サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

長寿を誇ったスーパーカー「カウンタック」を鬼才パガーニが手掛けた「25thアニバーサリー」驚愕の落札額!?

41万7500ドル(邦貨換算約6520万円)で落札されたランボルギーニ「カウンタック25thアニバーサリー」(C)Courtesy of RM Sotheby's

自動車デザインの根本を覆すデザイン
天才ガンディーニから鬼才パガーニへ
スーパーカーの概念を覆した16年の長寿
カウンタックをモダナイズさせた最終形

2026年1月23日に、RMサザビーズ北米本社が米国アリゾナ州フェニックス市内で開催したオークション「ARIZONA 2026」。そこに出品されていた1989年式ランボルギーニ「カウンタック25th アニバーサリー」を題材に、そのモデルの概要とともに、注目のオークション結果をご紹介していきます。

スーパーカーとしては異例の16年の長寿 
カウンタックをモダナイズさせ蘇らせた

自動車が生まれてこのかた、少なくとも筆者が生まれた1950年代以降で、もっとも衝撃を受けたクルマの登場は、個人的にランボルギーニ カウンタックのデビューであった。およそ固定観念的に考えられた自動車の形とは、全く異なるスタイルをしていると感じたものである。

「LP500カウンタック」という名称で、1971年のジュネーブショーで初登場したこのクルマは、テクニカルイラストレーションを見る限り、主役はドライバーではなくエンジンであった。初期のプロトタイプのモデルは5リッターV12とされた。ラジエターを車両の先端に置くという普遍的なレイアウトは採用されず、ラジエターを2分割して車両のサイドに配置した。この時代にそのレイアウトを採用していたのは、もっとも進んでいたF1マシン、ロータス72であった。カウンタックのレイアウトは、このロータス72と同じだったのである。

まさに「鬼面、人を嚇す(見た目のインパクトで人を驚かせる)」ではないが、そのエクステリアデザインに関してのみ言えば、そのインパクトは十分すぎるものであった。しかし、こうした極端に最先端を行くデザインは、とかく陳腐化するのも早い。

とくに最高速を競い合っていた当時のイタリア自動車業界において、フェラーリにしても、ランボルギーニにしても、あるいはマセラティにしても、その命脈はおよそ6〜7年といったところが関の山であった。ところが、このおよそ自動車らしからぬスタイリングを持ったカウンタックは、それまでの常識を覆した。量産モデルが登場した1974年から1990年に至る、実に16年に及ぶ長きにわたり、生き続けたのである。

以後、カウンタックの後継モデルも皆、およそ自動車の定番スタイルを否定するかのようなデザインを纏って登場する。まさにその先鞭をつけたクルマが、天才マルチェロ・ガンディーがデザインしたカウンタックであり、それを「25thアニバーサリー」という最終型にして完成系として空力開発などを引き継いだのがオラチオ・パガーニだった。

クライスラー買収による開発遅延から誕生!
ランボルギーニを救った「救世主」モデル

「25thアニバーサリー」は、1988年にランボルギーニ創業25周年を記念して発売されたモデルである。改良にあたり、そのデザインを担当したのは、後にパガーニを生み出すオラチオ・パガーニであった。

そしてこのクルマはまさに、ランボルギーニを救うモデルになったのである。というのも、ランボルギーニは1987年にクライスラーによって買収される。そして、当時開発が続いていた後継車「ディアブロ」の開発を中断させたのだ。これによって後継モデルの誕生が大幅に遅れる結果となったのだが、それを補う目的で制作されたのが、この25thアニバーサリーだった。

単なるスタイルチェンジではない。そこにはパガーニの思想がふんだんに盛り込まれ、カーボン素材を使った軽量化に始まり、空力的な改善、さらには快適性の改善など、より乗りやすいモデルへと変貌させていた。

パガーニが手を付けたリファインした箇所は前後バンパー、サイドスカート、そしてより効果的で空力的にも向上させた左右の特徴的なエアインテークなどである。いっぽうのインテリアでは、パワーシート、パワーウィンドウ、エアコンの標準装着など、もっぱら快適な室内空間を実現するアイテムが採用されていた。そのため5000QVに比べて100kgの重量増となり、カウンタックオーナーの間では「最も速いのは5000QV」というのが定説である。だが、ディアブロのつなぎとして誕生したこのクルマが、カウンタックのなかでももっとも多い657台の生産が確認されていることを思えば、商業的にアニバーサリーの成功が会社を救ったというのは当然の事実なのである。

なお搭載されるエンジンは、1985年に誕生し、5000QV(クアトロバルボーレ)に搭載されたシリーズ最強となる4バルブ化された5.2リッターのV12である。これに5速マニュアルを組み合わせ455馬力を捻出する。足まわりについては、ピレリの新しいPゼロタイヤの性能を熟知していたラリードライバー、サンドロ・ムナーリによってファインチューニングされている。

ランボ25周年モデルはパガーニがリファイン
実用度を上げた最終モデルの驚愕の落札額!?

VIN(車両識別番号)ナンバー ZA9CA05A4KLA12478のこの個体は、ここ数年オークションを賑わせているもので、2024年にも他のオークションに出品されたものだ。外観はロッソ・ペルラート(パールレッド)と呼ばれる塗装が施されているが、以前のオーナーによって再塗装されたものである。また、インテリアはタンに赤いパイピングが入ったレザーシートを持ち、パッセンジャーシート前のダッシュボードには、ランボルギーニのチーフテストドライバーだったヴァレンティーノ・バルボーニの直筆と思われるサインが入る。

OZのレーシングホイールを装着するのも、前オーナーの趣味であろう。走行距離はオドメーター上で3万5999km(2万2369マイル)を示していた。

RMサザビーズは、このカウンタック25thアニバーサリーに40万ドル〜50万ドル(邦貨換算約6246万円〜7808万円)のエスティメート(推定落札価格)を掲げていた。実際には41万7500ドル、現在のレートでいえば約6520万円で落札されたのだが、鬼才パガーニがリファインし、ランボルギーニを救ったカウンタックの最終モデルとして「安い」のか「高い」のかの判断は、貴方の価値観にお任せしたい。

※為替レートは1ドル=156円(2026年2月27日時点)で換算

モバイルバージョンを終了