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1.2億円超えも納得の特別装備!? 最高期モデルにのみ存在する「ディーノ246GTS」の超希少「チェア&フレア」仕様

79万7000ドル(邦貨換算約1億2750万円)で落札されたフェラーリ「ディーノ246GTS」(C)Courtesy of RM Sotheby's

落札額の約1.2億円も納得「特別な椅子とフェンダー」両方を持つ希少なフェラーリ「ディーノ246GTS」

クラシックフェラーリのなかでも絶大な人気を誇る「ディーノ」。エンツォ・フェラーリの亡き愛息の名を冠し、あえて跳ね馬のエンブレムを付けずに別ブランドとして誕生した数奇な歴史を持つ名車です。そのなかでも初期型に次ぐ高い市場価値を持つと言われるのが、北米向けの特別仕様「チェア&フレア」モデルです。今回、生産わずか約50台とされるフェラーリ「ディーノ246GTS」の同仕様が2月27日に開催したRMサザビーズ主催のマイアミオークションに出品されました。その特別なディテールと、1億円超えとなった驚きの落札結果を解説します。

フェラーリの名を冠さない名車ディノの後期モデル二のみ存在する希少な「チェア&フレア」という仕様

クラシックスーパーカー界において絶対的なアイドルであるフェラーリ「ディーノ」。エンツォ・フェラーリの早世した愛息、アルフレード(愛称ディーノ)の遺志を継ぐV6エンジンを搭載し、あえてフェラーリのエンブレムを持たない別ブランドとして誕生した特別な出自を持つモデルだ。しかし、国際マーケットの評価においては、モデル別に明確な序列が存在している。

もっとも高価なのは、レアかつピュアな最初期型のディーノ「206GT」だ。では、その次はどのモデルだろうか。じつは意外な最後期モデルがランクインするのだ。

ピニンファリーナのアルド・ブロヴァローネとレオナルド・フィオラヴァンティによる華麗なデザイン。そしてスカリエッティの熟練工による見事な金属加工を施したディーノは、多くの点でフェラーリの未来形を示唆していた。

彫刻的に美しいボディの下には、当時のロードカーとしては大胆な、レーシングカー由来のミッドシップ・レイアウトを採用している。65度V型6気筒4カムシャフトエンジンをドライバーの背後に横置き搭載し、最適な重量配分を実現した。

1969年には206GTから進化したディーノ246GTが登場する。そして1972年には、タルガスタイルの脱着式ルーフを採用したディーノ246GTSが登場した。北米マーケット(一部の州を除く)向けには、175psまでディチューンされた2.4リッターV型6気筒が搭載されたといわれている。

「チェア&フレア」はシートとフレア化されたフェンダーの2つの特別装備を兼ね備えた後期型ディノ

ディーノ246GTSは生産期間の短さもあり、生産台数はわずか1274台という希少なモデルだ。さらにそのなかでも「チェア&フレア(Chairs and Flares)」と呼ばれる、2つの専用装備を兼ね備えた北米向けオプション仕様車が存在する。これはディーノ愛好家の間で、とくに魅力的なGTSとされている。

ひとつ目の装備は、V型12気筒エンジンを搭載したスーパーツアラーのフェラーリ「365GTB/4デイトナ」から流用された、本革張りのスペシャルシートだ。

ふたつ目は、グループ4レーシングカー譲りのフレアしたホイールアーチである。ディーノ本来の美しい流線型ボディに、アグレッシブな迫力を加えている。さらにこのホイールアーチを埋めるように、7.5インチ幅のカンパニョーロ製マグネシウム合金ホイールが装着され、特別なスタイリングを完成させていた。

デイトナスタイルの本革シートと、北米の交通法規を満たすためのワイドなホイールアーチ。「チェア&フレア」をコンプリート状態で備えたGTSの製作台数は、約150台ともいわれている。非常に希少な存在なのである。ちなみにどちらか一方だけの装備車両も存在するし、わずか20台足らずだがGTにもその両装備が備えられたモデルも存在するようだ。

ワイドホイールを収納するフレアフェンダーとフラッグシップモデルのシート、さらにAC&PWも装備!

今回RMサザビーズ「MIAMI 2026」オークションに出品されたディーノ246GTSは、生産終了前の最後の8カ月間に製作された。1973年12月3日に完成した、希少かつ魅力的なピッコロフェラーリである。

「ロッソ・キアーロ(明るい赤)」のボディカラーと「ネロ(黒)」のレザー内装でスカリエッティ工場からラインオフされた。カナダ市場向けの左ハンドル仕様である。豪奢なデイトナシートに加え、カンパニョーロ製マグネシューム7.5J(ノーマルはクロモドラ製アルミホイール6.5J)というワイドホイールを収めるためのフェンダーフレアが装備されていた。

これは最後期のモデルに設定された、極めて希少かつ人気の高いオプション仕様の証だ。さらに、同じくオプションだったエアコンとパワーウインドウも工場出荷時から追加装備されている。

この個体は新車時、オンタリオ州のディーラーに引き渡された。1974年初頭に初代カナダ人オーナーのもとで初登録されている。1987年にはブリティッシュコロンビア州の別オーナーへ譲られ、当時の走行距離は約3万1000マイルと記録されていた。

静態保存から動態保存にするため大掛かりなレストアを施工し、その希少性と相まって驚愕の落札額に!

数年後、このクルマはアメリカ合衆国へ輸出される。1996年にロサンゼルスのコレクターへ売却され、インテリアをタン色のレザーで再仕上げする修復が行われた。いくつかのコンクール・デレガンスへの出品を経て、10年間にわたり個人コレクションに収蔵されている。

現在の所有者は2016年に入手した。それまで静態保管されていたため、約1万2000ドルを投じてブレーキやステアリングラックなどの機械的改修が施されている。今回の販売には、革製ポーチ付きのマニュアルや純正工具、整備明細書などのドキュメント類も含まれていた。

RMサザビーズ北米本社は、この個体に80万ドル〜90万ドル(邦貨換算約1億2800万円〜約1億4130万円)のエスティメート(推定落札価格)を設定した。

迎えた競売では、エスティメート下限にわずかに届かない79万7000ドルでハンマーが落とされた。日本円に換算して約1億2750万円という販売価格は、やはり驚きに値する。

国際クラシックカーマーケットにおける「チェア&フレア」仕様の相場は、2020年代初頭に50万ドル超えを果たした。そして2020年代中盤以降は70万〜80万ドル超えとなり、日本円でも「億超え」が当たり前のようになっている。

デイトナから流用されたシート、カンパニョーロ製マグネシウム7.5Jホイールといった2つの特別要素を兼ね備えた最後期モデルとあって、その希少性からも今回のディールが、強気な相場感を裏づけた結果となった。

※為替レートは1ドル=160円(2026年3月28日時点)で換算

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