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日産新型「リーフ」はデザイン力と空気力学を両立!静粛性と振動を抑えた新開発駆動用モーターを採用<3>

日産 リーフ:出力150kWの急速充電に対応。B7は15分で250km以上の走行距離に相当する電気を充電可能

空力性能と機能性を両立した新時代EVデザイン

徹底した効率化によってEVの常識を変えた新型「リーフ」。航続距離の大幅向上や急速充電性能の進化に加え、デザインや空力性能にも効率至上主義の思想が貫かれています。日産が本気で取り組んだ新世代EVの姿とは? 再紹介となる今回は、その外観デザインや使い勝手、さらに隠された技術的こだわりまで深掘りします。

空気抵抗を意識したボディ形状

これまで日産の経営状況から売れる商品の投入という流れで、新型「リーフ」もその役目を背負っているという話をした。そして効率至上主義で開発された3代目リーフは、EVのネガ要素である航続距離や充電時間といったことにも取り組んでいることは、2025年6月22〜23日の2回の関連記事でお伝えしたとおりだ。

今回はその続きとして、効率至上主義から生まれたデザインについて紹介する。その前に簡単に車両のアウトラインを説明すると、CMFプラットフォームにe-パワートレインを組み合わせ、フロントに3-in-1ユニットを搭載、前輪駆動としている。バッテリーはフロアに敷き詰め、B5とB7の2タイプの容量、出力違いのバッテリーを採用する。そして電極とセル設計を最適化し、熱マネージメントで急速充電性能の向上、航続距離の伸延を実現している。

そしてデザインも効率至上主義が取り入れられ、空気抵抗の低減で電費がよくなるのは想像できる。その結果、3代目リーフは都市型クロスオーバースタイルの5ドアで登場した。

ルーフからテールにかけての滑らかなラインは、いかにも空力性能が良さそうに見える。実際クラストップレベルの数値でありCd値0.25/0.26となっている。この2種類数値があるのは、欧州仕様と北米仕様でミラー形状が異なることから微妙な数値の違いが出ているのだ。

風洞実験を重ねた緻密なデザイン

開発では風洞にクレイモデルを入れ、何度も修正を加えながらデザインしたという。とくにやや車高の高いモデルではボディ四隅の空気の流し方がポイントになるということで、コーナーデザインには日産の空力ノウハウが詰め込まれていると思いながら、改めて新型リーフを眺めてみると楽しい。そして床下のフラットボトムも徹底している。ジャッキアップ・ポイントには当然凹みがあるが、そこに蓋をつけることでフラットとし、またサスペンションにもカバーをつけるなど完璧ともいえるフラットボトムになっている。

そして日産としては初となるフラッシュ・ドアハンドルのデザインを採用している。接近時にはポップアップする、あのドアハンドル方式だ。当然走行中はフラッシュ・サーフェイスのほうが空気抵抗が少ないことは容易に理解できる。

これらの空力性能と前項のサーマルマネージメント、バッテリー、パワーユニットの進化により航続距離は北米仕様で303マイル(485km)、欧州、日本仕様で600kmという航続距離を達成している。

さて、こうした効率至上主義で商品価値向上を目指したリーフには、付加価値による商品価値向上も多く見られるので、お伝えしていくと、以前から装備していたものだがZ2X、V2Lで、V2Lとはクルマから電気を取り出し外部に供給する総称で、災害時やキャンプなどで家電が使えるようになるというアレだ。

開発陣も自信を持つモーターの制振性能とは

それが従来はDC-AC切り替えのインバータで直流を交流に変換する必要があり、かつ変圧も必要のため、定置型で100万円ほどのインバータを必要としたのだ。もちろん、ポータブルで50万円ほどのものもあるが、新型リーフではこうしたインバータが不要で、専用コネクターを差し込むだけで電気が取り出せるようになった。もちろん片手で差し込めるサイズで、ポータブルなのはいうまでもない。

そしてモーター本体も改良が加えられており、乗り心地や静粛性などに多大な貢献をしているのだ。採用しているモーターは永久磁石型同期モーターで、固定子と回転子に配置するマグネット位置を一般的なレイアウトではなく斜め配置とすることで、回転振動がなくなり、音も静かになるのだ。

開発エンジニアも制振性能には絶大な自信があると話すように、もはやモーターの音は皆無というわけで、実車での試乗が楽しみのひとつだ。以上が新型リーフの全貌になるのだが、スペックなどの数値は未発表のものが多く、国内正式発表のタイミングで再度お伝えすることができればと思う。

さて、3回に渡り新型リーフに関する情報をお伝えしたが、リーフは経営再建計画のR:Nissanを支える重要な役目を背負ったプロダクトであることがわかる。マーケットでは、米国がトランプ関税で不確実な状況もあり、欧州と日本市場ではとくに気合を入れて販売をしていくことになる。

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