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最高出力800psのG63を日本で製作できる。ボンドグループがブラバス正規代理店契約を結んだ真の意味

全国14店舗を構えるボンドグループの拠点にはブラバスコンプリートの白いGクラスが並ぶ

ボンドグループがブラバスと正規代理店契約を結び、日本仕様コンプリート製作の道が拓けた

ドイツの最高峰チューナー、ブラバスの正規ディーラーが日本に誕生した。全国14店舗を展開するボンドグループが2025年5月1日、ブラバスと正式に代理店契約を締結したのだ。憧れを追い続けて実績を積み重ねた末の到達点である。その裏側と“第二章”への構想を、代表取締役の細川恵多さんに取材した。

ボンドグループがブラバスと正式に代理店契約を締結した意味とは

2025年5月1日、日本におけるブラバスの歴史が新しい局面を迎えた。全国14店舗で車両販売から整備、修理、あらゆるカスタムまでをワンストップで手がけるボンドグループを核とする株式会社ホソカワコーポレーションが、ブラバスGmbHと正式に代理店契約を結んだ。世界の一流ブランドを日本へ導入するインポーター、ラガーコーポレーションを擁するグループにとっても大きな前進となる。

今回の契約で、ボンドグループの販売拠点はブラバスの正規ディーラーという役割を担う。日本仕様のブラバスコンプリートを製作したい場合、ベースとなる車両探しから相談に乗ってもらえる体制が整った。

もっとも、ボンドグループは以前から数多くのブラバスを扱ってきた。パーツ単体だけでなくコンプリートカーまで、同グループから世に出たブラバスカスタムは数え切れない。その積み重ねをブラバス側が高く評価した結果である。喜びを噛み締めながら、誰よりも気を引き締めていたのが代表取締役社長の細川さんだった。

細川さんは家業のホソカワコーポレーション(旧・細川タイヤ商会)を継ぎ、1996年に代表取締役へ就いた人物だ。その後にボンドグループを立ち上げ、2025年時点で全国14店舗の拠点に加え、北京とドイツにも支店を持つまで拡大させている。

ブランド名に込めた思いを、細川さんはこう語る。

「私自身、かつてヨーロッパの一流チューナーズブランドに感銘を受け、これを日本へ伝えたいと思って“ボンド”を立ち上げて、今日までやってきました。シンプルに“接着する”という意味でのボンドですが、お客様とクルマや技術を、そして海外と日本を“くっつける”存在になればいいな、と。昔からブラバスは憧れの筆頭でした。とにかく高品質で美しくて、大手自動車メーカーに対して堂々と肩を並べている。ブラバスの規模と技術、そして思想。私はこれを正確に日本に伝え、そして日本で拡げていきたいと強く思いました」

リップスポイラー1点の販売から代理店契約までの道のり

正規代理店への道は、地道な足取りの連続だった。細川さんはジュネーブやフランクフルトといった海外のモーターショーへ毎年のように駆けつけ、ブラバスとコミュニケーションを重ねた。ドイツ北西部ボトロップにあるブラバス本社まで赴いた回数も少なくない。

当時、ボンドグループの事業規模はまだ小さく、コンプリートカーははるか遠い存在だった。それでもリップスポイラー1点、ホイール1セットの販売から着実に実績を築いていった。日本のチューナーズブランドブームも追い風となり、取り扱い規模を次第に広げていく。やがて、コンプリートカーを含めて日本に流通するブラバス関連製品の半数以上を、ボンドグループが扱うまでになった。

ブラバスは1977年、創業者のボード・ブッシュマンがボトロップで立ち上げたブランドだ。以来、メルセデス・チューナーとして世界に名を馳せてきた。毎年のように世界中の顧客やディーラーを招いた新作発表会を開いており、2024年の“シグネチャーナイト”では、ファッションショーさながらのランウェイでブラバスコレクションをまとったモデルとともに新型が披露された。ボンドグループは常にこうした場へ参加し、情報交換と知識の吸収を欠かさない。その積み重ねが今回の契約締結を引き寄せた大きな要因である。

ブラバス800シリーズを日本で施工できる「日本仕様コンプリート」

代理店契約の転機となったのは2018年だった。GクラスがW463型へ移行し、メルセデスAMG「G63」にM177型4.0リッターV8ツインターボが搭載される。ブラバスはこのユニットを最高出力800ps、最大トルク1000Nmまで引き上げる800シリーズを世に広めた。G63に限らず、同系統のパワーユニットを持つメルセデスAMG各モデルに用意されるパッケージである。

800シリーズは、ブラバス製専用タービンへの交換に加え、吸排気のモディファイ、ECU(エンジン制御コンピューター)を中心とする制御部品の組み合わせで成り立つ。このパッケージの施工が、ボンドグループにも認められた。コンプリートカーの要となるパワートレインは、これまで本社ファクトリーでの施工が絶対だった。ブラバス側はボンドグループの技術とノウハウ、そして情熱を前に、“日本仕様のブラバスコンプリート”を認めた。

ただし、製品そのものはブラバス製であることが絶対条件だ。純正タービンをブラバスファクトリーへ送って加工してもらうなど、ボンドグループはひとつずつ協力体制を築いていった。贅を尽くしたインテリアメイクも同様である。ヘッドレストやステアリングなど、外せる部品をブラバスへ送って施工を受ける仕組みだ。

今回の代理店契約で、両者の協力体制はさらに強固になる。購入後のメンテナンスや修理、部品供給、保証プログラムなども、ブラバスに準じた内容となる見込みだ。細川さんは次の段階の準備も明かす。

「私たちのメカニックやスタッフが、ブラバス本社(ファクトリー)で研修を受ける準備を進めています。そうすればインテリアトリムなども、一定の範囲でボンドグループでの施工が可能となり、パワーユニットの自由度も拡がっていくと考えています。真の意味でのブラバスコンプリートをお求めになるお客様に、ベストアンサーをご提供するための施策です」

ブラバスクラシックのレストアや動態保存も日本に近づく「第二章」の可能性

ボンドグループが関わる領域は、コンプリートカーだけにとどまらない。ブラバスには、クラシックという事業がある。ブランドは2013年にクラシック専門のファクトリーを建設し、これをひとつの核に据えた。往年のメルセデス・ベンツ(AMG)に宿る哲学とモノづくりを熟知し、新しい時代へ落とし込む自己研鑽の意味も込められている。

その中身は大きく2つに分かれる。ひとつは往年のメルセデス・ベンツを新車以上の状態へよみがえらせるレストアプログラム。もうひとつは世界中のネットワークを駆使してオリジナルコンディションの個体を集め、適正に動態保存しながら販売する事業だ。ここで生まれるレストアカーは、新車以上の色ツヤと信頼耐久性を兼ね備える。これらにもボンドグループがより深く関わる。コストの問題さえ解決すれば、ブラバスが仕上げた個体を購入することも、日本にある往年のメルセデスをブラバスへレストアに出すことも可能になる。

ブラバスはクルマだけでなく、船(マリーン)や飛行機(プライベート・アヴィエーション)まで手がける。近年はそれらを包括したブラバス・アイランドをアブダビのアルシーフ地区アルラハビーチに建設した。あっと驚くパフォーマンスとラグジュアリー性を備えるコンプリートカーから、文化として継承したくなるクラシックまで、ブラバスの活動が日本と近い距離になっていく。数多く思い浮かぶ“日本での可能性”を前に、細川さんは目を輝かせる。

「代理店の締結によってゴールを迎えたわけではない。これは、あらためてスタートラインに立ったことを意味します。私たちスタッフ全員が、よりブラバスを深く学び、技術力を高めていったら、できることがどんどん増える。お客様からどんなリクエストをいただくのかワクワクしています。実現の可能性云々に限らず、なんでも相談していただきたいと思っています」

日本におけるブラバス第二章の幕が開いた。ブラバスとはどういう会社で、どんな技術を持ち、そこで生まれた製品がいかなる性能と世界観を備えるのか。製品を売る“モノ”の普及から、チューナーズブランドが紡ぐ文化を深める“コト”の普及まで、その重責を細川恵多さん率いるボンドグループが担う。関わる誰もが、あらためて兜の緒を締めている。細川さんの挑戦は、憧れを事実に変えてきた歩みの延長線上にあるといえるだろう。

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