「剛」だけを追求せず「柔」との調和でハイパフォーマンスを極める
アストンマーティンは「ヴァンテージ」シリーズでもっともパフォーマンス志向の強い新モデル「ヴァンテージ S」を追加しました。驚異的な性能を誇る4L V8ツインターボエンジンを搭載します。外観の数々のスポーティネスはもちろん、内装もアルカンターラとレザーを組み合わせたスポーティな仕立てで、こだわりの深い1台に仕上がっています。
高次元のパワー出力と人車一体感を高めたフットワーク
アストンマーティンは2025年7月、新型「ヴィンテージ S」を発表した。このモデルは、すでに高評価を得ているヴァンテージのなかでももっともパフォーマンスに特化した、新たな頂点となるモデルだ。
エンジンは従来の4L V8ツインターボをパワーアップし、680ps/6000rpmおよび800Nm/3000~6000rpmというクラス最高レベルの出力とトルクを発揮。0-100km/h加速は3.4秒、0-200km/hは10.1秒に短縮され、最高速度は約325km/hだ。
新型「ヴィンテージ S」はドライバーとの一体感を高めるため、スロットルペダルの応答性や踏力を専用に調整。ドライブモードごとにマッピングされたスロットルレスポンスは、より直感的で精密な操作感を提供する。パワートレインのチューニングも施され、ローンチコントロールの最適化により加速性能がさらに向上した。
足まわりでは、ビルシュタインDTXアダプティブダンパーのソフトウェアとハードウェア両面で改良を実施。フロントの応答性を高める一方で、リアのスプリング補助剛性を低減し、低速域での乗り心地が改善されている。また車体とパワートレインの連動性を引き上げ、路面との一体感を高めている。
リアサブフレームを従来のラバーブッシュではなく直接車体に固定する方式を採用することで、ステアリングの応答性とフィーリングが大きく向上。さらに、サスペンションのキャンバー、トー、キャスター角を微調整し、コーナリング性能とダイナミックバランスを両立させている。
優れた空力特性とこだわりの内外装のギミック
新たに中央配置されたボンネットブレードが特徴的で、グロスブラックまたはカーボンファイバー仕上げの選択が可能。エンジンルーム内の熱を効率よく排出する設計がなされている。リアには新設計のデッキリッドスポイラーを装備し、最高速時には44kgのリアダウンフォースを生み出す。このほかフロントエアダムやアンダーボディの改良により、最高速時での総ダウンフォースは111kgに達する。
エクステリアは21インチY字スポークホイール(サテンブラック+レッドアクセント)、ブロンズペイントのブレーキキャリパー、そしてクラフト感あふれる赤ガラスエナメルの「S」バッジを採用するなど外観だけでなく、空力性能や軽量化にも寄与している。
インテリアは標準でアルカンターラとレザーによる「Accelerate」仕様を採用。ヘッドレストにはアストンマーティンのウィングロゴが刺繍され、肩部には約2500針、16mの糸を用いた贅沢な「S」ロゴが縫い込まれる。ドライブモードセレクターには赤または銀のアルマイト加工が施された新設計ロータリーが配され、これに合わせてシートベルトや刺繍色も統一されている。
さらに、ラグジュアリー志向の顧客にはインテリアオプション「Inspire Sport」が用意されており、フルセミアニリンレザーまたはアルカンターラとのコンビネーションで、単色または2トーンを選択可能。特注のシェブロンキルティングとパンチングパターンが、速度感と高級感を演出している。
【AMWノミカタ】
アストンマーチンの「S」モデルはレース仕様として1953年に開発されたDB3Sがその起源とされる。以降、アストンマーティンはレーシングスピリットを継承する象徴としてハイパフォーマンスモデルには「S」の名を用いている。
今回の新型ヴァンテージ Sの特徴は、リアのスプリングレートやトランスミッションマウントの剛性をソフトに修正している点にある。ラグジュアリーカーとしてとくに低速時の快適性が向上すると同時に、スポーツカーとしての接地性や運動性能が高められるという一石二鳥のチューニングである。
また、エンジンやトランスミッションの微細や振動を吸収することで室内の静粛性や快適性も向上するものと思われる。新型ヴァンテージ Sはパフォーマンスとラグジュアリーといった相反する価値を手に入れられる1台となるであろう。
