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異常すぎるR34 GT-R「Nur」の相場価格!走行距離約9000kmの個体がオークションに登場

35万0000ユーロ〜45万0000ユーロ(邦貨換算6320万円〜8130万円)で現在も販売中の日産R34型「スカイラインGT-R Nur」(C)Bonhams

低走行距離のR34型GT-Rの落札予想価格は約6320万円から!

2025年10月12日、ベルギーのノッケ・ハイストにあるアルベール広場で英国・ボナムズ社主催のオークション「The Zoute Sale」が開催されました。そこには、日産R34型「スカイラインGT-R Nur」が姿を見せました。低走行かつオリジナルに近い姿をキープしたこの希少なクルマに、はたしてどのくらいのプライスがつけられたのでしょうか。気になる詳細をお伝えします。

第2世代GT-Rは国産車の性能を世界基準まで引き上げた存在

R34型スカイラインGT-Rは、レース出場を前提とした高性能スポーツカーとして1969年2月にデビューした3代目スカイライン(C10)GT-Rのあとを受け継ぐ、第2世代と呼ばれるモデルの最終進化形である。

第2世代GT-Rの特徴は、第1世代(C10型)と同様にレースで勝つための設計が施されている点にある。600psを許容する「RB26DETT」型エンジン、FRベースのまったく新しい四輪駆動システム「アテーサE-TS」、後輪操舵で旋回性を高める「スーパーHICAS」など、日産自動車の持てる技術をすべて投入し、「究極のドライビングプレジャー」を追求してきた。

その長兄にあたるR32型スカイラインGT-Rは、1989年にデビュー。国産車のポテンシャルを一気に世界基準へと押し上げ、モータースポーツからアフターパーツマーケットに至るまでを席巻したのは、広く知られている事実だ。R34型は、当時の日産が経営不振で新開発が難しかった背景もあり、R32型の基本コンポーネンツを継続しつつ、エンジン特性、車体剛性、空力デバイスなどを磨き上げることでパフォーマンスの底上げを図って登場した。

Nurの販売台数は最終的に1000台となった

R34型GT-Rは、1999年1月の登場時に標準仕様の「スタンダード」と、アンダーフロアの整流効果を高めるエアロパーツ、アテーサE-TSとアクティブLSDを統合制御させたE-TS Proといった新たなメカニズムを投入した上級の「V-spec」を展開。これにレース参戦ベース車両となる「Vspec N1」を加えた3グレード構成であった。

2000年10月のマイナーチェンジでは、Vspecにカーボンボンネットが採用された「VspecII」へと進化し、翌2001年には上質な本革内装としなやかなサスペンションを採用した「Mspec」が新設定された。スポーツ性だけでなく、欧州勢と肩を並べるプレミアム性を与え、幅を広げたこともトピックである。

そして、今回オークションに出品された「Nur」は、第2世代GT-Rの最終章を飾るモデルとして2002年1月に発表された。当初は300台限定の予定であったが、あまりにも多くの申し込みが殺到したために500台へ増枠され、最終的には1000台まで枠が取られたことは、スカイラインファンならば周知の事実だ。

走行距離は23年間でわずか9000km

「Nur」は、ベースとなったVspecⅡおよびMspecに対してエンジンが異なる。N1レース用の高耐久な24U(基準車は05U)と呼ばれるエンジンブロックを採用し、内部には重量公差を整えたムービングパーツを使用することで、フィーリングアップを図っている。同時にタービンもオリジナルのセラミックブレード製から鋳鉄製のN1タービンとなっている。

ヘッドカバーはオリジナルの赤に対して、シリカブレスと呼ばれるゴールドへと変更され、コーションプレートも同様にゴールドとなる。インテリアはスピードメーターが300km/h表示となるのが唯一の識別点だ。ボディカラーにはNur専用色のミレニアムジェイド(JW0)が追加され、このカラーがマーケットでは圧倒的な人気を誇っている。

オークションにエントリーされたモデルは「VspecII」をベースとした718台中の1台で、カラーはQM1である。NISMOの初期バンパー、サイドステップ、リアアンダースポイラー以外はオリジナル状態を維持。ボディは完全にミントコンデションと呼べる極上で、履歴をたどると2002年4月に大阪のオーナーが購入し、2007年末まで所有していた。その後、2008年に登録抹消が行われた後、2024年にドイツに渡るまでの記録がない点から、長期間屋内保管されていたと推定される。そして、ドイツで約1年の時を経て、オークションへと流れついたというわけだ。

落札予想価格は新車価格の10倍と価値を評価されるのは喜ばしいが…

走行距離が1万kmに満たず、さらに2024年には前オーナーの手で大規模なリフレッシュが施されている履歴が残っていることから、エスティメイト(推定落札価格)は35万0000ユーロ〜45万0000ユーロ(邦貨換算約6320万円〜8130万円)というかなり強気の価格設定がなされていた。

しかし、結果は残念ながら「No Sale(流札)」である。現在では同じエスティメイトを提示したまま、ボナムズ社の営業部門による個別販売が継続されているようである。

程度のいいクルマは新車価格の10倍が相場なため、海外流失も加速しており、国内中古車マーケットではR34型スカイラインGT-R Nurを見ることはめっきり減った。国産スポーツカーの価値が評価されること自体は喜ばしいが、さすがに現在の相場は異常だと感じるのは筆者だけではないはずだ。どうか、このモデルが「オークションを徘徊し続けるクルマ」にならないことを願うばかりだ。

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