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世界1周を7日+13時間で実現するメルセデスAMGのスーパーBEV「CONCEPT AMG GT XX」

メルセデスAMG コンセプトAMG GT XX:スポイラーレスへの提言と言えるフォルムは車体表面の気流を電気的に制御

EVの限界突破!な24時間で5479km走り抜く驚異的なスペック実現

メルセデスAMGが「CONCEPT AMG GT XX」で、電動車の限界を覆す走行記録を達成しました。イタリアの高速テストコースを24時間で5479kmを走破し、従来記録を1500km以上も更新。さらに7日と13時間2407秒で地球1周相当の475kmをも走破しました。最高出力1000kW超を誇る3基のアキシャルフラックスモーターと液冷式高性能バッテリーの搭載で、平均充電出力850kWという超高速充電も実証。AMG.EAアーキテクチャの実力に世界が驚いています。

搭載する3基のモーターは最高出力1360psのモンスター級

メルセデスAMGはイタリア南部ナルドの高速テストコースにおいて、電動コンセプトカーのCONCEPT AMG GT XXで前例のない耐久走行記録を樹立。24時間走破距離5479kmを達成し、従来の記録を1518kmも更新した。さらに「地球1周8日間チャレンジ」と題された長距離耐久走行では、地球1周分の距離475km7日と13時間2407秒で完走し、目標の8日を大幅に短縮した。

この記録への挑戦は、AMGの次世代専用EVアーキテクチャのAMG.EAに採用される最新技術の耐久性と性能の証明が目的だ。動力源は3基のアキシャルフラックスモーターであり、従来型モーターに比べ3倍のパワー密度を誇りながら軽量・コンパクトなことが特徴。最高出力は1000kW1360ps超)を発揮し、連続的に高出力を維持できる設計だ。

バッテリーは新開発の液冷式高性能ユニットを採用。3000セル以上を個別に冷却する独自の油冷技術により、温度を最適に保ちながら高負荷走行と超高速充電を可能にした。充電性能は平均850kWと現行のそれを大きく凌駕し、わずか5分で400kmの航続分を充電できる能力を実証していることになる。

2台同時に地球1周分走行して差はわずか25kmレベルの信頼性

この走行プログラムでは2台のCONCEPT AMG GT XXが同時に挑戦し、いずれも地球1周分の距離を走破。両車のゴール時の差はわずか25km。総計3177周に及ぶ挑戦は日中35℃を超える環境下でも、1日平均5300km以上を時速300km/hで走破。過酷な条件下でも安定した性能は、量産化に向けた技術的信頼性を裏付ける。

今回の挑戦にはメルセデスAMG本社、F1エンジン部門の技術者、ミシュランや急速充電機器メーカーのAlpitronicといった外部パートナーも参加。ピット作業や遠隔診断システムを駆使し、F1級の総力戦を敷いた。F1ドライバーのジョージ・ラッセルも「F1同等のレスポンスとこれまでのEVにない持久力」と評価している。

AMGにとって、ナルドでの記録挑戦は特別な意味を持つ。197080年代にはC111試作車により、ディーゼルやガソリンの新技術を実証する舞台となった。今回は同じ場所で、完全電動駆動による新時代の性能が実証されたのだ。

CONCEPT AMG GT XXは量産型EVアークテクチャーのAMG.EAの技術実証車であり、2026年には市販モデルが登場予定とされる。その性能と耐久性は世界記録という形で裏付けられ、従来のモデル以上に走りに特化した存在であることを明確にした。

AMWノミカタ】

CONCEPT AMG GT XXが初採用したアキシャルフラックスモーターとは磁束が回転軸に沿って縦方向に流れる構造を持つ。これにより、従来の磁束が放射型に流れるラジアル型と呼ばれるモーターより、約3倍のパワー密度を実現可能で、同じ出力なら小型・軽量に作れるため、車両全体の重量を抑えられるとともに設計自由度が高いという特徴を持つ。また、高速走行や繰り返しの高負荷走行に強く、平面構造で熱管理がしやすいため、安定した性能を維持できることもポイントだ。

直冷式(セルごとに冷却する方式)の液冷バッテリーもこのモデルで初採用された技術。熱が均等に分散され、セル劣化を防ぎ、性能を長時間維持可能とする。また冷却能力が優れていることから平均850kWという極端に高い充電出力に耐える。

アキシャルフラックスモーターと直冷式バッテリーという世界初採用技術を量産車に導入すれば、電動車市場におけるAMGの独自性は一層強まるだろう。

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