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ホンダ新型「プレリュード」の日常における実力を検証!2ドアでも“家族と犬は快適”だった

ホンダ プレリュード:2ドアクーペのプレリュードを24年ぶりに復活させたホンダの心意気を僕は推した

愛犬シュンも太鼓判?

2025年12月4日に開催された「2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー」最終選考会。スバル「フォレスター」と激しいデッドヒートの末、惜しくも次点(2位)となったホンダ「プレリュード」ですが、我らがAMWの選考委員である島崎七生人氏は、あえてこのモデルを1位に指名しました。なぜ彼はプレリュードを選んだのか? その理由を試乗リポートを通して解き明かします。

愛犬とのドライブで探る新型プレリュードの実用性

「うーむ、新型プレリュード後席のヘッドクリアランスはボクには人の握りコブシ2.5個分ってとこかな……」

と記事中の写真で言っているのは、乗り心地・NVH評価担当の我が家の飼い犬のシュン(柴犬・♂・3歳10カ月)である。何を言いたかったのか? というと、我が家もそうだが、大人2人+犬1匹といった家族構成であれば、日常的にはプレリュードでも十分に実用車として通用するということだ。

2ドア車の後席へのシュンの乗せ降ろしも、今は体重15kgのカレを家内か僕が抱きかかえて行っている。だが、「ヨシ!」のコマンドを教えて、カレが自分で乗り降りを覚えてくれれば、飼い主2名の腰への負担も少なくなるだろう。

初代からリアルタイムで見てきた僕が抱くプレリュードへの親近感

ところでプレリュードと聞くと、少し人生を長めにやってきた僕らの世代では、リアルタイムで見てきた1978年の初代からの姿が走馬灯のように浮かぶ。初代は従兄弟が持っていて、一時期自宅の庭に濃紺のプレリュードが停まっていたし、当時の外誌(「ROAD & TRUCK」か「CAR and Driver」だったと思う)にVW初代「シロッコ」とハンドリングを比較する記事が載っていた。当時の僕は中古車で出会ったまさにそのシロッコに乗っていたことから、興味深く記事に目を通した覚えがある。

2代目、3代目のプレリュードは学生から社会人になりたての頃で、同世代の友人(女子を含む)が乗っていた。4代目、5代目は、僕を拾ってくれた編集プロダクションから飛び出してフリーランスになった頃で、「GOLD CARトップ」の取材でデザイナーのインタビューをさせてもらった。ベルノ店へはカタログを貰いに足を運んだものの、自分で注文書を書いてきたことは1度もない(ホンダ モンキーならホンダファミリー東京から買って今も物置きのなかにある)。しかし、プレリュードというと、そういうわけで国産車のなかでも親近感の湧くメイクのひとつだ。

先の日本カー・オブ・ザ・イヤー2025−2026では大賞をスバル フォレスターに譲り2番手となった。しかし、SUVが主流で軽自動車の販売台数が4割超というなか、ハイブリッドを手段としつつもプレリュードというこの2ドアクーペを24年ぶりに復活させたホンダの心意気を僕は推した(S660やホンダeのようにすぐに終了にしないで欲しいとの願望も込めている)。もちろん言われているように617万9800円のプライスタグはなかなかのものだが、もしも自分で乗れるのなら結構シアワセなことなのではないか? などと、紙のカタログと初回特別仕様のカモフラージュラッピングのトミカを手元で眺めながらこの原稿を書いている。

驚くほど運転しやすく心地よい低重心パッケージ

そんなプレリュードを数日間、借り受けて日常のなかで試乗した。するとシンプルに“いい気分”が味わえた。何より驚かされたのは運転がしやすいことだ。ここ最近はSUVを試乗する機会がめっきり増え、プレリュードのような車体の低いクルマに乗るにはさぞリハビリが必要なのでは? との予想に反し、乗り込みの所作はいたってスムースだ(ドアも不思議と大きさを意識させない)。

さらに乗り込むと、ここ最近のアコード、シビックなどと同様にAピラーが寝過ぎておらず付け根が手前に引かれ、そこから先、左右フェンダーの素直な形状の膨らみが目に入る。自分のポジションを取ればその場でクルマがフィットする印象だ。シートヒーターは装備するのだから、パワーシートもぜひ欲しい(決して贅沢品ではなく、筋力が衰えてくる世代に優しい必需品だと思う)。

また、前席背もたれを倒す際に持ち上げるレバーもクリックがいささか硬く重い。しかし視界は良好で、2代目、3代目のような半身浴感覚ではなく、着座すると適度な包まれ感が味わえるのもいい。

切る/戻すが意のままにできる操舵感と上質感のある乗り心地

そして誰にでも気持ちよく走らせることができ、爽快感を存分に味わえるところが新型プレリュードの最大の魅力だ。基本的に乗り心地は低速からトガったところがなく穏やかであるし、ステアリングも速度や場面を問わずなめらかでしっとりとした操舵感を保つ。切る/戻すの反応そのものも過敏すぎず、意のままといったところだ。シャシーなどはシビック タイプRのそれをベースとし、アダプティブサスペンションも採用するものの、高剛性はそのままに、決してハード方向一辺倒ではない味付けになっている。

パワートレインはシビックe:HEVと共通といってよい。EV、ハイブリッド、エンジンの3つのモードを使い分けて走る。プレリュードではさらに、加減速時に仮想8段変速を披露する“Honda S+ Shift”や、ホンダ車初のコースティング制御、アクティブサウンドコントロールなどを加えることで、よりリアルに“走らせている感”が味わえるものとなっている。

ドライブモードはSPORT、GT、COMFORT(とINDIVIDUAL)が用意され、それぞれのパラメーターごとに走りの味わいが選べる。さらにシフトセレクター横のS+Shiftボタンでそれぞれの制御の幅を変えたり、パドルで回生の度合いを変えることもできる。実際の走りは言葉で表現すると“意のままに自在”なもので、パワーレスポンスの変化を体感しつつ、シフトダウン時のサウンドに耳を預けながら、最近忘れかけていたクルマを走らせる楽しさを存分に味わわせてくれる。

スペックを超えた洗練されたドライバビリティ

試乗を兼ね、自宅からほど近いダム湖を目指して“家族で”出かけてみた。ワインディング路を走行時には、プレリュードの荷重移動のスムースさ、前後接地性のバランスの良さ、安定感の高い足まわりなどが体感できた。また、ブレーキの止まる最後までしっかりとコントロールが効く使いやすさなども実感した。

そういうわけで後席に乗るシュンも途中クルマ酔いもアクビ(=ストレス発生のサイン)もせず、時には居眠りや外の景色を眺めるなどしながら、新型プレリュードでのドライブを楽しんでいた。しなやかなスタイルに齟齬のない走り、そして乗り味……。決してスペックだけを極めたのではなく、洗練されたドライバビリティをモノにした最新のスペシャルティクーペに仕上げられている。

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