サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

日産新型「リーフ」は急速充電15分で最大250kmの走行が可能!熱の制御を徹底化してEVの弱点を克服<2>

日産 リーフ:タイムレス ジャパニーズ フューチャリズムという日産のデザインランゲージをさらに発展させているデザイン

新型リーフに込めた想いとは

経営再建を進める日産が次なる一手として投入したのが新型「リーフ」です。EVの課題を徹底的に見直し、効率化と技術革新によって新たなスタンダードを提示しています。効率至上主義で生まれ変わったその実力とは?

ICEやハイブリッドの開発も並行進行中

前回は、日産の経営状況を覗き、再建計画Re:Nissanがはじまるという話だった。その中身は工場の整備や人員削減といった課題のほかに売れる商品を作り、売上高を上げていくことも当然含まれている。その第1弾が中国市場に投入したEVセダンの「N7」で、発売2カ月ほどだが好調な滑り出しを見せている。

そして次なる砲撃は3代目となった新型「リーフ」だ。「またEVじゃん」と思うかもしれないが、ICE(内燃機関)の開発も並行して行っているし、ハイブリッド、PHEVの進化といったことにも取り組んでいる。とくにe-POWERシリーズも並行して開発されているので、別の機会にお伝えしたい。このタイミングでリーフの発表というのは、開発期間の違いによりアウトプットとしてリーフが先行して市場投入されると考えるのが正解だ。

効率至上主義のポイントは熱エネルギーの制御

さて、新型リーフでは、EVのネガ要素に対して多くの新技術を使い、徹底した効率至上主義で開発。新たなEVのスタンダードに位置付けている。

徹底した効率至上主義での開発とは。それは航続距離や充電時間といったEVのネガ要素を払拭するために取り組んだもので、エクステリアデザインから、バッテリーの進化、温度管理など広範囲に渡り取り組んでいる。

まずはサーマルマネージメントの領域だ。つまり熱管理で、もともとヒートポンプシステムは第1世代のリーフでも採用している。ヒートポンプとは熱エネルギーを移して温めたりする技術で、モーターやバッテリーの排熱をどこに、どのように利用するかがサーマルマネージメントだ。

バッテリーやモーター、ラジエータ、そして車載充電器、冷却装置などの熱エネルギーを発するものを統合制御するシステムへ進化させている。例えば、普通充電時に車載充電器の発熱を利用してバッテリーを加温し、バッテリー温度を最適に保つことができるとか、省電力で加温、冷却する仕組みを進化させ、その温度管理の領域も充電やバッテリー本体、発熱したときに充電しやすいようにとか、回生しやすいようにと、いわゆる熱管理によりエネルギーマネージメントがワンランクアップしたというわけだ。

バッテリー本体も進化し、リチウムイオンバッテリーのラミネートタイプは従来と同じなのだが、モジュールサイズを大型化。それによってモジュール同士を繋ぐハーネス(ケーブル)が不要になったり、冷却システムが縮小できたりしてスペース効率が上がることで、現行のリーフよりエネルギー密度が向上しているのだ。スペック的には約17%密度が上がっている。

パワーユニットでは新開発の3-in-1があり、モーター、インバータ、減速機をひとつのユニットにしたもので、ユニットの小型化が実現できており、重量、スペースなどのメリットが生まれ、トルクウエイトレシオに貢献し、ダイナミック性能への寄与もあるという。

バッテリーの進化では充電性能が向上している。サーマルマネージメントのプレヒーティング機能を使い、バッテリー温度を25℃に保ち、急速充電した場合、SOC(State Of Charge:バッテリー残量)10%スタートで、15分で250kmの航続距離を得ることができる。現行リーフの約2倍の航続距離に相当する。それほど充電速度が上がっているわけだ。

目的地に応じて最適化される冷却モード

ナビリンク・バッテリーコンディショニングという機能も開発している。これは目的地を設定し、到着までのルートで負荷が低いと判定した場合、冷却性能の高い「パワー・クーリング」ではなく、エネルギー消費の少ない「マイルド・クーリング」モードに自動で切り替わる機能だ。そうすることで、エネルギー消費が少なくなり、航続距離が伸びるというユーザーメリットに繋げているのだ。

このようなエネルギーマネージメントをすることで、現行リーフに比べて、高速域での電費が向上し、クラストップレベルの電費としている。もちろんアクセルの踏み方にもよるがおおよそ10%ほど現行車より電費がよいのだ。次回は、効率至上主義のつづきと新たな付加価値についてお伝えしていこう。

モバイルバージョンを終了