スーパーカーブームの火付け役! 後期型へと進化を遂げた傑作横置きV12ミッドシップの価値
ブロードアロー オークションズにて、1971年式の「ランボルギーニ P400ミウラS」が約3億1918万円という驚愕のプライスで落札されました。現在へと続くスーパーカーの歴史を切り開いた流麗なスタイルと強烈なV12エンジンの組み合わせは、いまなお世界中のVIPを熱狂させています。極上のフルレストアが施された後期型モデルの圧倒的ディテールと、驚くような価値の理由に迫ります。
プロモーション目的の限定生産から一転、伝説の「ミウラ」に。高騰し続ける価値とその歴史的背景とは…
クラシック ランボルギーニのなかでも、圧倒的な人気を誇るのは、やはりランボルギーニにとって初のV型12気筒ミッドシップモデルであり、同時に現在にまで続くスーパーカーの歴史の始まりにある「P400ミウラ」だ。
それを背景に、世界のオークションシーンではミウラ シリーズの落札価格が驚くほどに高騰しているのは周知のとおり。その傾向はおそらくこれからも変わることはないだろう。ここで紹介するのは、2021年に設立された新興オークションハウス、ブロードアロー オークションズが先日開催した「グローバル アイコンズ ヨーロッパ オンライン」オークションに出品した1971年式の「P400ミウラS」である。まずはこのモデルについて簡単に解説しよう。
4LのV型12気筒エンジンを横置きミッドシップし、ベルトーネのマルッチェロ ガンディーニのデザインによる流麗なボディを組み合わせて、ミウラのファーストモデルである「P400ミウラ」が誕生したのは1966年のことだ。
ランボルギーニの創設者であるフェルッチオ ランボルギーニは、その開発が進むなかではそれに大きな関心を示すことはなく、当初はプロモーションのためにそれを限定生産する計画を胸に抱いていたという。だが、世界のスーパーリッチやセレブリティは、このP400ミウラの存在を見逃さなかった。ランボルギーニのもとには続々とオーダーが舞い込み、ミウラは正式にシリーズモデルとなるに至った。
顧客の熱望で生まれた「P400ミウラS」は、V12エンジンを370psへ強化し快適性を手に入れた強化版
そして P400ミウラのデリバリーが進むなかで、カスタマーのなかにはより高性能でラグジュアリーなモデルの製作を求める者も多く現れた。ランボルギーニは1968年に、そのリクエストに応えるために「Sパッケージ」と呼ばれるオプションを設定する。それは1969年にはP400ミウラからの初のマイナーチェンジ版である「P400ミウラS」を生み出すことになる。
ちなみにランボルギーニは、先日ミウラ シリーズの生誕60周年に際して、そのヒストリーをまとめたオフィシャルリリースを発信しているが、ここでP400ミウラSの生産年が1968年からとされているのは、P400ミウラがベースとなるSパッケージ仕様もそれに含んでいるからと推察することができる。
P400ミウラSに搭載されたV型12気筒エンジンは、燃焼室形状の見直しや吸気ポートの拡大、さらには圧縮比を向上させることなどで、P400ミウラのそれからさらに20psを強化した370ps仕様だった。
鋼板で成型されたセンターモノコックの前後に、鋼管を用いたサブフレームを接合するという基本構造は、それまでのP400ミウラから変わらなかったが、サスペンションのセッティングはブレーキと共に見直された。エアコンのオプション選択を可能としたことなど、装備面での充実もP400ミウラSでの大きな話題となった。このミウラSは1971年3月まで継続されるが、この間にもさまざまな変更が加えられている。
希少な後期型かつ最高峰の整備状態の一台が3億円超えで落札、ミウラが体現する歴史的価値はさらに輝きを増す!
今回の出品車であるP400ミウラSは1971年型だから、338台が生産された同モデルのなかではもっとも遅い時期にデリバリーされた1台だ。ブレーキにはグレードアップ版の新たなベンチレーテッドディスクとパッドを採用したものが組み合わされ、ランボルギーニによってシャシーナンバーとのマッチングが確認されているV型12気筒エンジンも、のちにP400ミウラSVで採用される「エンジンとミッションのオイル潤滑をセパレートしたシステム」へとアップグレードされている。
新車でスペインのテネリフェに向けて出荷された記録が残るこのモデルには、2006年から2011年にかけてフルレストアが実施され、さらに最新のものでは2025年に2万スイスフランをかけたトータルサービスも行われている。ちなみにフルレストア後に走行した距離は約2000km。当然のことながらそのコンディションはミントに近い。
この履歴も高く評価されたのだろう。オンラインで行われたオークションへの入札は多く、オークション前のエスティメート(予想落札価格)は160万から180万ユーロ(邦貨換算約2億9760万円から3億3480万円)であった。最終的にそれは171万6000ユーロ(邦貨換算約3億1918万円)という数字での落札が記録された。
はたしてP400ミウラ シリーズは、これからどこまでその価値を高めていくのだろうか。世界中のランボルギーニ ファンが注目しているのは間違いない。だが、金額の高騰ばかりに目を奪われてはいけない。フェルッチオが半ば宣伝用と割り切っていたクルマが、結果的に自動車史の針を大きく進めたという事実こそが、この3億円というプライスタグに込められた真の価値なのである。
※為替レートは1ユーロ=186円(2026年4月27日時点)で換算
