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全国から参加者が集うデイラリー!開催地ごとにコースも走り方も異なるところが魅力

AE86スプリンタートレノでやってきた蛭子毅/梅田臣宏組

シリーズ戦は開催地のコース設定に特徴があって面白い!

レジェンド・ラリーストから、まっさらの自動車免許取り立てのビギナードライバーまで、そして車種を選ばずライセンスも不要で参加できるモータースポーツが、JAF公認の「デイラリー」だ。関東ではシリーズ戦が組まれ、各戦それぞれ開催地区が持つコース設定に特徴があり、それぞれのラリーで参加者は楽しんでいるようだ。2025年9月7日に開催された関東シリーズ第4戦「ソネット・ラリー in 日光」の現場の様子をお伝えします。

居住地域を問わず誰でも参加できるJAF公認競技「デイラリー」

関東シリーズとはいえ全国どこからでも、普段使いのクルマでも参戦することができるのがデイラリー。栃木県で開催された第51回ソネット・ラリー in 日光には、もっとも遠方からの参戦者として、兵庫県の神戸からトヨタAE86型「スプリンタートレノ」でやってきた蛭子毅/梅田臣宏組が存在感を醸していた。トレノはホワイトボディ&ブラックサイドストライプのツートンカラー。魅力を感じてしまう名車に、ファンが多いのもうなずける。

クルマ好きにはつとに有名な漫画『頭文字D』の主人公が乗っている“藤原とうふ店”のトヨタAE86トレノ。そのイメージの白黒ツートンカラーが強く世になかへ流布しているが、蛭子さんのクルマはまごうことなき同じツートン。シンプル・イズ・ストロングと思えるオリジナル・ボディカラーの装いで、競技ルートを走り抜けていった。

ラリー史に刻まれたハチロクとターマックラリーの記憶

日本のラリー界におけるハチロク(AE86)と言えば、1980年代半ばに全盛期があった。当時、全日本ラリー選手権の強者としてAE86を駆っていた後藤正和選手や松本誠選手など、個性派ラリーストがこぞって関西方面に出現していた。全日本選手権戦のなかでもターマック(舗装路)・ステージが有名だった「関西ラリー」では、室生ダムの沿道などのタイトなターマックのSS(スペシャル・ステージ)が、フランスのコルシカ島で開催されている「ツール・ド・コルス」の絶壁を思い起こさせるほど恐れられていた。

このラリーでハチロクを駆り連勝を突っ走ってもいた“ゴーチン”こと後藤選手は、1985年シーズンでは最多の3勝を遂げたにもかかわらず、チャンピオンポイントには届かなかった。これぞ判官贔屓そのもののような、まさにハチロクともどもファンに好かれるラリー史実が日本にはあるのだ。

速さではなく正確さを競うアベレージラリーの魅力

デイラリーはJAF公認のアベレージラリーで、速さを競うSSラリーとは違う。指示された速度でいかに正確に走行するかを競う。どちらも公道を舞台に競技クルーがクルマを走らせるモータースポーツだが、人とクルマを人馬に例えるならば、日本ダービーがSSラリー、馬術がアベレージ走行とも言えるだろう。

蛭子さんは近畿方面でのJMRC近畿アベレージラリー・シリーズにも参戦しているという。

「関東戦への参戦は3年目になります。2024年までは数戦でしたが、今年はシリーズ戦の日程が近畿シリーズと重なっていないので、関東にもよく来ています。近畿シリーズのイベントは断然めんどうくさいですよ。パスコン(PC:ルート上に設けられた指示速度変更地点)の数と言ったら、もう50から70はありますから。こちら(関東)はPCの数も少なくシンプルでとても考えやすい。楽しく走っています」とコース設定の地域性の違いを語る。

地域色が光るコース設定と誰もが参加できる気軽さ

第51回ソネット・ラリー in 日光は、いつ現れるかわからないチェックポイント(CP)まで、低速アベレージ指示のまま長くタイトな林道で続いていくコース設定もあり、気の引き締まる走行に対して「走りがいがある」と誰もが語っていた。

全5戦で組まれているシリーズ戦はイベントごとにご当地ならではのコース設定に特徴があるため、その個性を各戦でこなしていくというモータースポーツの醍醐味が楽しめる。確かに遠征ではあるが、道場破り的な「頼もう」参戦ではなく、すこぶる友好的な参戦なのだなあと思わせるのもデイラリーの良さだ。ちなみに蛭子/梅田組のエントリー車名は「デイラリー愛好会ハチロクトレノ」であった。

シリーズポイントには囚われずに各地で参戦することを楽しむ

蛭子さんは、販売開始年が1989年以前の車両とされるL(レジェンド)クラスに参加し、リザルトはわずか1秒差でのクラス2位。Lクラス勝者はホンダ シティを駆る小林勝美/山本芳男組であった。ライトウェイトスポーツとして一世を風靡したGA2型シティは、クロスミッションに軽々と吹き上がるSOHCエンジンを持つ。狭い山間路の低速走行維持には余裕がある性能で、小林/山本クルーのアベレージ走行で速度を保持するときに注ぐ集中力を、このマシンが支えていたと思われる。小林/山本クルーは今回でシリーズチャンピオンを決定することになったようだが、蛭子/梅田クルーは最終戦の第5戦「男女川(めのおがわ)ラリー」にも参戦する。シリーズポイントに囚われず、各戦での楽しみとともに歩むシリーズ達成に向かっているようだ。

全国から集う遠征組が支えるデイラリー文化の広がり

遠征組と言えば今シーズンの開幕戦、茨城県筑波山周辺での「がまツアー」には、岩手県から遠路はるばるスズキ ジムニーで参加した金野廣宣/門屋まゆみ組もいた。伝統のモンテカルロ・ラリーのスタート・ゴール地点であるモナコに、ヨーロッパ各地から参加クルマが集結する「コンセントレーション」という形態を彷彿とさせる参戦であった。表彰式では

「これからまた6〜7時間走り続けて帰りますので」

とのコメントとともに、にこやかに席上からひと足お先に帰路へ向かうクルーに、会場からは“お気をつけて”という喝采が送られていた。

ここ数年、千葉県や神奈川県でも関東シリーズに盛り込まれる予定のあるデイラリーが開催されている。関東戦に駆けつける全国からの参戦クルーが増えてゆく状況を裏返せば、歴史あるJAF登録クラブが全国各地にあることが引き金になり、味わいある津々浦々の峠などの競技ルートを手軽に楽しめるデイラリーの「全日本シリーズ戦」が組まれるのも、遠からずかもしれない。

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