リアエンジン後輪駆動とフィアット伝統のレイアウトを採用
イタリアの自動車メーカーであるフィアットは、1976年から1985年まで、全長3.75mのスモールバンを販売していました。車名は「900T」。イギリスでは“シティバン”、イタリアでは“プルミーノ”などと呼ばれ小型バンとして大活躍。エンジンは車体最後部に搭載するリアエンジン&リア駆動方式の7人乗り。日本ではなかなかお目にかかれないこの貴重な車両を所有するオーナーさんをご紹介します。
旧車を購入する勇気がなく壊れないローバー ミニが初の愛車
学生時代にフィアット「500(チンクエチェント)」に乗ったことで、その後の人生が一変してしまったというのが、この「900Tプルミーノ」のオーナーの武内さんだ。
「大学時代のバイト先の先輩の影響で、古い欧州車に興味を持ったのが始まりです。その人は500に乗っていました。免許取り立ての私は、いきなり古いクルマを買う勇気はなく(笑)、当時はまだ新車でも販売されていたローバーミニを購入しました。クーラーはついているし、インジェクションだし、街なかで普通に見かけるので何も問題ないだろうというのが、ミニを購入した理由です」
しかし、このノートラブルで優秀なローバー「ミニ」に物足りなさを感じてしまったという武内さん。結局、フィアット「500」へと乗り換え。それがきっかけで、イタリア車の魅力に取りつかれたのだった。
まさか所有するとは夢にも思わなかったイタリア製バン
「この900Tプルミーノは、以前は名古屋にある博物館の方がイタリアから直接輸入し、日本国内で乗っていた車両です。その後、別のオーナーさんが引き取って乗っていたのですが、その方が手放すという話しが私の所に回ってきました。以前、とあるイベントで実際に車両を拝見したことがあったので、とても貴重なクルマだし、人生で1度は乗ってみたいなという思いがありました。でもその時は、まさか私が次のオーナーになるとは、まったく想像していませんでしたねぇ」
900Tプルミーノの全長は3.75m、全幅は1.52mと、日本の軽自動車規格よりわずかに大きいだけのコンパクトなサイズ感。エンジンは水冷4気筒で、それをリアに縦置きと、フィアットの伝統はそのまま踏襲。しかも、7人乗り可能なバンである。
ご覧のとおりの可愛らしさは申し分なし。でも、日本国内では希少車のため、トラブル発生時にパーツを入手しづらいというデメリットもあったという。前オーナーさんが泣く泣く手放した理由も、こういうことが遠因のひとつであったようだ。
まとめて修理が完全復活の最短ルート!補修部品をコツコツと収集中
「正直言うと、まだ完璧に仕上がった状態ではないのです。経年劣化したゴム類やブレーキまわりなど、修理が必要な箇所は残っていますね。でも、中途半端に直しただけではまたトラブルが発生するだけなので、まとめてすべてを修理するために、現在はいろいろと補修パーツを集めている状況です」
武内さんは、家族を乗せて普段使いするのはルノー「カングー」。趣味車として、クラシックのフィアット 500も所有。そこにこの「900Tプルミーノ」も加わったわけだが、お子さんを乗せて近所へのドライブに駆り出し、機関系のコンディションを維持。完全復活へのプランを遂行すべく、少しずつ歩みを進めているのだ。
「チンクエチェントと比べると7人乗りだけあって車内は広いですし、雰囲気が小さいバスみたいで可愛いでしょ! これに乗るときは、子供たちのテンションが上がるんですよ(笑)」
幼少期のクルマとの良い思い出は記憶に深く刻まれる、と多くのクルマ好きは話す。武内さんのお子さんたちも、将来は素敵なイタリア車乗りへと成長することだろう。
