ゼロヨンで11秒台を叩き出す日産「ハコスカ」の極上チューン
1972年式の日産「スカイライン2000GT」、通称ハコスカで年間を通してゼロヨン競技(400mの直線をいかに速く走るかを競う競技)に参戦しているのがオーナーの“T”さんだ。兵庫県のセントラルサーキットで、現在も破られていない11秒台という驚異的なタイムを記録している。「10年前にたまたま友人に誘われて乗ってみたら、すっかりどハマりしてしまった魔法のクルマです」と語る言葉通り、不可能と言われたL型ベースの3.5リッター化や当時モノのパーツ群など、妥協のないチューニングが細部まで施されている。
歴史的名車「ハコスカ」に不可能と言われた3.5リッター化を施す
1968年に登場した第3世代のスカイライン(C10型)は、その角張ったボクシーなスタイリングから「ハコスカ」の愛称で親しまれ、日本の自動車史に金字塔を打ち立てた歴史的名車である。このハコスカを神格化させた最大の要因といえば、国内レースで前人未到の50勝という大記録を打ち立てた伝説のレーシンググレード「GT-R」の存在にほかならない。 今回ベースとなっている直列6気筒エンジン搭載の「スカイライン2000GT」系も、そのGT-Rと同じ血統を持つ生粋のスポーツモデルであり、誕生から半世紀以上が経過した現在でも旧車界において絶対的なカリスマ性を誇っている。
“T”さんが所有する1972年式のスカイライン2000GTのエンジンルームには、北海道のドラッグレースシーンを長年牽引してきた伝説的なチーム・ショップ「ゼロヨンファクトリー」制作のスペシャルメカチューン(ターボなどに頼らずエンジン内部の部品交換や加工で性能を上げるチューニング)が施されている。ベースとなるL28型エンジンに対し、不可能と言われながらも正真正銘3.5リッターへの排気量アップを実現した。
これだけの過激なチューニングが施されながらも至って乗りやすく、このスカイライン2000GTに乗った友人たちは必ず旧車を買ってしまうという独自のジンクスを作り上げている。ゼロヨンでの速さを発揮するためのチューニングが各部に施されており、このクルマに乗っている時が最高の気分転換になっているという。
当時モノの雰囲気を大切にしながらオリジナルシルバーへ全塗装
“T”さんは、これまでに2回のプチレストア(老朽化したクルマを復元すること)と、4回の全塗装を行なっている。以前は少し黄色っぽいシルバーであったが、スッキリとしたオリジナルシルバーに衣替えした。
決してスタンダード仕様にするつもりはないものの、当時モノの雰囲気を大切にしてカスタマイズとレストアを行なっているのが大きな特徴だ。とくに内装品などは「当時モノ」という文字がオンパレード状態であり、そこが“T”さん流のこだわりの流儀として貫かれている。
鎌ヶ谷ワイドホイールで加工した極太サイズのTOPY製ホイールを収める
足回りには車高調(車高調整式サスペンション)を装着し、ホイールも当時モノのTOPY製を選択した。これを鎌ヶ谷ワイドホイールにて加工し、フロント8.25J、リア9J(Jはホイールの太さを示す単位)という極太サイズを放り込むことで、迫力ある足元を作り出している。
旧車の定番スタイルを守りつつ、ゼロヨンという過酷なステージで結果を残すために鍛え上げられた名車。現在も破られていない11秒台という大記録は、走りと美しさを高い次元で両立させた情熱の賜物である。
