希少なアメリカ仕様がオークションに登場
2025年2月27日〜28日にRMサザビーズがアメリカ・マイアミで開催したオークションにフェラーリ「F40」が出品されました。オークションに登場したのは、1991年式のF40。トータルで213台が生産されたアメリカ仕様のなかの1台です。
フェラーリ創業40周年を記念するモデル
フェラーリのファーストモデルである125Sを誕生させてから40年となる1987年に、プレミアムモデルが登場した。エンツォ・フェラーリが直々にその開発を指示したモデルとしては最後の作品となる「F40」がそれだ。
限定生産を前提としたプレミアムモデルは、F40以前に288GTOがある。またF40に続きF50、エンツォ、ラ・フェラーリ、F80といったモデルが誕生しているが、それらはいずれもフェラーリの上顧客に割り当てられるのが常。そのデリバリーリストに漏れてしまったカスタマーは、高いプレミアムを支払って市場に出まわる売り物を探すか、あるいはオークションにそれが出品されるのを待つしか、策がないというのが現状なのである。
もちろん現在市場で見つけることのできるプレミアムモデルは、相当に高いプライスタグを付けているのが実際のところ。ちなみに今回、RMサザビーズのマイアミオークションに出品された1991年式は、F40の生産が1992年で終了していることを考えれば、高年式な部類に入るモデルとなる。
参考までに日本に正規輸入されたF40の新車価格は4650万円。今から20年ほど前の輸入車雑誌を見ると3000万円前後からF40の売り物があることが分かる。ここを底にF40、フェラーリというブランドの驚異的な価格高騰は始まったともいえるのだ。
公称最高速の320km/h
マイアミオークションでRMサザビーズが掲げた予想落札価格は250万ドル~375万ドル(邦貨換算約4億8450万円~6億7150万円)だったが、そもそも1315台しか生産されていない(諸説あり。当初の計画では400台が限定生産される計画だった)。
しかも納車後には多くのF40がクラッシュやアクシデントによって、残骸と化しているだけに、現存するモデルはさらに少ない数字になるだろう。今回の出品車のような、走行距離がわずかに5496kmというミントコンディションのモデルには、当然のことながらコレクターズアイテムとしての高い評価が入札者からは下されることになるはずだ。
F40がミッドに搭載するエンジンは、F120A型と呼ばれる、排気量が3LのV型8気筒ツインターボ。最高出力は478psと発表されており、これには5速MTが組み合わされた。一方このパワーを受け止めるシャシーは、フェラーリの伝統ともいえる鉄管スペースフレーム。
エンジンルームなどではその強化策はさらに徹底され、リアセクションの捻じり剛性は、前作の288GTOと比較して大幅に向上した。車重は乾燥重量で1100kg。公称最高速の320km/hは、エアロダイナミクスに優れたボディデザインからも想像できるように実現不可能なものではないことを、多くのフェラーリファンは確信した。
2008年にフェラーリクラシケの認定済み
マイアミオークションに出品された1991年式のF40は、トータルで213台が生産されたアメリカ仕様の1台だ。バンパーとスポイラーの間に、衝撃吸収のためのラバープロテクションを装備していることや、フロントのチンスポイラーもプロテクターと名を変えて、より大型のラバー製になっている。そしてボディの四隅にはマーカーランプも備えられているのが、アメリカ仕様の特徴である。
エンジニアリング面では、メイン・キャタライザーに加えてプリ・キャタライザーを装備していることがヨーロッパ仕様との大きな違い。ただし最高出力の478psはアメリカ仕様においてもスペックには変化はない。
はたして今のF40には、どのくらいの価値があるのだろうか。2008年にフェラーリクラシケの認定を受け、レッドブックを得たF40への入札が止まったのは、じつに358万ドル(邦貨換算約5億3370万円)という数字に至ったときだった。フェラーリのプレミアムモデル。その価格高騰はまだまだ続きそうな気配である。
