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330馬力でもマイルドな乗り味!? 東名パワードの日産S14型「シルビア」はサーキットと街乗りを両立した“ドンピシャ”マシンだった

日産 S14シルビア:東名パワードが1995年に仕立てたサーキットスペックのデモカー。SR20DETを2044ccまで拡大し330馬力を発生した

東名パワードのS14シルビアは、SR20DETを2044ccに拡大して330馬力。ハードに攻めてマイルドに扱える“ドンピシャ”を突き詰めたデモカーだ

サーキットスペックを掲げ、東名パワードが世に問うた日産「S14シルビア」のデモカー。SR20DETエンジンの排気量を2044ccまで拡大し、330馬力を絞り出す。ただ、この1台の核心は数字ではない。限界は高いのに、その手前までの扱いがどこまでもマイルド。ハードに攻めるコーナーで“ドンピシャ”だと体感できる、絶妙なセッティングにこそ狙いがあった。東名パワードが仕立てたこの1台を紹介する。

(初出:ヤングバージョン1995年5月号)

排気量を2044ccに拡大したSR20DETと、それを支える周辺機器が走りの土台

このデモカーの心臓は、徹底的に手を入れたSR20DETエンジンにある。排気量を2044ccまで拡大し、330馬力を発生する。その手段は87φの鍛造ピストンだ。組み合わせるのはIN(吸気)66度/EX(排気)66度のカムシャフト、強化バルブスプリング、メタルヘッドガスケットといったメニュー。ベースとなったのはS14シルビアや1990年代の日産FRクーペである。過給圧はPBC(圧力で過給をコントロールするブーストコントローラー)で制御し、周辺機器にはプログレッシブコンピュータ・タイプ3、大容量ラジエータ、ウォータースプレーが組み込まれる。

排気系の主役は、SR20DETエンジンの性能をフルに引き出すマフラーだ。パイプ径は中間70φから出口130φへと広げられた。大口径マフラーで起こりがちなロードクリアランスの不足をかわすため、出口はタイコのやや下側へオフセットしてある。狙いは音質にもおよぶ。低回転域から高回転域まで、低く気持ちのいいサウンドを発するようチューニングされた。後続車を圧倒するテールエンドの迫力も、このマフラーの見どころのひとつである。

サーキットストロークアブソーバーとT84コイルスプリングで“ハードなのにマイルド”

足まわりの核は、4段調整式のサーキットストロークアブソーバー(タイプ1)にある。25mmのショートストロークタイプだ。組み合わせるT84コイルスプリング(タイプ1)は、フロントが車高−30mm/バネレート4.0kg、リアが車高−5mm/3.4kgという設定になる。ピロアッパーマウントも装着される。ブレーキはカーボンパッド、APPホース、マスターシリンダーストッパーで固めた。当時、テスト車はサーキットでかなり酷使されていた。それでも、ハードに走れば走るほどマイルドさが際立つ。コーナーを立ち上がると、大きなギャップも難なく吸収し、タイム重視派も納得する性能を備えていた。

エアロとコクピットまで仕立てた、サーキットスペックの“ドンピシャ”な1台

外装はタイプ1エアロキットでまとめられた。フロントスポイラー、リアスポイラー、サイドステップの3点で構成される。ブレーキ冷却性能も追求した造形だ。タイヤとホイールはアドバン・ネオバの235/45R17と255/40R17に、オリジナルホイールのTMRを組む。室内に目を移すと、35φ(直径約35cm)のN2ステアリング、バケットシート、車検対応スポーツシフトなどが奢られた。サーキットを攻めるためのハードと、街でも扱えるマイルドさ。その両立こそ、東名パワードがこのS14シルビアで示した答えである。

【AMWノミカタ】

今回紹介した東名パワードのS14シルビアデモカーは、AMWを運営する交通タイムス社がかつて発行していたチューニング誌『ヤングバージョン』1995年5月号に掲載された1台だ。当時のターボチューンは、いわゆるドッカンターボ(過給が一気に立ち上がり、低回転と高回転で出力差が大きいセッティング)のマシンが多かった。パワーを求めれば、ピーキーで気難しい特性になりがちだ。当時、そこをあえてマイルドな方向へ振り、サーキットでハードに攻めるほど安心して走れるよう仕立てた。そのうえ、エンジンから足まわり、エアロ、コクピットまでサーキットスペックで統一することによって、マシンのトータルバランスをとる志向は現代にも通用するだろう。

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