完売の絶望から偶然の巡り合いでひと目惚れ
ホンダ一筋のカーライフを歩んできた成さんは、S660最後の特別仕様車を新車で購入しようとしていました。ところが完売という壁に阻まれ、中古車検索の先で巡り合ったのが「S660ネオクラシック」でした。全国でも数えるほどしか存在しない希少なモデルを所有することになったカーライフについて聞いてきました。
オーナーを魅了したホンダのエンジン音とスタイル
埼玉県にあるマザーサン・ヤチヨで開催された「BEAT & S660 MEETING in 2025」。会場内に並んだビートやS660のなかでも一際異彩を放っていたのが、千葉県から参加した成さんの愛車「S660 Neo Classic(以下ネオクラシック)」だ。
「ずっとホンダ車がファミリーカーでした」
そう語るのオーナーの成さん。エンジン音の心地よさに惹かれ、免許取得以来、自身の愛車も3代目プレリュードに始まり、EFシビックへと続く。その後、EGシビックをなんと6台も乗り継ぎ、デルソル、オデッセイ、ストリーム、フィットとホンダ一筋のカーライフを歩んできた。そして、次の候補に選んだのがS660だった。
「じつはS660のバージョンZが欲しくて、申し込みのタイミングを図っていました。しかし、たった1週間で完売してしまい予約終了。スタートラインにすら立てませんでした」
諦めきれずに「こうなったら中古車で探すしかない」と情報をチェックした成さん。価格が高い順に検索していて、おや? と目に留まったのがネオクラシックだった。
「じつは、その時までネオクラシックの存在を知りませんでした。こんなエスロクがあったのか! とひと目惚れでしたね」
ホンダアクセスの情熱が生んだ「ネオクラシック」
ネオクラシックは、モノづくりへの理解やモチベーションを高めることを目的とした、ホンダアクセスの従業員有志で構成される「N lab」から生まれた。
「社内からアイデアを募ってコンセプトカーを作り、東京オートサロンへ出展しよう」という社内プロジェクトから選ばれたデザインは、ホンダスポーツの原点である「S600」や「S800」が持つ、シンプルかつ美しさを兼ね備えたもの。風景やファッションといったライフスタイルにも馴染むクルマ。そうした経緯から誕生したコンセプトモデルが「S660ネオクラシック コンセプト」であった。
東京オートサロン2016で開催された「東京国際カスタムカーコンテスト2016」では、来場者投票により見事グランプリを獲得。その車両をベースに商品化されたのが、この「ネオクラシック」である。
補修用ボディパーツをストックして希少車を守り抜く
「ネオクラシック」はボディキットでの販売という経緯から、ホンダユーテックが運営するオートテラス城北、オートテラス鈴鹿東、オートテラス筑紫野の3店舗が担当。完成車両として販売が開始された。晴れてオーナーになった成さんは、この希少すぎる個体の誕生や販売方法にも興味が湧いたという。
「調べていくと面白いんですよ。3店舗にはそれぞれシリアルナンバー1から3までのネオクラシックがデモカーとして展示されていたんです」
それぞれに配置された白(シリアルナンバー1)、赤(シリアルナンバー2)、黄(シリアルナンバー3)のなかから、筑紫野で展示販売された黄色い個体が、自身の愛車ではないかと想像を膨らませている。
「5年足らずの期間しか手に入れることができなかったネオクラシックですが、現存するのは全国で約30台ではないかとオーナー仲間では推測しています」
全国で行われるホンダ系のイベントに積極的に参加し、同じネオクラシックオーナーとの交友も広げている成さん。これからも長く愛車を維持していきたいと願う一方で、頭を悩ませているのが外装パーツの確保だ。
ホンダアクセスより発売されていた究極のカスタマイズキットであるが、母体であるS660の生産終了に伴い、ネオクラシックの注文も終了している。
「ボディキットとしてはもう購入できません。でも、まだ補修パーツとしては供給してくれるんです。キットではなくパーツ単品での購入になるとかなり割高なのですが、他の仲間が困った時にシェアできますし、前向きにストックを検討しています」
希少車オーナーならではの悩みは深いが、それ以上に愛車への情熱は揺るぎないようだ。
