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アメリカ放浪の旅で訪れた知る人ぞ知る「隠れた名博物館」

デロリアン DMC 12:映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ』に登場するタイムマシンのベースとなったことで有名になったデロリアン。ここでは本来のスポーツカーとして展示されていて好印象

砂漠の中に突然現れたオールドファン垂涎の博物館

夏に丸々1カ月かけて訪ね歩いた(走った?)北米の博物館を紹介するシリーズ。今回は、石油博物館(Petroleum Museum – Chaparral Cars)と、ぺティ・ジーン自動車博物館(The Museum of Automobiles in Petit Jean)を取り上げます。

シャパラル・ファン必見!石油博物館の正体とは

石油博物館(Petroleum Museum – Chaparral Cars)は今回の取材ツアーにおける大きな目玉のひとつで、ネーミングからは想像しにくいのだが、英文表記のサブネームにある“Chaparral Cars”からは、旧くからのレースファンならピンときたはずだ。

1960年代から1970年代初めにかけてCan-AmレースやFIAのメーカー選手権、そして1970年代の終わりにはCARTレースにも参戦し、1980年のインディ500で優勝。同年のシリーズチャンピオンにも輝いている、あのシャパラルのマシンに出会えるとあってワクワク感が止まらない。前日のニューメキシコ・ルート66博物館(New Mexico Route 66 Museum)から360マイル(約580km)。ツアー出発地である西海岸のロサンゼルスから1600マイル(約2560km)を5日かけて走って到着したのだが、疲れより期待感のほうが高く、到着したときには感激至極というあり様だった。

感激し過ぎて建物の全景を撮り忘れるというミスもあったが、まるで砂漠の中に突然現れたオアシスのような雰囲気で、その一角に目指す石油博物館のシャパラル・コーナーが設けられていた。

夢のガレージがそこに!歴代マシンがズラリ

コーナーの壁には、高いところにCARTマシンのシャパラル2K・コスワースDFXが飾られていて、なんとかサイドビューのカットを撮ることはできたが、ノーズやテールは見上げるカットしか撮れず。またボディ下面も空力を追求したパネルで覆われているから、サスペンション等の機械部分は確認することもできない。少しフラストレーションを感じながらシャパラル・コーナーに一歩足を踏み入れた途端、そんな不満は吹っ飛んだ。

最初のオリジナルマシン、1963年のシャパラル2(2Aとも呼ばれる)から、FIAの国際スポーツカー選手権に参戦したクローズドボディの2D、リアウイングを高く掲げた2E、空気抵抗を極力抑えた2H、ファンで空気を排出しダウンフォースを生み出す2Jなど、昔、雑誌で見かけたシャパラルの多くが一望でき、一瞬にしてモチベーションはMAXとなったのだ。

個人的に最高に刺さったのは、1966年のFIA国際スポーツカー選手権に参戦し、ニュルブルクリンク1000kmで優勝した2D。兄が購読していた自動車雑誌では見た覚えがあったが、実際に出会ったのはこれが初めてのことだったから、現物を見てさらに想いを深くすることになったわけだ。

森の中の隠れ家、ぺティ・ジーン自動車博物館へ

石油博物館の取材を終え、300マイル(約480km)ほど走ってモーテルにチェックイン。ここでは3連泊し、スーパーに買い出しに出かける以外は部屋に籠り、溜まっていた原稿書きに精を出し、3日目の朝に米国トヨタ自動車に向けて出発。

本社の内部施設として整備された自動車博物館を見せていただいた後、100マイル(約160km)ほど走ってモーテルにチェックイン。翌日は朝7時半に出発して70マイル(約110km)ほど走って、次なる博物館のペティ・ジーン自動車博物館に到着。

まるで河口湖畔か御殿場の街外れのような雰囲気がある、緑の木立に囲まれた一角に、目指すペティ・ジーン自動車博物館はあった。

高級車とスポーツカーに重点を置いた珠玉の60台

博物館の建屋は、まさに河口湖自動車博物館の本館をひとまわり大きくした感じで、少し背の高い平屋建てかと思ったら、じつは地上1階・地下1階からなる2階層。

取材に訪ねたときに地下は会議室&お手洗いだけで、実車の展示は地上階のみ。それでも60台ほどがゆとりを持って展示されているのだから、スペース的には充分なものがある、ということなのだろう。

展示車輌の傾向は、米国産車輌がメインで、高級車とスポーツカーに重点が置かれている。

だからフォード「T型」や「A型」などもベーシックなセダンではなく、ボートテールのスピードスターやウッディなボディのステーションワゴンが注目を浴びる展示になっている。高級車としてはキャデラック「フリートウッド」やリンカーン「コンチネンタル」はもちろんだが、旧いモデルでは1929年のマーモン「クーペ」や1937年のパッカード「タウンカー」なども見逃せない。

スポーツカーではシボレー「コルベット」の初代モデルから現行の8代目までが勢ぞろい。

2代目が、最大の特徴であるクーペ・モデルではなくコンバーティブル・モデルだったのは残念だけど、多くの博物館ではムービー・モデルのタイムマシン仕様にコンバートされているデロリアン「DMC12」が、スポーツカーであるベースモデルのまま(コンバートされないまま)展示されているのは、クルマファンとしては嬉しい限りだ。

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