気分は『イージー・ライダー』! どこまでも続くルート66を行く
「アメリカの母なる道」と呼ばれる「ルート66」が2026年で100周年を迎えます。ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手を応援しにカリフォルニアを訪れる日本人が多い今、そこからちょっと足を延ばせば満喫できる、ルート66ゆかりのスポットをご紹介。アリゾナ州との境にあるニードルスの町から西の超有名スポット「ロイズ・モーテル&カフェ」に至るまでは、特に濃厚なルート66の香りを味わえるエリアです。
カリフォルニアのルート66、始まりにして終わりの地ニードルス
ジョシュアツリー国立公園から北東にクルマで移動すること約2時間半、アリゾナ州との境に位置するニードルスの町へやって来た。ここはルート66を行き来する旅人にとって、長い旅の節目に安らぎを得る中継地点として栄えてきた。それゆえ、人口約5000人ほどの小さな町にもかかわらず見どころは多い。宿泊施設も充実しているので、ルート66の旅に限らず、ロサンゼルスからラスベガスに向かうついでに寄り道するのもお勧めだ。
州境であるコロラド川にかかる古いアーチ橋(Old Trails Bridge)は、映画『イージー・ライダー』のオープニングシーンに登場した象徴的なスポット。現在は通行することはできないが、映画のファンならぜひ撮影しておきたい。
そこからニードルス中心部への道すがらには、古いガスステーションやモーテル、「ルート66」サインが随所にあって、古き良きアメリカの雰囲気を味わい写真を撮るにはうってつけの町なのだ。
スヌーピーの兄スパイクが住んでいる……?
鉄道の要衝でもあるニードルスの駅前には「ニードルス・リージョナル・ミュージアム」がある。そこでルート66サインとともに出迎えてくれるのは、ヒゲをはやした「スヌーピー」? いや目つきも少し違う……。じつはこれ、スヌーピーの兄の「スパイク」というキャラクターで、原作『ピーナッツ』の中では、ニードルスに住んでいるという設定なのだそうだ。作者のチャールズ・シュルツが幼少時、数年だけこの町で過ごしたことに由来している。
ニードルス駅の中にあるビジターセンターでもマップや土産物をチェックできる。この日はホールで、地元の人たちの作品を集めたアート展とミニパーティーが行われていてアットホームな雰囲気だった。
夕食は地元で人気のダイナー「ワゴン・ホイール・レストラン」へ。ルート66サインやキングコングが目印のにぎやかな店で、名物料理は「チキンフライドステーキ」。これ、鶏肉ではなく牛のテンダーロイン肉をカツレツにして、自慢のグレービーソースをたっぷりかけて、大量のマッシュポテトと一緒に……という、ボリュームたっぷりの逸品だ。意外と油っこくはなくて、ペロリといただけてしまった。
この日の宿は全米チェーンのハンプトン・イン・ニードルスにチェックイン。安心の清潔な部屋でたっぷりと寝たのだった。
100年以上前の学校跡で当時の生活史に触れる
翌日はニードルスを出発してルート66を西へ。ここからは、かつて西海岸に憧れて移住した人々の道のりをたどる形となる。
まわりに何もなくたまに鉄道が走っているだけの荒野を、さらに脇にそれたところにぽつんと存在している「ゴフス・スクールハウス」は、1914年に開校した古い学校の史跡。かつては鉄道とルート66の町として栄えて、小中学校あわせて20~30人ほどの生徒が通っていたという。第二次大戦時にはパットン将軍のトレーニングセンターができて盛り上がったこともあるそうだ。
現在は昔の資料や文化を伝える資料館として運営されていて、つい撮影したくなる古い農具や風車などが多い、「映え」の隠れスポットだ。大量のアーカイブを保管して現在も整理を進めているという姿勢にも、歴史への深い愛情とリスペクトが感じられる。
あの「ロイズ」のコテージが2026年に営業再開予定
さあ、さらに西進してアンボイに向かえば、そこにはルート66でおそらく一番有名なランドマーク、「ロイズ・モーテル&カフェ」が待っている。ルート66をテーマにした本や記事で、特徴的なネオン看板を見たことのある人も多いはずだ。
1938年にガスステーションとして開業して以来、ニードルスとバーストゥの中間地点での補給と休憩の要として栄えたロイズだが、やがてルート66の衰退とともに荒廃。2003年に日系人のアルバート・オオクラが買い取って復興に取りかかり、現在、ガスステーションと土産物屋が営業している。
さらにその脇に5棟並んでいるコテージも、ルート66の100周年にあたる2026年を目標に、営業再開へ向けて現在準備中とのこと。それが実現すれば、ルート66を象徴するロイズで宿泊して、夜のネオンサインや日没・日の出の写真も撮り放題ということになり、人気殺到となること間違いないだろう。
ところで、ロイズからルート66を挟んで向かい側の土地に1960年代の白いフォルクスワーゲン「カルマンギア」が放置されていた。裏に回りこんでみるとカラフルなフラワー柄とルート66サインがペイントされていて、ロイズを背景にしたフォトスポットとなっていたのだった。自身で1963年式カルマンギアを長年所有している筆者にとって、この意外な出会いが、今回の旅で最大の喜びであったことは言うまでもない。
撮影の途中で数十台のバイク軍団がロイズを訪問し、いかつい風体のバイカーたちがアイコニックなネオンやロードサインとともに記念撮影をしていたが、やはり皆さん満面の笑顔。
ロイズはルート66の熱心なファンならずとも、アメリカの往年のモーターカルチャーを象徴する聖地。ロサンゼルスからクルマで3時間少々なので、ここを目的地にドライブしてくるのも大いにありだろう。
■Visit California(カリフォルニア観光局)
https://www.visitcalifornia.com/jp/
■Discover Inland Empire(インランドエンパイア観光局)
https://discoverie.com
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