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アルファ ロメオ最後のFRセダン!「75」に今も惹かれる理由【カタログは語る】

アルファ ロメオ 75のカタログ

トランスアクスルにインボードディスクなど先進技術満載

アルファ ロメオ「75」は、1985年に誕生したブランド創立75周年記念モデルであり、最後のFRセダンとして歴史に名を刻んだ1台です。日本には1987年に大沢商会を通じて導入され、V6モデルをはじめ独自の魅力を放ちました。トランスアクスル方式やインボードブレーキなど先進的な機構を採用し、コンパクトなボディとイタリアらしいデザインを兼ね備えた存在は、今なお鮮烈にアルフィスタの記憶に残っています。

「また乗りたい」と思わせるアルファ ロメオ

筆者にとって、アルファ ロメオは昔から特別なブランドのひとつだ。115年の歴史から見ればわずかな期間だが、1990年代以降、V6エンジン搭載車を何台も(そのうちセダンは4台)乗り継いだ経験がある。

高回転域まで回したときのスイートなエンジンサウンドとパワーフィール。爪先を立ててコーナーをクリアしていくような軽やかでしなやかなフットワーク。そしてどのモデルも唯一無二の個性を持つスタイリッシュなデザインは、アルファ ロメオ好きの心を捉えて離さない。最後に所有した166を手放してから10数年が経った今でも、「また乗りたい」という思いが消えることはない。

では、最新のアルファ ロメオはどうか。もちろん元アルフィスタである以上、他のブランドに比べ一目置く存在ではある。しかし、現行のラインアップはセダンのジュリアを除けば、ステルヴィオ、トナーレ、そしてBEVのジュニアと、いつの間にか大半をSUVが占めるようになった。これは世の趨勢であり、アルファ ロメオに限った話ではないとはいえ、身近だったジュリエッタやミトがなくなった現状には、一抹の寂しさを感じざるを得ない。

アルファ ロメオ伝統のFRレイアウトを踏襲した最後のモデル

アルファ ロメオといえば、やはりスポーツセダンのイメージが強い。イタリア流に言えば「ベルリーナ」だが、「クオーレ・スポルティーバ(スポーツの精神)」のコンセプトのもと、クーペやオープンモデルと何ら変わらないピュアでスポーティな走りを楽しませてくれるのが、アルファ ロメオのセダンなのだろう。

そんななかで、今から40年前の1985年に登場したのが「75」である。75は、後継の155、156がFWDへとスイッチする以前の、アルファ ロメオ伝統のFRレイアウトを踏襲した最後のモデルだった。車名の「75」は、ロンバルダ自動車製造有限会社(A.L.F.A.)の創立75周年を記念して名付けられた。1985年に登場した75だが、当時の日本には正規代理店がなく、即座に導入されることはなかった。しかし1987年に大沢商会が総輸入・販売元となったことで、ようやく日本市場でも展開されることになった(筆者が保管しているカタログ写真のうち、黒地のものはその時の大沢商会のものだ)。

1.6直4から3L V6のほかディーゼルやターボの設定もある多彩なパワーユニット

75のメカニズムは、先代モデルであるヌオーヴァ・ジュリエッタ(1977年〜1985年)やアルフェッタ(1972〜1987年)から受け継がれたものだ。その最大の特徴は、トランスアクスル方式の採用にある。エンジンはフロントに縦置き、トランスミッションはリアに配置することで理想的な前後重量配分を実現し、さらにインボードブレーキも採用された。

エンジンは、本国では直列4気筒の1.6L、1.8L、2LのDOHCを始め、1.8Lターボ、2Lターボディーゼル、そしてV6の2.5Lおよび3Lが設定された。1.8Lターボは、排気量を1761ccに落とし、当時のグループAツーリングカーレースのホモロゲーションを取得した「75ターボ・エボルツィオーネ」も登場した。

一方で、日本仕様のカタログには2Lのツインスパークと2.5LのV6が用意されていた。燃料供給装置は、ツインスパークがM.M.E.I(モトロニック・マルチポイント・エレクトロニック・インジェクション)、V6がB.L.J(ボッシュ・Lジェトロニック)である。カタログの諸元表によると、いずれも最高速度205km/h、V6を搭載した「75 MILANO」では1/4マイル加速タイムが17.5秒と記されていた。

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアはド・ディオンアクスルを採用。V6モデルにはセルフレベリングサスペンションも装備され、ATもオプション設定されていた。また、保管していた特別仕様車のチラシには、V6モデルにJVC+JBLのオーディオが特別装備されたモデルが記載されていた。スピーカーのJBLは、当時同じ商社の扱いブランドだったため、このような仕様が用意されたのだろう。

ボディサイズは、全長4330mm×全幅1660mm×全高1350mm、ホイールベース2510mmと、今から見ればコンパクトだ。エクステリアデザインは、1977年のジュリエッタや1983年の33と同様、ハイデッキのウェッジシェイプが特徴的だった。フロントからリアにかけてショルダー部分に黒いベルトを通すなど、今でいう「クセ強」なデザインとでも表現すれば良いだろうか。このウェッジシェイプは、後継の155にも受け継がれた。

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