差し色はBBSのセンターキャップのみ! ファミリーユースと両立したレクサス「RX」の静かなる個性
足元をどう仕上げるか? 大径化や派手な差し色で自己主張するカスタムが増える中、あえて潔くシンプル・イズ・ベストに仕上げられた1台のレクサス「RX 500h F SPORT Performance」が存在する。純正車高を維持し、選択したホイールはマットグレーのBBS製21インチ。日常の実用性を損なわず、どのようにして唯一無二の存在感を引き出しているのだろうか。オーナーである“ひろ”さんが実践した、家族への配慮とクルマ好きとしての妥協なき選択の交差点にその答えがある。
黒シャツにグレーのパンツを合わせる妙
レクサス「RX 500h F SPORT Performance」の足元に収まるのは、BBS(RE-X)の21インチホイールである。
「ホイールを変えるなら、最初からBBSと決めていました」
派手な主張はないものの、近づくほどにその完成度の高さが静かに伝わってくる。この1台を仕上げたのは“ひろ”さんだ。
前車のスバル「レヴォーグ」でもBBSを愛用していた筋金入りのユーザーであり、今回もホイール選びに迷いはなかった。サイズは純正と同じ21インチを維持しながら、リム幅を太く変更し(リム幅9.0J インセット38)、タイヤは235/50から265/45へと交換している。インチはキープながら、踏ん張りと存在感は確実に増している。
選んだカラーはマットグレーだ。きっかけは、まだRXに乗る前の段階で訪れた東京オートサロン2025だった。将来的な乗り換えを見越して、新色として発表されたマットグレーを見て「変えるならこれだな」と直感した。
「F SPORT Performance」の純正ホイールがマットブラックという前提のなかで、あえて同系統に寄せすぎない。そこにこの仕様の妙がある。“ひろ”さんはその理由を
「服でも、黒いシャツを着たらグレーのパンツを履くような感じが好みなんです。それと同じように考えると、ホイールを艶ありのブラックに変更すると、このクルマには少し浮いてしまうと感じました。というわけで、ホイールは履き替えているけど、カスタムに詳しい人が見ないと分からないようなイメージにしたかったんです」
完全なブラックには振らず、かといって明るくするわけでもない。同系色のなかで少しだけズラすというバランス感覚が、このRXの個性を形作っている。
あえてキャリパーも黒。差し色は引き算で
全体のトーンは徹底してシックにまとめられている。外装はTRD製パーツで統一し、エアロとマフラー等を揃えることで「F SPORT Performance」の純正ボディカラーと自然に融合させた。過度なカスタム感はなく、純正の延長線上にある洗練された仕上がりだ。
さらに注目すべきはブレーキキャリパーのカラー選択である。RXではスポーティさを強調するためにオレンジなどの鮮やかな色へ変更するオーナーも多い中、“ひろ”さんはあえてブラックを選択し、差し色を排除する方向へ振った。
「シックにしたかったんです。差し色はBBSのセンターキャップくらいで十分かなと」
実際、この1台における唯一のアクセントは、ゴールドのセンターキャップのみとなっている。それすらも主張しすぎない絶妙なバランスだ。このシンプル・イズ・ベストな思考は、前車のレヴォーグ時代から一貫している。大径化や派手な装飾に頼らず、素材の良さと配色の妙で勝負する姿勢に、オーナーの確固たる信念がうかがえる。
家族のための純正車高とドアプロテクター
ホイール選びと並ぶもうひとつの軸が、生活との両立である。カスタムを進める上で、車高についてはダウンサス(スプリング交換によるローダウン)の導入も検討した。しかし、実用性とのバランスを考慮して現状は純正車高を維持している。
「家族も乗るので、不便になるのは少し悩みますね」
実は当初、トヨタ「ヴェルファイア」も購入候補に入っていた。しかしその際、受注が停止されていたことで買えずに、このRXが現実的な選択となった背景がある。だからこそ、カスタムは見た目だけを追求するのではなく、日常の使い勝手やストレスのなさを含めた完成形を目指しているのだ。
細部への配慮は外装パーツにも表れている。カーボンのドアハンドルプロテクターを装着している。しかしながらRXでは装着している人はほとんど見ないという。またドアモールも黒いボディに溶け込んでおり、ほとんど目立たない。
「子どもがドアを開けても、気にしすぎないで済むので」
愛車への傷を避けるためというより、日常の心理的ストレスを減らすための選択である。そこには、クルマを飾るだけの道具としてではなく、家族と過ごす日常のパートナーとして扱うリアルな生活感がある。
派手さを競うのではなく、黒を基調に少しだけズラす。そして家族への配慮を忘れない。そのわずかな差の積み重ねと妥協なき選択が、このRX 500h F SPORT Performanceを、静かでありながらも確かな個性を放つ唯一無二の存在へと押し上げているのだ。
