ガンディーニ・デザインにパガーニが機能性をプラス
ランボルギーニの伝説的スーパーカー「カウンタック」の最終進化型として登場したアニバーサリーは、いまなお世界中のファンを魅了し続けています。今回RMサザビーズのモントレーオークションに登場した1989年式の個体は、特別な来歴と奇跡的なコンディションを備え、会場の注目を集めました。この出品の舞台裏には、クラシックカー市場におけるカウンタックの評価を占う大きな意味が秘められていたのです。
ランボルギーニ創立25周年を祝した「アニバーサリー」
1988年に誕生し、ランボルギーニ カウンタックの最終進化型となった「アニバーサリー」が、先日開催されたRMサザビーズのモントレーオークションに出品された。ちなみにアニバーサリーとは、それがランボルギーニ創立25周年を祝するモデルであるという意味が込められたネーミングだ。
カウンタックのヒストリーは、1973年に発売されたファーストモデルである「LP400」までさかのぼり、その後1978年には「LP400S」、1982年には「LP500S」、そして1985年になると「5000QV」へと進化を続けてきた。
ちなみに今回紹介するアニバーサリーは、この全シリーズを通じてセールス面ではもっとも大きな成功を収めたモデル。1990年までの2年間で生産された台数は657台ほどであったが、現在でもカウンタックやランボルギーニのみならず、スーパーカーのファンから常に熱い視線が注がれる存在となっている。
アニバーサリーのデザインを担当したのは、当時ランボルギーニの契約デザイナーであり、現在は自らの名を冠したハイパーカーメーカー、パガーニ・アウトモビリ社を率いる立場にあるオラチオ・パガーニだった。かのマルチェロ・ガンディーニが描いた基本的なカウンタックのシルエットはそのままに、より優秀なエアロダイナミクスを得るために採用された新たなディテールはじつに刺激的な造形で、それはカウンタックというスーパーカーに新たなカスタマーを迎え入れるために大きく貢献した。
ミウラに続きカウンタック相場も高騰の兆し
この斬新で流麗なボディに包み込まれるメカニズムにも確実な進化があった。チーフ・エンジニアだったルイジ・マルミローリは、冷却効率のさらなる向上を筆頭に、点火系やキャタライザーのリニューアルなどで、ミッドに搭載される5167cc仕様のV型12気筒DOHC4バルブエンジンをアップデート。最高出力の455psという数字には前作の5000QVから変化はなかったものの、実用域での扱いやすさを始め、さまざまなシーンでカスタマーはその効果を感じ取ることができた。前後のトレッドを各々15mm、25mm拡大したことで、そのコーナリング・マシンとしての魅力がさらに高まったことも見逃せない。
今回RMサザビーズがモントレー・オークションに出品したカウンタック・アニバーサリーは、「KLA12643」のシャシーナンバーを持つ1989年式のアメリカ・スペックだ。ブラックで統一されたエクステリアとインテリアは、ニュージャージー州のパルミラにあるランボルギーニ・ディーラー、F.C.ケルベック&サンズを通じて同州に住むファースト・オーナーにデリバリーされた時のままのコンディション。オドメーターに刻まれる現在までの走行距離がわずかに5655kmという数字であること、そして定期的に丁寧なメンテナンスが施された記録が残っていることも、このオークションに大きな注目が集まった理由だった。
果たしてカウンタックというランボルギーニのスーパーカーは、これからどのような評価をクラッシック・カー市場で得ていくのだろうか。それを占う意味でも重要な意味を持つこのオークションで、RMサザビーズが設定した予想落札価格は50万ドル~80万ドル(邦貨換算約7360万円~1億1774万円)とかなり幅のあるものだったが、最終的にそれは55万5000ドル(邦貨換算約8168万円)という価格で落札されることになった。
参考までにファーストオーナーが、このアニバーサリーの購入時に支払った金額は、当時の希望小売価格である15万4000ドルに、5万1000ドルのプレミアムをプラスしたものだったというから、その価値は37年という時を経て確実に高まっているのがわかる。
ランボルギーニのクラッシック部門であるポロ・ストリコによれば、ここ最近の値上がり率はあのミウラに続くものとされるカウンタック。この稀代のスーパーカーに対する評価は、これからも高く推移していくことは間違いないだろう。それが確信できたオークションだった。
