サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

160万円でトヨタ「2000GT」を購入! それから50年維持している個体が「前期顔」で「後期パワートレイン」のなぜ?

オーナーの志賀さんは、50年前の1973年にこの2000GTを購入

1973年に走行2万キロの2000GTを購入したオーナーに直撃

2023年4月29日、昭和の日に岐阜県中津川市で開催された「花街道つけち昭和モーターショー」。昭和に生産・登録された150台もの旧車が集合した中には、貴重なトヨタ「2000GT」が3台も並んでいました。そのうちの1台のオーナーに話を聞くことができました。

市販車ではないテスト車両の2000GT

50年前の1973年、まだまだトヨタ2000GTの価格が高騰していなかった時代に2万km走行した1968年式のトヨタ2000GTを、約160万円で購入したという志賀良彦さん。志賀さんの2000GTのボディは前期型となっているが、通常の2000GTとは少し違うところがあるようだ。

「これ市販車じゃないんですよ。排気ガスのテストをしたクルマだったんで、前期なんですけど後期型のエンジンとミッションが載ってて。生産中止してから排気ガスの登録をしているので、登録は1970年の暮れなんです。もうちょっと早いとシングルナンバーだったんで、惜しかったですね。最初の人が2年間くらい乗って、次が僕ですね。1回同じ色に塗りなおしてますけど、最初の人がこの色に塗ったんです」

大きなトラブルはなく、最低限のアップデートのみ

50年間この2000GTを所有している志賀さん。最初の数年は日常の足にも使用していたそうだが、その後数十年ほど放置して2000年頃から再び乗り出したため、走行距離は現在およそ6万4000kmほど。そのためハブが割れた以外は大きなトラブルはなかったそうだが、この50年の間にいくつかの改良が加えられている。

「買ってすぐに内装を革に張り替えました。ウッドは当時のままです。前期は劣化するので、オリジナルは珍しいって言われますね。あとはブレーキ関連ですね。アダプターを2000GTのオーナーズクラブで作ってるんですけど、フロントはFC3Sの4ポットが入っています。さすがにマツダの文字は削ってありますが。リアもクラブ員がオーダーしたダンロップなんですけど効きすぎてロックしちゃうので、ブレーキを配分できるパーツを付けて最弱にしてあります。それでちょうどいい位ですね。ほかはマフラーとかホイールくらいで、いわゆるレストアとかはやっていないんです」

これは2000GTオーナーの「あるある」だそうだが、2000GTの純正ホイールはマグネシウム製で経年とともに劣化や強度が低下するため、オリジナルホイールはディスプレイ用とし、別のホイールを装着しているオーナーが多い。志賀さんも例にもれず「ホイールはアルミのレプリカです、本物は倉庫の飾りになってます」とのことだ。

1台1台ストーリーがあるのも2000GTの魅力

走ることが好きで、ヒルクライムやジムカーナなどにも出場している志賀さんにとって、2000GTとはどんなクルマなのだろうか。

「怒られてしまうかもしれませんが、今の基準でいうと走らん曲がらん止まらんと(笑)。ボディが重たいでしょう。トルクで走るクルマなので、高速を真っすぐ走るか、こうやって並べるのが一番いいのかもしれませんね。造りはいいですし。当時としたらいい性能かもしれないませんが、今の車と比べてしまうとね」

「これはテスト車両ですけど、そういうのが3台くらいあったらしくて、もう1台はブレーキテスト用、もう1台は行方不明。それをナンバー付けて売り出しちゃったらしいんです。今だったら考えられないけど、そういう風に調べると1台1台ストーリーがあるところが面白いですね、2000GTは」

モバイルバージョンを終了