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「ハロー・アイダ」で音声操作! VW新型「ゴルフ ヴァリアント」のAIアシスタント「IDA」を使い倒してみました【夜明けの峠レポート】

フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント TDI Rライン:ノーズにはブランド初のイルミネーション付き「VW」エンブレムが採用された

最新ゴルフに「置き去り感」のあったアナログ派を救うのは音声認識AI?

フォルクスワーゲンの現行型・第8世代「ゴルフ」が2025年1月10日、大幅なアップデートを受けて販売開始されました。クラシックVWに乗るAMW編集部・竹内が早速、ディーゼル仕様のステーションワゴン「ゴルフ ヴァリアントTDI」に試乗。ワインディングから高速まで700km以上を走り込んで、新採用された音声認識AIアシスタント「IDA(アイダ)」の使い勝手を試してみました。

ゴルフ8の唯一の弱点だったデジタルインターフェイス

フォルクスワーゲン(VW)の8代目「ゴルフ」は2019年にドイツ本国でデビューし、2021年6月に日本市場に導入された。1974年以来の長い歴史を誇り、もはや「世界の国民車」と言えるほどの存在となっているゴルフ。第8世代へのフルモデルチェンジに際してのキーワードは、「電動化」「運転支援機能の強化」「デジタル化」だった。

そのため日本でのラインアップは、1.5L直列4気筒ガソリンターボに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせた「eTSI」と、2.0L直列4気筒ディーゼルターボの「TDI」を主軸として、ホットモデルの「GTI」と4WDの超絶ホットバージョン「R」が控えるというもの。

ゴルフ8ではハッチバックモデルの各パワートレインと、ステーションワゴンの「ゴルフ ヴァリアント」にひと通り試乗する機会を得て、ワインディングからロングツーリングまで、あらゆる場面でしみじみと「ゴルフらしさ」の最先端を味わうことができた。

ただ、ほとんど唯一のネックだったのが、インフォテイメントの扱いづらさだった。コクピットから物理スイッチを大量に省いてタッチディスプレイでの操作に集約した結果、とくに運転中、ささいな操作のためにもディスプレイを注視する必要が生じて、安全面でも疑問符がつくものだった。

実際、2024年3月には欧州でユーロNCAPが自動車業界に対して、タッチパネルへの偏重をやめて基本機能を物理スイッチに回帰させるようにとの提言を発表し、話題になったのも記憶に新しいところだ。

ChatGPTを採用した車内AIアシスタント「IDA」

今回フェイスリフトを受けた「ゴルフ8.5」では、インフォテイメントシステムが新世代の「MIB4」にアップデートされるとともに、タッチディスプレイが12.9インチと大型化。単純に視認性が向上しただけではなく、画面の上下にエアコンの設定状況などの情報が表示されるようになった。フェイスリフト前は、温度設定の数値が画面の右下に表示されるだけだったので、風量や内気循環/外気循環などを確認し変更するには、その都度、ディスプレイを操作しなければならなかったのだ。

ディスプレイの下に温度設定とボリューム設定のタッチスライダーバーが配置されるのは従来どおりで、その他の物理スイッチ類も基本的にそのまま。それでは対して改善されていないのでは? と思われるかもしれないが、音声操作の大幅な進化が、これまでの不満点を解決してくれているのである。

ゴルフ8.5では新たに「IDAボイスアシスタント機能」を搭載したのが、実用上で最大のトピックといえる。これはOpenAIの「ChatGPT」を採用した車内AIアシスタントで、「ハロー・フォルクスワーゲン」または「ハロー・アイダ(IDA)」と喋ると機能がオンになる。前者だと長すぎるので、筆者は後者を多用するようになり、ついでに語呂よく「ハロー・アイーダ」でもOKだった。ちなみに起動キーワードは後から変更することも可能だ。

物理スイッチのかわりに賢い音声認識で安全に操作できる

夜明け前の峠に向かいながら、

「ハロー・アイダ、ちょっと暖かくして」

と言えば、

「問題ありません。すぐ右フロントが暖かくなります」

という返事とともに、運転席の設定温度をプラス1℃してくれる。

「助手席の温度を25℃にしたい」といったリクエストもOKだし、ボリューム調整もまた同様。このような音声操作はドイツのプレミアムブランドのクルマでもすでに体験済みではあるが、ついに大衆ブランドのVWでも実装するようになったか、と感慨ひとしおだ。

物理スイッチがあるに越したことはないものの、前方や周囲から視線を外すことなく基本操作をできるIDAの音声認識によって、ストレスなく安全にドライブが実現しているわけだ。何でもかんでもタッチ操作という風潮に抵抗のあったアナログ派の筆者も、音声認識AIの進化による恩恵は否応にも認めざるをえないのだった。

近くのコンビニやガススタもすぐにサーチしてくれる

また、「ハロー・アイダ、近くのコンビニ」「ハロー・アイダ、近くのガソリンスタンド」と話しかければ、すぐに候補をリストアップしてくれるので、行きたいスポットを選択すればそのままナビゲーションに移行する。「近くのサウナ」「近くの温泉」でも対応してくれた。

実際のドライブシーンでも、運転中にガソリンスタンドやコンビニを探したいことは頻繁に生じるシチュエーション。1人で移動しているときにも簡単に音声操作できるのはありがたいところだ。

ただし、IDAは現状、「静岡県庁に行きたい」「東京タワーに行きたい」といった風に、目的の施設名を指定しても、「都道府県名から言ってください」とつれない返事で、目的地によっては都道府県、市町村、地名、番地までを言わないとダメだったりする……。プログラムのアップデートに期待しつつ、現状はそんな場合、安全に停車した状態でタッチパネルから入力した方が早いのだった。

同乗者がいるシチュエーションであれば、MIB4はスマホとのミラーリング機能も備わっているので、Apple CarPlayやAndroid Autoと連携してナビをしてもらう選択肢もあるので安心してほしい。

* * *

ゴルフ8.5のパワートレインはフェイスリフト前と同じまま。ディーゼルのTDIでは360Nmもの太いトルクが低回転域から立ち上がるため、ワインディングでも望外にスポーティな走りが可能だ。ドライビングプロファイル機能でステアリングやペダルのレスポンスを「スポーツ」に設定しておくのがオススメだ。

手応えの確かなハンドリングと優れた直進安定性。質実剛健なゴルフの走りをいつもより満喫できたのは、最新インフォテイメントMIB4とAIアシスタントIDAによるストレス軽減が大きく貢献してくれたのは間違いなさそうだ。

specifications

■VOLKSWAGEN GOLF VARIANT TDI R-Line
 フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント TDI Rライン

・車両価格(消費税込):485万6000円
・全長:4640mm
・全幅:1790mm
・全高:1485mm
・ホイールベース:2670mm
・車両重量:1510kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
・排気量:1968cc
・エンジン配置:フロント
・駆動方式:FF
・変速機:7速DSG
・最高出力:110kW(150ps)/3000-4200rpm
・最大トルク:360Nm/1600-2750rpm
・燃料タンク容量:51L
・公称燃費(WLTC):20.1km/L
・サスペンション:(前)マクファーソンストラット、(後)4リンク
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッドディスク、(後)ディスク
・タイヤ:(前&後)225/40R18

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