約8年半ぶりに新型はガソリンエンジンとHV
レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之氏が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のお題は「マツダ新型CX-5」。3代目となるCX-5は、2.5Lガソリンエンジンのみでディーゼルエンジンは廃止となりました。
デザインの艶やかさはキープされたがディーゼル廃止に寂しさも
新型マツダCX-5が発表されました。まだ実車を目にすることはできませんが、発表された写真を見ている限り、これまでの艶やかな存在感はしっかりと維持されているようです。新しい時代を感じさせるそのデザインに、期待を抱く人々の視線を一心に集めています。
ただ、その進化に驚くと同時に、ディーゼルエンジンの廃止に対して寂しさを感じている方も多いのではないでしょうか。正直なところ、僕もそのひとり。ディーゼルが持っていたあのトルクフルな走行性能や、長距離走行時の圧倒的な燃費性能には、どこか心を奪われていました。あのエンジン音と走りの心地よさは、何にも代えがたい魅力がありますからね。ディーゼル廃止、まさかの展開に思わず胸が痛むわけです。
でも、新型CX-5はそんな思いを吹き飛ばすかのような進化を遂げています。マツダの「魂動デザイン」がさらに洗練され、外観はもちろん、内装もCX-60を彷彿とさせる上質な仕上がりです。高級感あふれるインテリアや、センターコンソールのデザイン、ディスプレイ配置など、使い勝手に対しても気配りが感じられます。まさに「高級SUV」と呼ぶにふさわしい外観と内装のバランスを見せているんですよ。
ガソリンエンジンを軸にマイルドHVとストロングHVを設定
しかし、やはり注目すべきはそのパワートレイン。これまでCX-5の主力だった2.2Lディーゼルエンジン(SKYACTIV-D 2.2)は廃止され、かわりに2.5Lガソリンエンジンとマイルドハイブリッドシステム(e-SKYACTIV G 2.5)が搭載されることになりました。さらに、2027年にはストロングハイブリッド(SKYACTIV-Z)も登場予定とのこと。ディーゼルに別れを告げ、未来志向のハイブリッドへのシフトが明確です。
この変更の裏には、マツダのエンジンラインナップの集約と、電動化への本格的な投資があると言えます。ディーゼルエンジンは、FRベースの大型SUV(例えばCX-60やCX-80)に集中し、FFベースのCX-5には適さないという判断がなされたようです。正直言って、時代の変化を感じざるを得ません。
ディーゼルファンの喪失感と、新型CX-5への期待
ディーゼルエンジンは、とくにトルク感や長距離走行性能を重視するユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢でした。CX-5のディーゼルモデルは、日本国内市場でも約半数の販売比率を占めるほど人気があり、その存在感は本当に大きかったんです。それを思うと、ディーゼルの廃止はやはり少し寂しい……。でも、こればかりは環境規制や技術革新の流れを受けての必然だったのでしょう。
とはいえ、ディーゼルエンジンの廃止が示すのは、単なる時代の終わりではありません。新型CX-5は、環境への配慮を強く反映した選択肢を提供しています。マイルドハイブリッドやストロングハイブリッドといった新たなパワートレインの導入により、走行性能や燃費性能がさらにバランスよく進化しており、日常的な使用においても高い満足感を提供すること間違いなしです。
そして、CX-5は今後もマツダの中核SUVとしての地位を確立し、電動化や環境対応を進めながら、多くのユーザーに愛され続けることが予想されます。新型CX-5はその進化を通じて、これからの時代にふさわしい選択肢を提案してくれることでしょう。期待したいですね。
結局、ディーゼルエンジンの廃止は、単なるひとつの時代の終わりを意味しているだけではなく、進化と変革の象徴でもあるわけです。
あのトルクフルな走りや、独特のエンジンサウンドを惜しむ声があるのも理解できますが、だからこそ新しいCX-5に期待したい。次の時代を作るのは、やはりその先にある未来のために進化することだと思います。
新しい時代のCX-5が、これからも多くのファンに愛される存在であり続けることを心から願っています。
