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中期型タイプMの新車時赤色にフルレストア! 価格非公開で取引された「ディーノ 246GT」

オークション終了に売却された「ディーノ 246GT」(C)Courtesy of Broad Arrow

工芸品的な初期型タイプLから生産効率を高めた中期型タイプMへ フェラーリ「ディーノ246GT」の価値は揺るがず!

2026年、世界的なオークションハウスであるブロードアロー・オークションズがオンラインセールを開催しました。そこにフェラーリの傑作ミッドシップスポーツ、フェラーリ「ディーノ246GT」が出品されています。フィアットの資本参加という激動の時代に生まれた希少な「タイプM」です。生産期間はわずか1年ほどでした。フルレストアが施された美しい個体のヒストリーと、気になるオークションの結末をご紹介します。

レースと経営の両立に苦慮するフェラーリ、生産と販売を掌握したいフィアットの思惑が交錯した時代…

現在のフェラーリからは考えられないかもしれない。しかし1960年代後半から1970年代中盤にかけて、フェラーリはまさに激動の時代を歩んでいた。

創業者であるエンツォ・フェラーリにとって、市販車部門とレース部門の両統括はもはや難題以外の何ものでもなかった。もちろんエンツォが総力を注ぎたかったのは後者である。一方でその事情を知るフィアットは、フェラーリの市販車に非常に大きな興味と期待を抱いていた。

そして1969年、フィアットはフェラーリの株式の半分を取得する。もくろみどおりに、そしてまたエンツォの望みどおりに、市販車部門の実権を握ることになったのだ。

この動きに前後して、フェラーリはコンパクトなミッドシップスポーツを開発していた。1967年にデビューしたフェラーリ「ディーノ206GT」である。

ちなみに「ディーノ」という車名は、24歳の若さで早世したエンツォの愛息アルフレード(愛称ディーノ)に由来している。彼が開発に携わったV6エンジンを搭載しているためだ。また、当時のエンツォには「V12エンジン搭載車以外はフェラーリと認めない」という強いプライドがあった。そのため初期のディーノには、お馴染みの跳ね馬エンブレムが一切ない。別ブランドとして販売されていたという事実も興味深い。

実際の生産は1968年に開始された。フィアットはディーノをより魅力的なモデルへと進化させる。それと同時に、生産コストを抑えるためにさまざまな手段を講じていった。

フェラーリは初期モデルであるフェラーリ「ディーノ206GT」の生産をわずか150台で終了する。そして1969年、V型6気筒エンジンの排気量を2.4リッターに拡大した。ボディも若干大型化し、フェラーリ「ディーノ246GT」(タイプL)として発表したのだ。フィアットの意思と投資は、それに続くモデルから本格的に反映されていく。1970年に生産を開始したフェラーリ「ディーノ246GT」のマイナーチェンジ版(タイプM)である。

ボディパネルをスティール化しプレス成型となったタイプMの生産期間はわずか1年で507台に留まる

タイプMのフェラーリ「ディーノ246GT」の生産プロセスには大きな特長がある。ボディパネルをプレスによって成型したことだ。パネル素材は前作のタイプLにおいて、すでにアルミニウム製からスチール製へと改められていた。プレス成型は量産車としてはごく普通の手法である。フィアットとしては、大量生産とコストを考えれば常識ともいえる選択だった。

1972年にはさらなるマイナーチェンジ版のタイプEが誕生した。そのためタイプMの生産期間はわずか1年ほどにとどまる。デリバリー数も507台にすぎない。しかし、これだけの台数を短期間で製造できたのは確かである。その背景には、大幅な生産効率の向上があった。

タイプMのフェラーリ「ディーノ246GT」は、タイプLと後のタイプEの両方のディテールを併せ持つモデルでもある。ミッドシップに搭載するV型6気筒エンジンは195psを発揮する。これに5速MTを組み合わせるパワーユニットの構成は、もちろんタイプLと同一だ。

エクステリアにおけるタイプMの特徴はわずかである。タイプLからさらに太くなったバンパーや、室内に移動したトランクリッドオープナーなどだ。

インテリアも基本的にはタイプLの意匠を継承している。ただし、ヒーターコントロールはインストゥルメントパネルに移動した。チョークレバーは変わらずバルクヘッドの直前にレイアウトされている。そのため、シフトレバーまわりのデザインはかなりすっきりとしたものになった。

1970年式のフルレストア済み極上個体だったが流札となった、がその後に個別交渉で交渉成立!

今回ブロードアロー・オークションズが出品したタイプMのフェラーリ「ディーノ246GT」は、1970年式のモデルだ。この個体はフルレストアを受けている。新車時からの正しいボディカラー「ロッソ・ディーノ」と、「ベージュ・ビニール」のインテリアは素晴らしいコンディションだ。さらに、ナンバーマッチングも確認されたエンジンをはじめ、メカニカルなパートにも完璧な手が施されている。

ブロードアロー・オークションズは、このモデルにエスティメート(推定落札価格)を提示した。その額は28万〜32万ユーロ(邦貨換算約4620万〜5280万円)である。オンラインでのオークションを行ったが、残念ながら落札者は現れなかった。

だが同社によれば、このフェラーリ「ディーノ246GT」は後日新たなオーナーに売却されたとのことだ。出品者との直接交渉が成立したのである。気になるプライスは、残念ながら公開されていない。

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