伝説の英国プライベーターカラーで激走ミニ! リトライフの挑戦は次世代へのバトンになるか
一見すると街で見かけるコンビニエンスストアのカラーにしたのかと思える色取りです。?いえいえ、こちらはそれを模したわけではない、由緒正しいレーシング仕様マシンです。真夏に開催された「サイドウェイトロフィー」4時間耐久レースに参戦した、1969年式ミニ「クラブマン1275GT」がそのマシンです。英国車整備工場のプロフェッショナルと20代の若者たちがタスキを繋ぎ、ガス欠寸前のドラマを乗り越えた熱き完走の記録をレポートします。
知る人ぞ知る名門「P.J.GREEN RACING」復活
お揃いのコンビニカラーチームウェアで気合十分
一見すると某コンビニエンスストアで使われているような色彩のカラーリング。1969年式ミニ クラブマンGTで参加していたのは、千葉県四街道市にある英国車整備工場「RITLIFE(リトライフ)」代表の武田さんとお客さんによる混合チームだ。
「私自身もサイドウェイ・トロフィーのスプリントレースにはミニで何度か参加しているのですが、今回の4時間レースは、お客さんの2人が主催するパルクフェルメさんに誘ってもらったのがキッカケです」
そう話す武田さんの参加マシンは、自身が「Festival of Sideway Trophy( 以下、FoST )」スプリントレースに参加しているミニ クラブマンだ。
普段のFoSTでは車両年式に合わせたドレスコードを推奨している。しかし今回の4時間耐久レースでは、お揃いチームウェアで楽しもうとマシンのカラーリングに合わせたところ、某コンビニエンスストアのようになってしまったというオチのようだが、じつはこれ、同じミニ クラブマンGTで実在した「P.J.GREEN RACING(1960年~1970年代にブリティッシュ・サルーンカー選手権でミニを走らせ大活躍した強力プライベートチーム)」を模した由緒正しいカラーリングなのである。高い技術力でワークス勢を脅かす「名門プライベーター」チームで、いまだに英国では語り継がれるほど有名だ。
レース前日3Dプリンタでファンネル急造の活躍DIY派やベテランと22歳若者タッグチームの行方
今回は武田さんをリーダーに、クラシックカーレース経験豊富なベテラン金子健児さん、31歳片山さん、22歳佐藤さん、クラシックミニ界の有名人である湯浅さんという5人編成チームで挑んだ。
クラシックミニのワンメイクレースに長年出場するなどレース経験豊富な湯浅さんは、マシンメンテナンスも行うDIY派。今回の耐久レースのためにと車両準備を怠らず、電動ファン、カットオフスイッチ、空燃比計の取り付けなどを行ったという(!)。さらには前日、市販ファンネルがバルクヘッドに干渉して取り付けできないことが発覚。その難局でも、急遽3Dプリンターで超ショートファンネルを製作し取り付けるなど、多大なファインプレーを果たしたのだ。
レースは、真夏の4時間という長丁場。そんな中でもチームは快調に周回を重ね、トラブルもなく終盤に差し掛かっていた。ところが、好事魔多し! レース終盤にあってはいけないガス欠症状が発生した。もちろん大慌てでミニをサーキット内にあるガソリンスタンドへ急行させ、給油するシーンもあったが、なんとか無事に完走を果たした。
ゴール目前にガス欠寸前ヒヤヒヤも笑顔で完走!
レース参戦には若者への裏テーマが潜んでいた!?
「安全タンクやロールケージが備わり、内装はすべて取り外され、男子が嬉しくなる要素満点のレーシングミニに乗れる! そのメンバーになれた喜びは大きかったです。猛暑のなか集中力を途切らせないように頑張りました。途中、追い越されても、そのクルマに見惚れてしまうのがこのレースのいいところですね。こんな素敵な時間が永遠に続いて欲しいと思いました」
このようにレースを振り返り話をしてくれたのは、最年少の佐藤さん。
「車両の準備がギリギリまで掛かってしまったので当日トラブルが出ないか心配でしたが、ガス欠以外はノートラブルで完走できたのは良かったです」とは、マシンを事前に準備と整備を施した湯浅さん。空燃費計まで取り付けたのに燃費計算が甘かったと苦笑するも、メンバーと一緒にワイワイ走れたのは何よりだったと笑顔を見せてくれた。
「普段のFoSTではコントロールタイヤがDUNLOP CR65ですが、逆に10インチサイズですと、コンフォートラジアルと言われてもそんなに都合のいいタイヤが無いのでDUNLOP SP SPORTS R7を使ったのですが、フィーリングはCR65と変わらないし、4時間もつか心配だったけど十分もったし、R7オンリーのレースがあれば楽しいな」と蘊蓄あるコメントをしてくれたのは武田さんだ。なんでもSP SPORTS R7というタイヤは、CR65やG5といった往年のレーシングタイヤのトレッドパターンを継承しつつ、公道での実用性を高めたタイヤという位置づけのようです。
「旧車趣味というのは、20代若者の参入には金銭的にハードルが高いと思いますが、後世に古いクルマを引き継いでもらうためにも、若者たちとはこれからも一緒に楽しめたらいいなと思います。初編成のチームで、まずはクルマを壊さず無理せず完走ができた。次回はもう少し攻めて、しっかり燃費計算をして上位を目指そう(笑)」と、金子さんが締めくくってくれた。
自分たちの趣味の世界「クラシックカーレース」を少しでも理解してくれる若者を育て、巻き込みながらこの素晴らしい趣味を後世に伝えたいという大人たちの思惑が、少しでも若者たちに届き広がることを祈りたい。
