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ランボルギーニのV12搭載FR!3ドアハッチの4シーター「エスパーダ」が約1350万円で落札

9万1840ドル(邦貨換算約1350万円)で落札されたランボルギーニ「エスパーダ Sr.III」(C)Bonhams

FRランボルギーニ最高の4人乗りラグジュアリーGTがオークションに

近年、クラシックカー市場でランボルギーニのフロントエンジンモデルが再評価されています。その代表格ともいえるのが、流麗なデザインとV12エンジンを持つ「エスパーダ」です。今回、1973年式の最終シリーズIIIが2025年8月、名門ボナムズのオークション「The Quail 2025」に登場しました。わずか3人のオーナーに大切に乗り継がれた“FRランボルギーニの傑作”が、改めて注目を集めています。

全高1185mmでフル4シーターを実現!ガンディーニの傑作

闘牛士の「剣」に因んで名付けられたランボルギーニ「エスパーダ」は、排気量4LのV12ユニットをフロントに搭載するフル4シーターGTである。フェラーリが常に2+2モデルしか持たなかったことから、フェルッチオ・ランボルギーニはフル4シーターモデルの商品化をベルトーネに発案した。

前後席を覆うような巨大なガラスのキャノピーを持つガルウイングドアの未来感あふれるコンセプトカー「マルツァル」を経て、1968年のジュネーブ・ショーに「400GTエスパーダ」の名で正式デビューした。

未完に終わったマルツァルは、ミウラ用V12を半分にカットした2L直列6気筒エンジンをリアに横置き搭載していた。一方、エスパーダは320psを発生するV型12気筒3929ccユニットをノーズ先端に搭載している。ランボルギーニの始まりである350GT/400GT以来の後輪駆動を踏襲した。

このエンジンは400GTで初めて採用され、同時期の400GTイスレロにも搭載された。ベルトーネがコーチワークを担当した特徴的なクーペボディを、時速150マイル(約241km/h)まで加速させるには十分な性能をもたらした。

駆動系は400GTおよびイスレロのものを流用しつつ、チューブラーフレームではなく、プラットフォーム式セミモノコックシャーシーと組み合わせた。2+2の400GT/イスレロよりも100mm長い、2650mmのホイールベースの延長分はすべてキャビンの拡充に充てられ、全高わずか1185mmながらフル4シーターを実現している。現役時代のイタリアでは、リアシートをショーファードリブン的に使用するユーザーも存在した。

マルチェッロ・ガンディーニ作品であるボディは、マルツァルと酷似したプロポーションを持つが、ドアやウインドーグラフィックは従来型のものとされた。

1970年1月に登場したマイナーチェンジ版シリーズIIは、「エスパーダ400GTS」として出力を25ps高め、最高速度は155mph(約249km/h)に向上した。加えて改良されたダッシュボードレイアウトや、パワーステアリングのオプションを特徴とした。そして1972年末のシリーズIIIでは、ダッシュボードが再び改良され、パワーステアリングも標準装備化。ブレーキの強化、サスペンションの微調整、フロントグリルのデザイン変更も施されている。

エスパーダの生産は1978年に終了した。生産台数は1217台(ほかに1227台説など諸説あり)という、ランボルギーニのフラッグシップとしては十分な生産台数を記録したことになる。

通算走行距離1万マイルのエスパーダ最後のシリーズⅢ

この夏、ボナムズ社のオークション「The Quail 2025」に出品されたランボルギーニ エスパーダはシャシーNo.8984である。1973年1月にサンタガータ・ボロニェーゼにあるランボルギーニ本社工場で完成した個体であり、最終のシリーズIIIに属する。生産期間を通じて改良が施されている。

製造元であるランボルギーニ本社発行のオリジナル原産地証明書によると、このエスパーダは1973年2月6日にニューヨーク市の「モデナ・スポーツカー・サービス(Modena Sports Car Services)」社に納入された。すぐにフロリダ州ボカラトンにある「ヴァルドロン・モーターズ(Waldron Motors)」に移送。その後、1974年6月6日にウィスコンシン州オー・クレア在住の実業家、デーヴィス・ドネリー氏が初めての個人オーナーとして購入した。

当初「ブルー・スペットラーレ(Bleu Spettrale:スペクトルブルー)」のボディに、「セナーペ(Senape:からし色)」のレザーインテリアという仕様だった。エスパーダはドネリー氏によって10年近く所有された後、1983年9月19日、マサチューセッツ州ボストン在住の2代目オーナー、レイ・スタータ氏に売却された。売却時の走行距離は「2400マイル未満」であったことが、その取り引きで交わされた売買契約書の写しによって確認されている。

その後スタータ氏は、30年以上にわたりエスパーダを所有した。その間に走行距離計に加算された走行距離は7000マイル未満である。現在「ヴェルデ・メタリッツァート(メタリックグリーン)」に再塗装されている。2020年8月14日に3代目オーナーである今回のオークション出品者が取得する前に、定期的な整備と大規模な機械的リニューアルが施されたと報告されている。施術の時期は不明だが、完全オン/オフ切り替えが可能な電動パワーステアリングも追加装備されている。

新車時からの通算走行距離が1万マイル(約1万6000km)にも満たないと推定されるエスパーダは、現在でもなお美しいコンディションを保ち、手入れの行き届いたオリジナルのレザーインテリアを維持している。歴代3人のオーナーによって丁寧に維持管理されてきた点も強調された。

ボナムズ社の公式WEBカタログでは、

「ベルトーネ設計のエスパーダのなかでも優雅な個体である。わずか483台しか製造されなかったシリーズIIIの1台として、次なる所有者にV12エンジンの豊かなパワーと4名分の広々とした空間を提供する」

というPRフレーズが謳われるとともに、8万ドル~10万ドル(邦貨換算約1184万円〜1480万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。また、このロットは「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で競売を行うこととした。

「リザーヴなし」という出品スタイルは、ビッド(入札)価格の多寡を問わず確実に落札されることから競売会場の購買意欲が盛り上がり、エスティメートを超える勢いでビッドが進むメリットがある。しかしそのいっぽうで、たとえ出品者の意にそぐわない安値であっても落札されてしまうという、出品者サイドからすれば不可避的な落とし穴もある。

こうして迎えたオークション当日、ゴルフクラブ内に設けられた巨大な特設テント内のステージで開催された。落札額はエスティメートの中央値を超える9万1840ドル。すなわち、現在の為替レートで日本円に換算すれば約1350万円でハンマーが鳴らされたわけになる。

ひと頃の高騰相場の記憶が鮮明であるゆえに、この落札価格は若干ながら鎮静化したようにも見受けられるが、同時代のフェラーリ365GT4 2+2と同等以上の相場価格は依然として維持していると言える。

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