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まさかの未落札!走行1523km・ワンオーナーと奇跡のダッヂ「バイパーGTS」が何故!?

9万ドル〜11万ドル(約1330万〜1625万円)で現在も販売中のダッヂ「バイパーGTS」(C)Courtesy of RM Sotheby's

低走行ワンオーナーという奇跡の「バイパーGTS」

シボレーコルベットに並んでアメリカを代表するスポーツカー、ダッヂ「バイパー」。そのクーペスタイルの1997年式GTSが、2025年5月28日〜6月4日にRMサザビーズのオンライン・オークションに出品されました。走行距離はわずか952マイル(約1523km)、しかもワンオーナーという奇跡的な個体です。今なお多くのファンを魅了する初代バイパーGTSですが、今回のオークションでは意外にも落札に至りませんでした。その理由とは。

クーペスタイルの追加でより魅力的に進化

バイパーは、1991年から2002年まで生産された初代モデルに始まり、2002年から2010年までのセカンド・ジェネレーション、そして2012年から2017年までのサード・ジェネレーションへと進化を遂げた。しかし、その後ニューモデルは登場しておらず、これもまた、バイパーという存在が今なお多くのファンを惹きつける理由のひとつとなっている。

バイパーの初代モデルは、デビュー当初はオープン仕様の「RT/10」のみで販売が開始された。しかし市場からの熱い要望を受けて、よりダイナミックな造形を備えたクーペボディの「GTS」が1995年に追加設定されたのである。

RT/10が、当時“現代に復活したシェルビー・コブラ”と評されたのに対し、GTSはまさに“シェルビー・デイトナ・クーペの再来”と呼ぶにふさわしいモデルであった。

そのバイパーGTSの1997年モデルが、RMサザビーズの「シフト・オンライン・ノースアメリカ」オークションに登場した。しかもその走行距離はわずか952マイル、約1523kmという驚異的な数値である。

さらに、この個体は新車時から現在に至るまで、ひとりのオーナーによって所有されてきた“ワンオーナー車”である点も見逃せない大きな魅力だ。

ランボルギーニチューンの8L・V10 OHVの圧倒的パワー

デビューから約30年が経過した初代バイパーGTSだが、その迫力あるボディデザインは今もなお刺激的で、シェルビー・デイトナ・クーペの面影を巧みに再現している。クーペスタイルとなったことで、オープンのRT/10と比べて実用性も向上した点も魅力だ。

長大なボンネットの下に収まるのは、8LのV型10気筒OHVエンジン。これは本来、ダッジ・ラムのライトトラック向けに開発されたユニットをベースとしており、それを当時クライスラー傘下にあったランボルギーニが独自にチューニング。ブロックのアルミ化をはじめとした大幅な改良が施されている。

最高出力456ps、最大トルク664Nmを誇るエンジンに組み合わされるのは、6速MTのみ。前後にはダブルウイッシュボーン式サスペンションが採用されており、コーナリング性能の高さもこのモデルの魅力であった。見た目だけでなく、走りも本格派のスポーツカーである。

その実力は、0-96km/h加速4.0秒、最高速度は288km/hに迫るというパフォーマンスデータが裏づけている。

未落札の理由はリコールか、それとも価格か

今回出品された個体は、オプション設定であった「バイパー・ブルー」のボディカラーにブラックのインテリアトリムを組み合わせ、さらにポリッシュ仕上げの17インチ5スポークホイールや、プレミアムサウンドシステム、エアコン、フォグランプ、LSDなど、当時の装備が充実した仕様となっていた。

RMサザビーズが公表した予想落札価格は9万ドル〜11万ドル(約1330万〜1625万円)。走行距離と状態を考えれば、納得の水準だったはずだ。

しかし結果として、落札者は現れなかった。オークション前、RMサザビーズは

「CARFAXレポートによると未解決のリコールがある」

と注記していたが、これが影響した可能性もある。

再び市場に現れる日は来るのか

走行距離も極めて少なく、コンディションも理想的であった1997年式バイパーGTS。それでも買い手がつかなかったという事実は、スポーツカー市場の難しさを物語っているようでもある。

だが、コレクターズアイテムとしての価値が高い初代バイパーGTSは、今後も熱い注目を集め続けるだろう。再びオークション市場に姿を現す日が楽しみでならない。

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