一目惚れで手に入れたメルセデス・ベンツ「450SLC」の車検証に隠されていた驚きの来歴とは!?
メルセデス・ベンツ好きの小水さんは、2代目Sクラスを買うつもりで向かった先輩のショップに置いてあった1976年式のメルセデス・ベンツ「450SLC」に一目惚れしてしまいます。現車確認の際に当時の車検証をチェックすると、所有者欄には世界的俳優の三船敏郎氏が設立した「三船プロダクション」の名前を発見しました。1970〜80年代に富裕層を魅了した「450SLC」という車種を復習するとともに、このクルマの驚きの素性をお伝えします。
1970〜80年代に富裕層のステータスシンボルだったゴージャスの象徴 メルセデス・ベンツ「SLC」
当時を体験した世代からすると、メルセデス・ベンツ「SLC」から連想されるのは「オーナーはお金持ち」という印象だ。SLC(C107型)は、3代目SLクラス(R107型)のホイールベースを約360mm延長して開発された5人乗りクーペで、1971年に登場し1981年まで生産された。全長4740mm、全幅1790mmという堂々とした車格とゴージャスな仕上げにより、当時は富裕層のステータスシンボルとなっていた。
なかでも「450SLC」には4520ccのV8エンジンが搭載されており、税負担が重かった時代において、庶民がちょっと頑張れば購入できるような車種では断じてなかった。国内に輸入されて現存する個体の中には、歴代オーナーの愛情によって今なお美しいコンディションを保つ車両が存在する。今回ご紹介する一台も、まさにそのような個体だ。
2代目Sクラス購入予定で赴いた先輩ショップで紹介された「450SLC」を一目惚れして衝動買い!
2016年式のC180にも乗るメルセデス・ベンツ好きの小水さんは、かねてから2代目「Sクラス」(W126型)に興味を持っており、先輩が経営するショップへ車両を探しに出向いた。店頭には1991年式の4ドアが在庫にあったものの、想定していた予算を上回る価格だったため断念。そこで先輩が「こんなメルセデスベンツもあるけどどう? 」と勧めてきたのが、このSLCだった。
「予定していた車両より年式は古いのですが、70年代ならではの独特の雰囲気に一目で惹かれてしまいました。値段もこちらのほうが安かったということもあり、ほぼ衝動的に購入してしまいました」と小水さんは笑う。
車検証の「三船プロダクション」名義でクランクインした450SLCと紡いで行く今後のストーリー
車両を確認した際、小水さんはある書類を見せられた。大切に保管されていた歴代の車検証と燃料の領収書だ。1976年式という約50年前の車両だけに、整備記録の存在は貴重だ。だが、驚かされたのはそれ以上の事実だった。各書類に記された宛名が「三船プロダクション」だったのである。
「三船プロダクションといえば、世界的に著名な俳優・三船敏郎さんが設立した事務所ですよね。私は映画にそこまで詳しいわけではないのですが、先輩から『こういう来歴も含めて貴重な車両だから買っておいたほうがいい』と強く勧められました(笑)。書類は絶対に手放さないようにと言われたので、もちろんすべて保管しています」
“世界のミフネ”こと三船敏郎氏は、映画「七人の侍」をはじめとする黒澤明監督作品への出演で国際的な名声を得た、日本映画史を代表する俳優だ。その一方で、クルマを趣味とし、数多くの名車を所有していたことでも知られている。そのような人物が所有した一台が、半世紀を経た今も受け継がれていることは、純粋に感動的だ。
「シートのスプリングが生み出すクッションの乗り心地など、昔ならではの高級車という感覚が好きです。基本はノーマルのままですが、せっかく乗るなら一部を自分好みにしたいと迷うこともあります(笑)」
小水さんが気になっているのは、足回り・マフラー・内装の3か所だという。今後の「450SLC」が辿る物語の脚本を握っているのはオーナーの小水さんだ。すでに「450SLC」との生活がクランクインされ、奇しくも同じクルマを愛した三船氏も、この物語の結末を天国から楽しみに見守ってくれていることだろう。
