世界177台超希少ランボルギーニの価値は?
最後のFR4シーター「ハラマ400GT」登場!
ランボルギーニのV12気筒エンジンを搭載したFRグラントゥリズモとして世界わずか177台しか生産されなかった超希少車「ハラマ400GT」。この1月、欧州のオンラインオークション「ブロードアロー・オークションズ Global Icon Europe 2026」に登場しました。フランスで半世紀以上を過ごし、ランボルギーニ本社での再塗装歴と専門家による修復歴を持つこの1台、エスティメート(推定落札価格)は12万〜14万ユーロとなっていましたが、果たして落札結果はどうなったのでしょうか?
スタンツァーニの理想主義を隅々まで体現した
超コンパクトなV12グラントゥーリズモって?
AMW(オートメッセWEB)オークションレビューでたびたびお伝えしているように、2010年代後半以降、国際クラシックカー市場におけるランボルギーニの評価は高騰を続けている。「ミウラ」や「カウンタック」といったアイコン的モデルはもちろん、4座席のFRモデルについても高値安定で推移しているのだ。
「ハガティ(Hagerty)」はクラシックカー保険の分野で世界最大手として知られ、車両相場価格を閲覧できるサービスでも有名な企業だ。その傘下のオークションハウス「ブロードアロー・オークションズ」は、英国および欧州の顧客を主な対象としたオンラインオークション「Global Icon」を定期開催している。その2026年版が、1月23日から30日にかけて挙行された。今回は、高騰中のランボルギーニFRグラントゥリズモのひとつ「ハラマ」を取り上げ、その概要とオークション結果を紹介したい。
1970年3月に開幕したジュネーヴ国際モーターショーで発表されたランボルギーニ「ハラマ400GT」は、同ブランドのフロントエンジン2+2グラントゥリズモの伝統を体現した最終の進化形となった。
「ハラマ」は「400GT」「イスレロ」などの2+2モデルや、フル4シーター車「エスパーダ」などにも採用されたランボルギーニGTの古典的レイアウトを継承している。しかし一方で、V型12気筒・4カムシャフト・3929cc・350psエンジンと5速ギアボックスをキャビン内まで深く侵入させるという、大胆なソリューションを採用した。その結果、実測2380mmというホイールベース(400GTおよびイスレロより170mmも短く、現代の軽自動車にも匹敵する数値)の中に、長大なV12エンジンと2+2のシートアレンジを実現してみせたのだ。
少量生産スーパースポーツで鋼管スペースフレームが主流だった時代に、あえてモノコック式ボディを採用したのも、鬼才パオロ・スタンツァーニが主導した高度なパッケージングを実現するためだったといわれている。
デザインは、のちに巨匠として全世界に名を馳せるマルチェッロ・ガンディーニが「スティリスタ(スタイリスト)」として担当。ベルトーネが内外装のエンジニアリングを受け持つという点は、同時代のランボルギーニ各モデルと同様だ。ただしハラマでは、内外装のコーチワーク製作をカロッツェリア「マラッツィ」が担った。
マラッツィは、「トゥーリング・スーペルレッジェーラ」社が経営破綻した際、宙に浮いたイスレロのコーチワーク製作のために急きょ立ち上げられたカロッツェリアであり、旧トゥーリング社の職人たちによって運営されていた。一方のハラマは、引き締まったプロポーション、直線的なウエストライン、特徴的な半隠式ヘッドライトなど、1970年代初頭のデザイン嗜好を色濃く反映したスタイリングをまとっている。
1972年のマイナーチェンジで追加された365psの「ハラマ400GTS(通称ハラマS)」を合わせたシリーズ総生産台数は327台。そのうち、スタンダードの400GTはわずか177台にとどまるといわれている。
新車時のカッパーのボディカラーに戻され
内装もベージュの革シートとカーペットに
このほどブロードアロー・オークションズ「Global Icon Europe 2026」に出品されたランボルギーニ・ハラマは、スタンダード版400GTの後期型だ。1972年5月19日、パリの高級車輸入業者「ヴォワチュール・パリ・モンソー」を仲介して、フランス人のファーストオーナーに引き渡された。
その後、パトリック・アレビアンなる人物が購入。1980年2月14日、この希少なランボルギーニをコート・ダジュール地方のリゾート地、カーニュ・シュル・メールへと移した。ハラマはそののちも南仏に留まり、1985年6月3日にコルニヨン・コンフー在住のジャック・レオネッティ氏が次の長期オーナーとなった。
1989年、レオネッティ氏はハラマをランボルギーニ本社(イタリア・エミリア=ロマーニャ州サンタ・アガータ・ボロニェーゼ)に持ち込み、シルバー・メタリックへの再塗装と専門スタッフによるエンジン整備を実施した。その後は2009年まで所蔵されたが、使用頻度は控えめだった。走行距離6万7280kmの段階で次なるオーナーとともにパリへと戻り、2012年3月26日、今回の出品者でもあるベルギー人の現オーナーが購入して現在に至っている。
1989年にカラー変更が施されたにもかかわらず、このハラマは比較的手を加えられておらず、オリジナルスペックへの復元には理想的なベース車両だった。そこでランボルギーニのスペシャリスト「リックス・エンジニアリング」に修復が委ねられることになる。
修復ではエクステリアが完全にリビルドされ、ボディは新車当時の正確なカッパー(銅)メタリックに再塗装。インテリアはベルギーの職人グループ「B.S.A.」により、フレッシュなベージュの革と調和したカーペットで張り替えられた。さらにウインドスクリーンが新調され、クロームトリムとホイールも再仕上げされている。
修復後、現オーナーは特別な機会にのみこのハラマを走らせており、オークションカタログ作成時点の走行距離計はわずか6万8264kmを示していた。これはオリジナル走行距離と推定されている。
ランボの創始者が愛して止まなかったハラマ
唯一無二の4シーターコレクターズアイテム
出品にあたりブロードアロー・オークションズは、「フェルッチオのお気に入りのデザインのひとつであったとも言われるハラマは、現在ではレアな存在。その希少性、特徴的なベルトーネデザイン、そして4.0LのV12エンジンが、このコレクターズアイテムをボローニャの最高峰を厳選するいかなるコレクションにも相応しい有力候補とするでしょう」とアピールした。エスティメートは12万〜14万ユーロ(邦貨換算約2185万円〜2550万円)。ここ数年のハラマのマーケット感からすると、かなりリーズナブルな設定といえる。
ところが、1月23日にスタートしたオンライン競売は期待されたほど入札が進まなかったようだ。ちょうど一週間後の30日、締め切りを迎えても現オーナーが設定した最低落札価格には届かず、流札に終わってしまった。
現在は13万5000ユーロ(現在のレートで日本円換算で約2460万円)というリテールプライスを設定し、ブロードアロー・オークションズの営業部門による個別販売が継続されているようだ。
※為替レートは1ユーロ=182円(2026年3月9日時点)で換算
