世界に1台だけのサニトラ!ストレッチして6輪化の超個性派
富士スピードウェイのショートコースで注目を集めていたのは、世界に1台しかない“6輪”のピックアップトラックでした。オーナーの東山泰裕さんが幼少期に憧れた6輪F1マシンをモチーフに、1989年式の日産「サニートラック(以下:サニトラ)」をベースに大胆カスタム。70cm延長したロングボディに4輪リアを組み込み、公道を走れるトランポとしても活躍するその姿は、旧車好きのみならず見る人すべてを驚かせます。数々のカスタムカーを見てきた筆者でも、6輪仕様のサニトラに驚きました。早速オーナーの東山さんに話を聞いてみました。
幼少期の憧れだったティレル6輪F1をイメージ
2輪も4輪も旧車マニアだという東山さん(60歳)。これまでにもさまざまなカスタムカーを作ってきた。
「そろそろ人生最後に思い出に残るクルマにしよう」
そう考えたとき、子供の頃に大好きだったティレル6輪F1マシンのことを思い出した。
そして、愛車だったサニトラを眺めているうちに
「ひょっとしたらイケるかも」
とひらめき、知り合いのクルマ屋に相談。そこから製作が始まったと話す。
ベースとなったのは、1989年式の丸目最終のB122型サニートラックだ。ボディをロング化させるため、もう1台部品取り用のサニトラを用意し、いわゆる「ニコイチ」で製作。後方に伸ばしたフレームと荷台の長さは約70cmだ。そのため、このサニートラックの全長は4880mm(標準ロングモデルは4140mm)にもなる。スタンダードに比べるとかなり長く感じるが、現代のセダンやミニバンよりも小さい。
リアタイヤ2軸化のみならずオーバーフェンダー&エアロも装着
6輪化に伴う足まわりについては、フロントは純正のままだ。リアはリーフスプリングをダブルで装着させ、前後でオフセット化させている。より低く車高を落とすべく、専用のブロックを製作し、メンバーに取り付ける工夫も施している。
外装は、ボンネット、フェンダー、バンパー類がフルFRP製だ。バンパーとサイドステップは、大昔に流行した神奈川県・横浜のチューニングショップ「まつおか」製。ニコイチのロングボディに合わせてブリスターフェンダーもまつおか製をロング化させた、東山さんのワンオフモデルだ。
また、フロントバンパーからサイドステップ、リアフェンダー、リアバンパーまでを継ぎ目なく一体成型で作り込んでいる点も、見逃せないポイントだ。
「ぶつけると修復が大変」
と話す東山さんはこの特別なボディをまとったサニトラで、サーキットを果敢に攻めていた。
公認車検を取得した万能トランスポーター
サーキット走行で気になったのは、サイド出しマフラーが奏でる心地よいエキゾーストノートだ。
「エンジンも相当チューンしているのでは」
と尋ねると、排気量がスタンダードの1.2Lではなく、1.5Lになっている。搭載しているエンジンは日産バネットの1.5Lで、キャブレターをOER44φ仕様に、エキゾーストマニホールドをフジツボレース用に交換している。ラジエータなどは現在純正だが、今後、水まわりの強化やオイルクーラーの装着も考えているそうだ。
この超ロングなサニトラはまさに圧巻だ。東山さんいわく
「世界で1台だけのサニトラを目指して作った」
というが、その言葉どおりに特別な1台だ。サーキット走行もこなし、買い物にも使い、荷台にバイクを載せてトランポとしても活用しているという。まさに「よく遊び、よく働き、便利に使えるクルマ」だ。
この衝撃的なルックスで構造変更申請を提出して、通常どおりに車検が受けられるようにしたというから、つくづく凄いと感じた。
