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英国フォードのハイパフォーマンスモデルで大成功をおさめた「エスコート Mk1 メキシコ」!エンスー界隈のアイドル車の現在の相場は?

価格非公開で落札されたフォード「エスコート Mk Iメキシコ」(C)iconicauctioneers

イギリスのエンスージアストはとにかく英国フォードがお好き

イギリスでは、古くからフォードの高性能モデルが特別な存在として親しまれてきました。なかでもモータースポーツの流れをくむモデルは、今なお多くの愛好家を惹きつけています。2025年11月8日に実施されたイギリス最大規模のクラシックカートレードショー「NEC Classic Motor Show 2025」のオフィシャルオークション「The Iconic Sale at the NEC Classic Motor Show 2025」では、そうした“パフォーマンスフォード”が数多く集まり、注目を集めました。今回は、その原点ともいえるエスコートMk1メキシコに焦点を当て、モデルの成り立ちとオークションでの評価をたどります。

ラリーでの勝利によって市販化を決定!1.6Lクロスフローエンジンを搭載

英国人エンスージアストの間で「パフォーマンスフォード」と呼ばれる、スポーツ指向の高いフォード高性能モデルの先駆けとなったのは、おそらく「コンサル コルティナ」にロータスの1558cc・DOHCエンジン(ブロックはフォード製)を搭載したロータス「コーティナ」かと思われる。だが、その成功を決定的なものとした最大の功労者としては、やはり「エスコート メキシコ」を挙げないわけにはいかない。

かねてから英国フォードでは、エスコート「1300GT」と「エスコート ツインカム/エスコートRS1600」の中間に位置する高性能版エスコートの生産計画を企てていたが、1970年4月〜5月に開催された「ロンドン〜メキシコ・ワールドカップラリー」におけるハンヌ・ミッコラの勝利が、このモデルを市場投入する絶好の機会となった。

英国フォード社内に新設された「AVO(アドヴァンスト・ヴィークルズ・オペレーションズ)」のエンジニア陣は、「ツインカム」や「RS1600」にも採用されたヘビーデューティタイプの「タイプ49」ボディシェルに、新たにクロスフローヘッドを与えられた水冷直列4気筒OHV・1598ccの「ケント」エンジンと「2000E」ギヤボックスを組み合わせた「メキシコ」を迅速に開発する。つまりメキシコは、実質的にエンジンを換装した普及版のツインカム/RS1600だったことになる。

こうしてデビューしたエスコート メキシコは、AVOが手掛けた「ラリースポーツ・エスコート」のなかでもっとも成功を収め、生産台数も最多となった。優れた性能にくわえてメンテナンスの容易さ、比較的安い保険料、そしてなによりも「運転の楽しさ」という数多くの美点を備えており、これは今日でも変わらない。

ところがMk1エスコート メキシコの生産は、フォードがエセックス州アヴェリーに開設していたAVO工場を閉鎖した、1975年1月をもって終了することになる。しかし英国クラシックカー愛好家ならば誰もが知る、ケントユニットの素性の良さやチューニング適性の高さゆえに、ツインカム用のロータス・ツインカムや、時にはRS1600用のコスワースBDA(DOHC・16バルブ)にも匹敵するパワーを得るに至ったこともあって、1980年代以降もスポーツ指向の高いエンスージアストはもちろん、いわゆる街乗り「カフェレーサー」たちにとっても、手の届くアイドル的な存在となってきたのだ。

英国内のフォード愛好家界隈では有名な個体

フォード エスコート メキシコは1970年11月に発表され、1975年初頭までに1万352台が生産されたといわれているが、このほど「The Iconic Sale at the NEC Classic Motor Show 2025」オークションに出品された個体は、1974年5月31日に英国内で初登録された右ハンドル仕様車。英国内のフォード愛好家界隈では著名な1台である。

印象的な「ル・マン・グリーン」のボディカラーで仕上げられたこのエスコートは、今回のオークション出品者でもある現オーナーは、2014年の購入後からパフォーマンスフォード愛好家のイギリス全国大会「AVOナショナルデー」に、毎回欠かすことなく参加してきた。

また「NEC Classic Motor Show」ではAVOブースを飾ったほか、AVOオフィシャルマガジン「HAVOC」にも、複数回にわたって登場。アント・アンステッド氏とマイク・ブリューワー氏が出演するディスカバリーチャンネル「Wheeler Dealer(日本版タイトル:名車再生!クラシックカーディーラーズ)」が、英国各地のカーショーにて展開したブースにもディスプレイされてきた。

さらに、子供たちのための慈善団体への募金活動を行うことを目的とする人気イベント「スポーティング・ベアーズ」の常連にして、もっとも人気のある乗り物のひとつとしても活躍している。

そして、2025年8月には次なるオーナーへの譲渡に向けて、エンジン再調整を含む機械的整備を実施。整備履歴ファイルには「MGAオートス」社発行の作業明細書が保管されている。現行の英国MoT車検は、2026年9月5日まで有効とのことである。

このエスコート・メキシコについて、アイコニック・オークショネア社では2万ポンド〜2万5000ポンド(邦貨換算約421万円〜約526万円)という、このモデルのマーケット状況を熟慮したと思われるエスティメート(推定落札価格)を設定。その補足説明をするかのごとく

「このメキシコのエスティメートは、提供内容から見て非常に競争力があります。1970〜1980年代のパフォーマンスフォードへの関心は衰える気配がなく、この時代を象徴する個性豊かなスポーツアイコンを愛するあらゆる愛好家にとって、この1台は誇るべき存在となるでしょう」

と、自社の公式オークションカタログ内にてアピールしていた。

そしてオークション当日、バーミンガムNECのホール2で行われた競売では、取り引きこそ成立したものの、その価格は非公開とされることになった。同じ「アイコニックNEC 2025」オークションに出品された「モンザブルー」の1974年式エスコート メキシコが4万500ポンド、別会社「クラシックカー・オークション」が同じく「NEC 2025」に付随して開催したオークションにおいても、1975年式の白いエスコートMk1メキシコが2万5875ポンドでそれぞれ無事落札されたことを考えると、上記のエスティメートは充分にリーズナブルと言えるものであり、おそらくは大きな誤差のない範囲のハンマープライスで販売されたものと思われる。

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