWDシステムは、ターボのSPORTがアクティブトルクAWD、S:HEVが電子制御AWDカップリングとなっている。このふたつの基本構成は同じで、電子制御多板クラッチカップリングを使ったもので、トルク配分は前60対後40を基本とする。S:HEVのアクティブトルクAWDは、これにハイブリッド協調制御を盛り込んで、燃費の向上もあって低負荷時はスバルとしては初めて後輪の駆動をカットしている。しかし、ハイブリッドモデルでも後輪をモーターではなく、プロペラシャフトで駆動力を伝達させているのは、スバルの4WDに対するこだわり。より高い駆動力を後輪に与え、4輪でしっかりと路面をつかんで車両の安定性を高めようとしているのだ。
ただ、少なくともオンロードを走る限りその性能差は感じられなかった。
シャープなフットワークと骨太さを感じるハイブリッド
操縦性に関しては、プレミアムS:HEV、SPORTともに印象はすこぶる良かった。
19インチホイールを履くプレミアムS:HEVと18インチホイールのSPORTで、走り味に違いがあった。印象的には19インチのほうがシャープで軽快。18インチのスポーツは穏やかでしっとり。そんな感じだ。個人的には、デザインでは19インチ、乗り味はサスセッティングも含め18インチが好みである。
プレミアムS:HEVのサスペンションは、ターボのSPORTに比べやや引き締まった味付け。硬いというほどではないが、カーブでのロールを抑えている。SPORTに対してさらに100kg以上重いことの対策もあるのだろう。ただ、そのおかげで、車高の高さからくる不安定感とか重さ感はターボと同等か、むしろよりシャキッと走る印象がある。
市街地やタイトなワインディングなど、低中速域を中心に走らせてみると、2.5L+モーター駆動のトルクの骨太感みたいなものが感じられる。ターボより優れた燃費性能もストロングハイブリッドの魅力だろう。
