モデルチェンジの常識を超えた進化をフル満載
BMWが新世代EVモデルシリーズ「ノイエ・クラッセ」の第1弾として、フル電動SAV「iX3」を発表しました。新型iX3は新デザイン言語と第6世代BMW eDriveテクノロジーを採用し、最大航続距離805km、最大充電速度400kWを実現。さらに、新開発「BMWパノラミック・iDrive」を初めて採用しています。2026年春、欧州デビュー予定とされています。
縦長キドニーグリルの新時代フロントマスクが懐かしく斬新
ノイエ・クラッセはBMWによる自動車の未来を担う新世代EVモデルのことで、その第1弾として「iX3」をモデルチェンジする。同モデルは、従来のモデルチェンジの枠を遥かに超え、デザイン、テクノロジー、そしてドライビング体験のすべてにおいて、飛躍的な進化を遂げている。
BMWの新たなデザイン言語を採用し、シンプルでありながらキャラクター豊かな外観は全長4782mm、全幅1895mm、全高1635mmというSAVらしい堂々としたプロポーションと、無駄を削ぎ落とした精密なラインが特徴だ。とくに垂直に配置されたキドニーグリルとツインヘッドライトは、1960年代のノイエ・クラッセ(新しいクラスの意で、1963年登場の中型セダンBMW1800)を彷彿とさせる。空力性能も徹底的に追求され、空気抵抗係数(Cd値)はわずか0.24を達成している。また、室内空間も広く、ラゲッジ容量は520Lから最大1750Lまで拡大可能。ボンネット下には容量58Lの収納コンパートメントを持つ。
心臓部には第6世代BMW eDriveテクノロジーを搭載。高効率な電気モーター、新しい円筒形バッテリーセル、そして800Vテクノロジーで構成されている。iX3 50 xDriveには、最高出力469hp、最大トルク645Nmを発生する2基のモーターが搭載され、静止状態から100km/hまでわずか4.9秒で加速する。
また新開発の円筒形バッテリーセルは、第5世代eDriveと比較してエネルギー密度が20%向上し、充電速度も30%速くなっている。iX3 50 xDriveのバッテリー容量は108.7kWhで、これによりWLTPモードで最大805kmという驚異的な航続距離を実現。400kWのDC急速充電ステーションを利用すれば、わずか10分で最大372kmの航続距離を回復でき、10%から80%までの充電が21分で完了する。さらに、新型iX3は双方向充電機能を初めて採用し、V2L(Vehicle-to-Load)やV2H(Vehicle-to-Home)、そしてV2G(Vehicle-to-Grid)にも対応し、車両が移動式電源として、あるいは家庭や電力市場へのエネルギー供給源として機能する。
4つの高性能コンピュータが生み出す新次元のドライブフィールの醍醐味
新型iX3には4つの高性能コンピュータ、通称・スーパーブレインからなるまったく新しいエレクトロニクス・アーキテクチャーが採用されている。従来の制御ユニットの10倍以上速い情報処理能力を持ち、なかでもハート・オブ・ジョイと呼ばれるドライブトレイン・ダイナミクス制御ユニットは、駆動系、ブレーキ、エネルギー回生、ステアリングといったサブ機能を統合的に制御し、卓越したハンドリングと精度を実現している。また運転支援システムを統括するスーパーブレイン・オブ・オートメーテッド・ドライビングは、従来の20倍の処理能力を持ち、高度な自動運転・駐車機能を実現する。
ユーザーインターフェースも革新的進化を果たした。新型iX3で初採用されたBMWパノラミック・iDriveは、フロントガラスの全幅にわたって情報を投影するBMWパノラミック・ビジョンと、マトリクス・バックライト技術を用いたセントラル・ディスプレイ、そして3Dヘッドアップ・ディスプレイの3つの要素を統合し、ドライバーの直感的な操作をサポートする。一方でBMWのハンズ・オン・ザ・ホイール、アイズ・オン・ザ・ロード理念を新たなレベルへと引き上げてもいる。AI活用のBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントは、2種類の新しい音声と外観、そしてより直感的な対話を実現するための大規模言語モデル(LLM)の導入も予定されている。
新型iX3はサステナビリティを追求したモデルでもあり、車両全体の約3分の1が二次原料から製造されているのが特徴だ。例えばボンネット下の収納スペースには30%のリサイクル海洋プラスチックが使用され、シート地やヘッドライナーには100%リサイクルされたPETが使われている。これらの取り組みで、ライフサイクル全体の製品カーボンフットプリントは、先代モデルと比較して34%の削減を達成。同モデルは欧州で2026年春、米国では2026年夏に発売が開始される予定だ。
【AMWノミカタ】
「ノイエ・クラッセ(新しいクラス)」という言葉をBMWが使用したのは、1964年に投入した新しい中型セダンのBMW1800だった。この新しいデザインとコンセプトを持ったモデルの導入はBMWの販売に10年で3倍に、自動車売上収入は7倍超をもたらすだけでなく、後の明確な製品群の柱ともなった。
新型iX3も自動車の概念そのものを再定義するBMWの強い意志が込められた戦略的なモデルだ。「ノイエ・クラッセ」という言葉の再登場で新シリーズはデザイン、テクノロジー、そして持続可能性のすべてにおいて、BMWの未来像を提示している。BMWが伝統的に掲げてきた「駆けぬける歓び」を、デジタル時代に合わせて再構築した新型iX3は、自動車産業の大変革期において、BMWがリーダーシップを発揮していくための羅針盤的存在になるのではないだろうか。
