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一目惚れで55歳で購入した「RX-7」を80歳まで乗り続けた女性、還暦祝いに買った真っ赤な「ロードスター」で90歳まで走り続けた女性…マツダの心温まるストーリーとは

マツダ RX-7:当時55歳だった長崎在住の女性オーナーが新車で購入した1台

3台のスポーツカーはマツダの広報車として第2の人生(車生)を選択

近年は、SUVがヒットしている印象の強いMAZDAですが、かつては「ロードスター」とともにロータリーエンジンを搭載したスポーツカーの「RX-7」が、同社のスポーツイメージをけん引していました。2025年2月22日~23日に横浜で行われたスタルジック2デイズ(N2d)のマツダブースでは、1台のロードスターに加えて2台のRX-7が展示されていて、そのいずれもが微笑ましくも心温まるストーリーを持ったヒストリックカーでした。

新車で購入した赤いロードスター

ブースに向かって左手に展示されていた深紅の「ロードスター」、まだユーノスを名乗っていた初代モデル(型式はNA6E)のスペシャルパッケージ仕様だが、当時60歳だった東北地方の女性が1989年、デビューしたてのユーノス ロードスターを「還暦の“赤いちゃんちゃんこ”の代わりに」購入した、というエピソードがあった。

2011年の東日本大震災ではガレージ内で落ちてきたものにぶつかってフェンダーが凹むというアクシデントも経験したということだが、幸いにしてクルマにもオーナーにも大過なく元気に走り続け、先年、オーナーが90歳を迎えて免許を返納したのを機にクルマはマツダに寄贈された。

MAZDAではユーノス ロードスターとオーナーが過ごした日々を留めておくために、内外装はフェンダーの傷も含めて、あえて修復の手を加えることなく、現在は「人馬一体」の原点を伝える広報車として活躍中だ。

RX-7にひと目惚れして購入

ブース中央に展示された「RX-7」は、ニュースとしてマスコミやSNSで広く伝えられてきたクルマ。そもそもRX-7は1978年に登場した初代モデル(型式はSA22C。北米仕様車はB3S)が、それまでの「サバンナRX-3」(サバンナ クーペ)の後継モデルという立ち位置だったこともあり、スポーティな乗用車から4座のライトウェイト・スポーツカーにコンセプトを一新したにもかかわらず「サバンナRX-7」を名乗っていた。

1985年に登場した2代目(型式はFC3S)もサバンナRX-7を名乗りベースモデルでは相変わらずの4座だったが限定モデルの「アンフィニ」では2シーターとなり、よりスポーツ性が高まっていた。1991年に2度目のフルモデルチェンジを受けて登場した3代目(型式はFD3S)は当初、新販売チャンネルの誕生を受けてアンフィニRX-7と命名されていたが1996年には販売体系の変更を受けてマツダRX-7を名乗るようになった。

モデルチェンジの度にボディはサイズアップし、ライトウェイトからミドルウェイトに移行したがパワーアップとシャシーが強化され「ザ・ロータリースポーツ」の伝統を守っていた。展示されていた個体は1999年に登場した後期モデルのV型。

当時55歳だった長崎在住の女性オーナーは、アニメ『頭文字D』に登場していたRX-7に「ひと目惚れ」してこの個体を購入。オーナーとともに元気に走り続けてきたが、2024年、女性オーナーが80歳の誕生日に免許を返納し、同時にこのRX-7を手放すことを決意した。

このニュースが広まるとともに譲渡の依頼が殺到したようだが、マツダからの「クルマのもつ力でいつまでも元気にいきいきと生きる、という物語で多くの人々に元気を与えたい」というメッセージに共感した女性オーナーは、愛車がマツダの広報車となる第2の人生(車生)を選択した、という。

退職を機に第2の人生のパートナーに選んだ2代目RX-7

さらにブースの右手に展示されていたRX-7は1988年式の2代目モデルで、若い頃にRX-7に憧れていたオーナーが当時61歳で、退職を機に第2の人生のパートナーに選んだクルマ、とのこと。縁あってマツダミュージアムが入手し、現在は展示に向けて作業が進められているというが、先に触れた2台、ロードスターや3代目RX-7とともに微笑ましい心温まるストーリーを紡いでいってほしいものだ。

マツダではこうしたクルマのストーリーを支えるために、そして新しいクルマだけでなく、古いクルマも大切にできる社会を育みたい、との想いから「CLASSIC MAZDA」を創設。現在ではNA ロードスターとFC/FD RX-7用に複製パーツを充実させつつ、ロードスター(NA)にはレストアノウハウを踏まえた推奨交換パーツ案内やレストアサービスも進めているという。こうした活動も心温まるストーリーを育む一手となるはずだ。

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