メーカーが歴史的名車に現代スペックを搭載して新たな魅力を仕立てる
ランドローバー・クラシックが、クラシック・ディフェンダーV8に最新ディフェンダーOCTAと同一のカラーおよび内装仕様を再現できるカスタマイズを発表しました。90/110ステーションワゴンと90ソフトトップが対象で、OCTA専用色を含む新色や新素材内装を初めて採用します。
ランドローバーが自社の旧型名車をレストア&モディファイ
ランドローバー・クラシックは、クラシック・ディフェンダーの公式レストアおよびカスタマイズ部門が、クラシック・ディフェンダーV8を最新ディフェンダーのなかでももっともも高性能かつタフなモデルOCTAと同一のカラーおよびトリムで仕立てることを可能にした。
対象となるボディタイプは、90および110のステーションワゴン、ならびに90ソフトトップ。外装色には新たに5色を追加。OCTA専用色のペトラ・カッパー、ファロー・グリーン、サルガッソ・ブルーに加え、OCTAブラックから採用されたナルヴィック・ブラック、パタゴニア・ホワイトが加わる。従来設定のボラスコ・グレー、カルパチアン・グレー、シャラント・グレーも引き続き選択可能で、幅広いカラーコーディネートが可能となる。
最新パワートレイン&足まわりのレストモッド充実仕様は4000万円〜!
塗装工程は1台あたり約300時間を投入。下地処理からカラー調合、最終ポリッシュまで徹底した工程となる。全色でグロス仕上げを選択できるほか、ディフェンダーOCTAにオプション設定のマット・プロテクティブ・フィルムと同等の質感を再現した専用サテン仕上げも新たに開発された。
内装では、クラシック・ディフェンダーとして初めて軽量なUltrafabrics™製PU素材を採用。カラーはカーキ・グリーン、ライト・クラウド、ルナーの3色で、加えてバーント・シエナのセミアニリンレザーや、OCTAブラックに合わせたエボニーレザーも設定する。
シートはヒーター付きレカロ製スポーツシートが選択可能で、ステアリングホイール、トランスミッションレバー、ダッシュボード、ヘッドライニング、ドアトリムに至るまで、OCTAと同一の配色を忠実に再現できる。
専用オプションとして、冷却性能を最大化する開口部を持つチョップド・カーボンファイバー製ボンネットスクリプトが初めて設定された。
ベース車両は2012~2016年式ディフェンダーで、完全なレストアと再設計を施したうえで、405psを発生する5L V8エンジンを搭載。トランスミッションはスポーツモード付き8速ZFオートマチック。足まわりには専用開発のサスペンション、改良型ステアリング、前後335mm/300mmディスクと4ピストンキャリパーを備えた強化ブレーキを装備。価格は19万ポンド(約4000万円)からで、1年間の走行距離無制限保証が付く。
【AMWノミカタ】
ランボルギーニの「ポロ・ストリコ」、マセラティの「クラシケ」など過去に販売されたモデルをレストアする部門は数多あれど、「ランドローバー・クラシック」のユニークな点は、修復のみならず「レストモッド」を積極的に行っている点だ。
「レストモッド」とは「レストア」と「モディファイ」を合わせた造語で、例えば2012−16年のオリジナルのディフェンダーは2.2Lの4気筒ディーゼルエンジンを搭載していたが、ランドローバーはこれに5LのV8エンジンを換装し、AT化して「クラシックディフェンダーV8」として販売している。今回はさらに軽量なUltrafabrics™製PU素材を初採用し、ヒーター付きのレカロ製スポーツシートやチョップド・カーボンファイバー製ボンネットスクリプト、そしてOCTA専用色を選べるようになった。
現代の動力性能や快適性を過去の名車に搭載し、蘇らせるこの方法はじつにユニークな試みで、メーカーが率先して行うことに大きな意味がある。オリジナル性を重視するレストアも重要だが、レストモッドという形で名車を生き返らす手法でビジネスが確立すれば、他メーカーにもこの分野への参入が期待できる。とりわけ同じグループのジャガーEタイプなどの名車の近代化を期待したい。
