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昭和の三菱は輝いていた! 初代「ギャラン シグマ&ラムダ」の斬新なセンスとスタイリングが国産車に新風を吹き込んだ【カタログは語る】

かつてはセダンのラインアップも豊富だった三菱

世の趨勢といえばそれまでだが、衝撃の事実として言えば、最新の三菱の国内での乗用車ラインアップにはセダン(とコンパクトハッチバック)がない。気がつけば、あるのはSUVと軽自動車のみ。あの、初代が「走るシーラカンス」と言われた「デボネア」や、古くは「コルト」、「ランサー」などの車名が懐かしいと思う世代の方も多いと思うが、そうしたセダンが揃っていたのも今は昔……である。

満を持してデビューしたギャランの3代目、その名もシグマ

ところで三菱のセダンというと、コルトの後継車種として1969年に登場した初代の「コルト ギャラン」は印象的だった。当時としてはクリーンなスタイルで、一躍、新世代の三菱車のイメージリーダー的な存在になったクルマだった。しかし1973年登場の2代目「ギャラン」は、今だから言えるが初代から較べるとどこか冴えないスタイルのごく平凡なクルマだった……。

そこで3年にも満たないタイミングでフルモデルチェンジを実施。1976年5月に登場したのが「ギャランΣ(シグマ)」だった。1976年というと、トヨタ「コロナ」は5代目(T100型)、日産「ブルーバード」は5代目(810型)が現役の頃だったが、両車ともこうして型式で言っただけでは「ああ、あのクルマね」とすぐにはイメージが浮かびにくい。そんな中でギャラン シグマはキラ星のごとく姿を現したのだった。

ヨーロピアンスタイルのモダンなセダンだった

「磨きあげられたセダン」「風格にあふれたLOW&WIDEプロポーション」「セダンを変えたきわだつヨーロピアンスタイル」……カタログのコピーを拾っていくと、いかにも生まれ変わった感をアピールした表現が並ぶ。

実車は2代目ギャランを飛び越し、しいて言えば初代同様、直線を基調に組み立てられたスタイル。ただし全長、全幅、ホイールベースなどは2代目ギャランに対してひとまわりサイズアップされ、車格を上げた。室内もそれまでよりグッとモダンに仕上げられ、上位グレードでは後席にリクライニング機構まで備わった。今のクルマでは当たり前だが、乗り降りに衣服を汚さない埋め込み式のドアラッチの採用などもカタログでアピールしている。

エンジンは1.6L、1.85L、2L×2機種。サターン80、アストロン80と呼ばれたユニットで、とくに後者には、4気筒ながら8気筒エンジンよりスムーズで静かといわれたサイレントシャフトを採用。これはクランクシャフトの両側に高さをずらしてバランサーシャフトを配置、倍速で回転させることで、エンジンの上下および回転振動を打ち消す役割を果たすものだった。

なお初代ギャラン シグマの登場後2年目の1978年3月にカープラザ店用の「ギャラン シグマ エテルナ」が登場、同年のマイナーチェンジで角型4灯ヘッドランプへのフェイスリフトなどマイナーチェンジが実施された。

スペシャルティカーのラムダはさらに大きく話題を集めた

ところでもう1台、シグマとともに同じギリシャ文字の車名が与えられて登場したのが「ギャランΛ(ラムダ)」だった。こちらはシグマをベースに仕立てられた2ドアスペシャルティカーで、シグマの登場から7カ月の時間差をあけて1976年12月に登場した。

このギャラン ラムダは、セダンのギャラン シグマとはコンポーネントを共用した、いわばシグマの2ドアクーペ(ハードトップ)版の位置付けにあった。けれど何といっても、思いきった斬新な外観・内装デザインがシグマ以上に話題を集めた。

外観上のポイントは国産車では初めて角型4灯ヘッドライトを採用し、薄くシャープなフロントデザインとしたほか、「ロールバールーフ/リヤピラー」と名付けられたクオーターピラーまわりは独特で、ルーフの段差部分にはスチールの補強材が組み込まれた構造だった。またサイドまで大きく回り込んだリアウインドウ(たしか当時の旭硝子製だったはず)も特徴だったが、これは「今迄のスポーティ車の欠点とされていた後方視界の悪さと窓面積の小さいことによる後席のうっとうしさをも解決」したもの(カタログより)でもあった。

ラムダはインテリアにもこだわり満載だった

インテリアでは1本スポークのステアリングホイールが話題に。当時の自動車雑誌各誌はどこも例外なく「シトロエンのような」と紹介していたが、筆者もディーラーの実車で12時の位置を片手で握り恐々とだったが前後に揺さぶってみて、「ふうん、問題ないか」と自分で確かめたりしたもの。

インテリアではカラーと素材のコーディネートにもこだわっていて、インテリア色はグレー、ベージュ、レッドの3色、シート表皮は全面起毛ニット、起毛ニット、チェックファブリックの3パターンの設定といった具合。さらにインパネ、(計器盤パッド)、ドアトリム、ステアリングホイール、天井、カーペット、シートベルトに至るまで各々がさり気なく同系色でまとめられたセンスも注目だった。装備ではほかに車外に取り外し可能な木製エンクロージャー採用のオーディオなども。

搭載エンジンは当初は2Lで、追って1.6Lや、当時の「セリカXX」、「フェアレディ280Z」を意識した2.6Lも設定。セダンのシグマ、スペシャルティカーのラムダ、ともに三菱だけでなく国産車の世界に新風を吹き込んだクルマだった。

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