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わずか66台のアメリカ仕様!37年間ワンオーナーの「カウンタック5000QV」の落札予想価格は1億円超

80万ドル~90万ドル(邦貨換算約1億1774万円〜1億3246万円)で現在も販売中のランボルギーニ「カウンタック 5000QV」C)Courtesy of Broad Arrow

新車級の個体がオークションに登場!

スーパーカーの代名詞、ランボルギーニ「カウンタック」。そのシリーズのなかでも「カウンタックの最良モデル」だと断言する根強いファンも多い「5000QV」は、1980年代を象徴するスーパーカーです。今回のブロードアロー・オークションズ社が2025年8月の「モントレー・ジェット・センター・オークション」に出品したのは、なんと37年間ワンオーナーで大切に保管されてきた貴重な個体でした。

革新的な「ウエッジシェイプ」と「逆向きミッドシップ」

ランボルギーニは、スーパーカーの始祖ともいえるミウラの後継モデルの開発を、「LP112」のプロジェクト・コードを掲げ、1970年代を迎えた頃にスタートさせた。

「カウンタック」という車名が与えられ、プロトタイプ「カウンタックLP500」が披露されたのは1971年のジュネーブ・ショー。このプロジェクトが驚異的なスピードで進行したことは容易に理解できる。

だが、カウンタックの生産型、ファーストモデルとなった「LP400」が誕生するまでには、それからさらに2年の時間が必要だった。しかし、LP400は瞬く間にスーパーカーの世界におけるトレンドセッターとなった。

当時ベルトーネのチーフデザイナーであったマルチェロ・ガンディーニによって描かれたボディ形状は、1968年作のアルファ ロメオ「カラボ」や、1970年作のランチア「ストラトス ゼロ」といったコンセプトカーと同様に、革新的なウエッジシェイプを特徴とする。

また、V型12気筒エンジンと5速MTからなるパワートレインを、車体の後方から一般的なフロントエンジン車とは前後逆方向に搭載するという、パオロ・スタンツァーニによるエンジニアリングも、カウンタックという新型スーパーカーの斬新さを強調する大きな理由であった。

テスタロッサに対抗した最終進化形「5000QV」

LP400に搭載されたV型12気筒エンジンは、3.9Lの排気量から375psの最高出力を得た。だが、1978年に登場した「LP400S」では353psへとわずかにダウンしている。

ランボルギーニは1982年、排気量を4.7Lにまで拡大した「LP500S(5000S)」を市場に投入した。LP400と同様の375psというスペックを再び実現した。

1984年、ライバルのフェラーリは4.9LのV型12気筒DOHC 4バルブエンジンを搭載するテスタロッサを390psでデビューさせた。これに対抗するため、ランボルギーニは排気量を5.1Lに拡大し、DOHC 4バルブヘッドを与えた「5000QV」を1985年に発表した。ちなみにQVとはクアトロ・バルボーレ(4バルブ)の意味だ。ダウンドラフト型のウェーバー製キャブレターが組み合わされたヨーロッパ仕様では、最高出力は455psを発揮するに至っている。

クライスラーに買収された後に生産された稀少なアメリカ仕様

今回ブロードアロー・オークションズが開催したモントレー・ジェット・センター・オークションに出品したのは、1988年までに610台が生産された5000QVのうち、わずか66台のアメリカ仕様モデルだ。5000QVは、それまで正規に輸出できなかったアメリカ市場での販売も実現した。

アメリカ仕様は、大型バンパー、サイドマーカーランプ、エンジンカバーのデザインなど、外観のディテールはヨーロッパ仕様とは異なる。搭載されるV型12気筒エンジンには、ボッシュ製のKEジェトロニックが組み合わされた。最高出力は当時420psと発表された。

ランボルギーニは、5000QVの生産を行っている途中の1987年に、アメリカのクライスラーによって買収されている。これにより、5000QVにはセントラルロックや強化型エアコンの装備、ZF製のシンクロメッシュトランスミッションの採用など、商品力を高めるためのさまざまな改良が加えられることになった。

出品車は1987年9月に生産されたアップデート版5000QVだ。ネロ・テネブレのボディカラー、ネロ・レザーのインテリア、OZ製ゴールド・オルテ色のダイヤルホイール、オプションのリアウイングもすべて新車時からの仕様を保っている。

じつは、同年10月にこのクルマを購入したファーストオーナーは、37年間以上にわたって所有を続けてきた。2025年にはグリニッジ・コンクール・デレガンスのコンクール・デ・スポルト部門でクラス優勝の栄誉も獲得している。現在までの走行距離はわずかに2043マイル(約3287km)だ。

ブロード・アロー・オークションズは、この5000QVに対して80万ドル~90万ドル(邦貨換算約1億1774万円〜1億3246万円)というエスティメートを提示した。

しかし、残念ながら今回のオークションでは落札されることはなかった。オークションシーンにおけるカウンタックシリーズの人気は、ファーストモデルLP400、あるいはラストモデル「アニバーサリー」へと集まる傾向がある。今後の動向に注目したい。

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