高性能カーボンパネルに交換した? プロテクションフィルムとは思えない完成度の高さに感動する
カーラッピングやプロテクションフィルムの世界は、素材を含めて日々進化を続けている。そのなかで活躍する若手インストーラーが、大阪府門真市に居を構える林田優希氏率いるリンダファクトリーに所属するトレンゴブ海さんだ。2026年にスペインのバルセロナでおこなわれた世界大会で準優勝を果たし、その実力は世界レベルである。そんな海さんのテクニックを、トヨタ「プロボックス」の施工を通じて解説する。
なんだこの完成度は? カーボン柄のプロテクションフィルムは最高のボディカスタマイズだ
今回カーラッピング作業を依頼したのは、大阪府門真市にある林田優希代表が率いるリンダファクトリーだ。ここは、カーコーティング、カーラッピング、カープロテクション(飛び石や擦り傷など、物理的なダメージから塗装を守るフィルム)のすべてをおこなっているプロショップである。今回協力を依頼したのはカープロテクションフィルムだ。しかもカーボン模様の素材である。
カーボン素材のプロテクションフィルムには、グロス(艶あり)タイプとマット(艶消し)タイプがあり好みで選ぶことができる。今回使用している素材は、下地のボディカラーは透けずに本当のカーボンのように楽しめて、プロテクション素材なので飛び石に強く、紫外線もフィルムが吸収してくれる。本来ならボディ全体を施工したいくらいの逸品だが、通常のラッピングフィルムに対してプロテクションフィルムは厚みがあるぶん非常に貼りにくい。手間がかかるぶん施工時間も長くかかるため、施工費が比較的高めになる傾向にある。
トヨタ プロボックスのルーフにカーボン模様のプロテクションフィルムを施工してくれたインストーラーは、同店に在籍しているトレンゴブ海さん(以下、海さん)だ。今年の「第5回全日本PPF選手権2026」で昨年に続いて2度目の優勝を達成したのち、スペインのバルセロナで開催された世界大会「World Wrap Masters Final 2026 in Barcelona」で2位に輝いた弱冠24歳の凄腕インストーラーである。
「フェラーリやランボルギーニ、ポルシェ、ブガッティ、アストンマーティンなど、スーパーカー全般を担当することが多いですね。あとBMWやメルセデス・ベンツの施工も多いです。自分の中ではカーラッピングとプロテクションは別物だと考えています。陸上にたとえるなら長距離走と短距離走くらい違うものです。ラッピングは元のボディ色が絶対に見えないように、塗装のように仕上げることを心がけています。いっぽうでプロテクションフィルムは、時間の経過によってフィルムの断面にゴミやホコリが溜まっていくので、どうしても断面が見えてきます。だから、ボクは断面の位置を汚れにくい場所にするように心がけています。たとえば車両を売却するとなったら、プロテクションの汚れが価格に響く場合もあります。そのために、もう一度プロテクションフィルムを貼るとまたコストがかかってしまうので、最初から綺麗に貼るようにしてもらうのがいいと思います」
今回トヨタ プロボックスのルーフに使用したフィルムは、艶ありで透明のマットタイプのカーボンプロテクションフィルムだ。このカーボンプロテクションフィルムは、実際にプロテクション素材の中にカーボンの層があり、その模様の上に透明のプロテクション素材が貼ってある構造になっていて、光の加減でキラキラする本物のカーボンに近い仕上がりが楽しめる。
本物と見比べてもまず見分けがつかないレベルだ。プロテクション機能があるぶん、ラッピング用フィルムよりは素材が厚いため貼る場所は選ぶがドレスアップ効果も高い。そのロール幅1520mmのプロテクションフィルムを、プロボックスのルーフサイズから約10cmずつ足すサイズでカットする。約2m30から40cm分を切り出して使用している。プロテクションフィルム素材だけあって、ラッピング素材よりはかなり分厚い。しかもカーボン柄のため、力を入れすぎると柄がヨレるので扱いには注意が必要になる。
今回のルーフだけなら、事前に予約を入れて最短だと午前中に預ければ夕方には車両を受け取ることも可能だという。混み具合もあるので、必ず事前に相談しておきたい。
「保管状況によって全然違うのですが、室内保管で週末に乗る程度なら見た目が損なわれることはほぼないですね。通常は5年ぐらいはもつと言われていますが、保管状況と洗車で使う溶剤で結構変わりますので、気になる方はご相談ください」
プロテクションフィルムの施工後は、できれば機械式洗車や高圧洗浄は控えるべきだ。とくに高圧洗浄はボディの近くだとプロテクションフィルムでも穴が空いたり、フィルムのエッジ部分に触れると、そこから水分が一気に入ってしまうこともある。加えて、定期的なメンテナンスもできるだけおこなってほしい。
もともとフィルムには撥水機能はついているが、洗車した際に水はけが悪くなったりしたらコーティングを塗り直すなどの対策が推奨される。フィルムの表面に汚れが蓄積し、それが原因でコーティングが劣化してくることもあるからだ。とにかく何か気になったら、施工店で相談することが大切である。
ルーフでも気を使う場所は多数ある!
一見簡単に思えるルーフへの施工だが、気を使う場所はどこなのだろうか。
「ルーフの角の四隅ですね。元の色が見えないよう、施工したことを感じさせないように巻き込むのですが、やはり角はとくに注意して貼りますね。あと今回のルーフ部分では該当箇所がなかったのですが、カーボン柄を施工する際は、カーボンの目に沿って柄を合わせるように施工しています。今回のようなルーフやボンネットは1枚で貼れるものの、リップスポイラーなどの場合は分割で貼ることになることも多いので、カーボン目を合わせるように気を使っていますね」
今回は編集部サイドのリクエストでルーフへフィルム施工してもらったのだが、もしプロボックスでプロテクションフィルムを貼るとしたら、ほかにもオススメの場所はあるのだろうか。
「人気なのはボンネット、ドアミラー、それとワンポイントで使用できる場所としてガーニッシュなどでしょうか。ボクも自分のクルマにはやっていますが、派手な仕様が好きな人にはフェンダーだけカーボンにしたりとかもオススメですね」
商用バンの代表格ともいえるプロボックスが、世界を舞台に戦うトップインストーラーの緻密な手作業によって、まるでスポーツカーのような精悍なカーボンのルーフを手に入れた。プロテクションフィルムによる高度なカスタマイズは、決して一部のスーパーカーだけのものではない。自分の愛車にトップレベルの技術とこだわりを注ぎ込み、日常の景色を少しだけ特別なものに変える。それこそが、ボディカスタマイズの本当の醍醐味なのである。
