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46年前のジュネーブショーに展示されたフェラーリ「512BB」がオークションに登場!新車時の状態を維持した個体は約3240万円で落札

17万2500ポンド(邦貨換算約3240万円)で落札されたフェラーリ「512BB」(C)Bonhams

オリジナルコンディションを保った1台

2025年4月13日、ボナムズがグッドウッドで開催した「GOODWOOD Members Meeting 2025」オークションにフェラーリ「512BB」が出品されました。登場したモデルは、1979年のジュネーブ国際モーターショーに展示するために用意された個体であるとファーストオーナーは証言します。オークションレビューで追跡しました。

フェラーリの歴史を変えたBB

フェラーリがストラダーレ(ロードモデル)の基本設計をFR(フロントエンジン・リアドライブ)からMR(ミッドシップ・リアドライブ)に変更したのは1970年代を迎えてからのことだった。

正確には1973年のパリサロンで発表された365GT4BBが、その第1弾モデル。ここからさらなる進化を遂げていった一連のBB(ベルリネッタ・ボクサー)シリーズは、1970年代半ばに日本を席巻したスーパーカーブームにおいても、常にその主役の座に君臨した。

その365GTB4BBが、ここで紹介する「512BB」へとマイナーチェンジしたのは1976年のことだった。車名の512は、それまでの1シリンダーあたりの排気量ではなく、5Lの12気筒エンジンを表すものとなる。約600cc拡大された排気量は、BBシリーズの走りのキャラクターをよりラグジュアリーな、GT的な感覚を強めることを目的としたものだった。

 

すでに当時のスーパーカー市場には、ランボルギーニが4LのV型12気筒エンジンを横置きミッドシップした流麗なミウラが存在した。フェラーリとしてはこのミウラとの差別化も重要な開発課題だった。

最高出力は360ps、最大トルクが431Nmを発揮する512BBのエンジン。コンセプトを象徴するかのように、最高出力では365GTB4BBより20psほどプアな数字となるが、最大トルクは逆に20Nmの増強。5速のギアボックスとデファレンシャルを、180度までバンク角を開いたV型12気筒エンジンの下に配置するという設計は、BBシリーズの全モデルを通じて採用。後継車であるテスタロッサシリーズの全モデルにも継承された手法にほかならなかった。

ガラス張りの展示ガレージに保管されていた

ここで紹介するシャシーNo.27271の512BBは、1979年のジュネーブショーに展示されるため用意されたモデルであるとファーストオーナーは証言する。オリジナルのサービスブックによれば、スイスのチューリッヒにあるアウト・ディーノ社を通じて、アメリカ、ニューヨーク州のブルックリンにあるディーラーに新車で納車されたことが確認できる。

またフェラーリのクラッシック部門、クラシケの車両データ・プロダクションシートによれば、そのときのボディカラーはロッソ・キアロ、インテリアはベージュのレザー仕様で納車されたことが記録されている。

シャシーNo.27271はそれから、ニューヨークのナスターゼ・レーシング、ネルキン・レーシング、アル・モア氏などのガレージを渡り歩き、1982年10月には走行距離1万2826kmでカリフォルニア州のスモッグ証明書を受領。さらに複数のオーナーへと渡るが、今回の出品者は走行距離が2万345kmを示したところでそれを購入。以後2万5000ドルをかけたエンジン・アウトのメカニカル・リフレッシュメントを受けたと報告されている。

このモデルはイギリスの地を踏むことになるが、その時に販売した業者の広告にはこのような一文があった。

「29年間、完璧主義を貫くオーナーによって、可能な限りの手段を使ってオリジナルのコンディションを維持してきた。この間、雨に降られたことも、傷つけられたことも、長時間の熱や日光にさらされたこともない。このオーナー以外は運転したことも、洗車したことも、ワックスをかけたこともない。塗装、ガラス、ゴム、内装のレザー、カーペットは工場出荷時のままです」

現在の走行距離は2万1529km。イギリスでも業者の庭にある温度調節可能なガラス張りの展示ガレージに保管されていたこともあり、そのコンディションは抜群。ボナムズが予想落札価格として掲げた15万ポンド〜20万ポンド(邦貨換算約2815万円〜3755万円)という数字に対しての落札価格は17万2500ポンド(邦貨換算約3240万円)。この512BBに象徴されるBBシリーズの人気高騰は、まだまだこれからと考えるべきなのだろうか。

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